ブリッジレポート:(6065)サクセスホールディングス vol.11
(6065:東証1部) サクセスホールディングス |
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企業名 |
サクセスホールディングス株式会社 |
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代表取締役社長 |
佐々木 雄一 |
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所在地 |
東京都品川区西五反田一丁目1番8号 大手町建物五反田ビル7階 |
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決算期 |
12月末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年12月 | 10,113 | 369 | 682 | 396 |
2013年12月 | 8,673 | 559 | 705 | 400 |
2012年12月 | 7,248 | 412 | 660 | 353 |
2011年12月 | 6,006 | 362 | 491 | 256 |
2010年12月 | 5,237 | 185 | 178 | 33 |
株式情報(2/29現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【事業内容】
病院・大学・企業等の事業所内保育施設を受託運営する受託保育事業と、「にじいろ保育園」ブランドの認可・認証保育園等(この他、学童クラブ、児童館、全児童対象施設)を運営する公的保育事業を2本柱とし、15/12期の売上構成比は、受託保育事業32.5%(14/12期36.6%)、公的保育事業67.5%(同63.4%)。
受託保育事業
いわゆる「事業所内保育」。病院や大学、老人介護施設、企業などが設置する保育施設の運営を受託している。委託先の要望に応え、様々な規模や利用時間、保育内容を実現する。委託先の予算や要望に合わせた保育設計を特徴としており、利用定員数や施設場所、利用時間帯、保育の内容など、様々な要望に応えている(10名未満の小規模施設、既存社宅・寮を改装した保育所、外国語対応の保育士の配置等)。また、利用者の勤務に合わせた柔軟な開園時間も特徴で、「保育所」が利用者の勤務時間に与える制約を解消する(例:土日祝日、深夜早朝の利用)。初めて事業所内保育を始める事業者だけではなく、既に自営している事業者からも、きめ細かな保育施設の運営が評価されている。尚、受託する保育施設は、主に病院などの委託者の“福利厚生施設”として設置され、同社は委託者より運営料の支払いを受ける。施設が一定の条件を満たしていれば、委託者には助成金が支給される。 公的保育事業
「にじいろ保育園」ブランドで展開する「認可保育所」や「認証保育所」に加え、「小規模保育施設」、「学童クラブ」、「児童館」等の保育施設運営を行っている。「認可保育所」は、運営する同社、利用者共に自治体との契約となる。利用者は自治体(市区町村)に申し込み、保育料を市区町村に支払う。一方、同社は自らの負担で施設を整備し、自治体から施設運営補助金の支払いを受ける。自治体によっては設備補助金制度があり、また自治体によって施設運営補助金は異なる(同社は営業外収益に計上)が、基本的に回収リスクはない。「認証保育所」はスペースの制約から「認可保育所」の設置が難しい東京都の制度で、横浜や川崎(共に神奈川県)等にも類似した保育所制度がある。利用者は個別に施設運営者と契約し、自治体から補助金給付を受ける。一方、同社は利用者からの利用料と自治体からの補助金を収受する。
【サクセスホールディングスの6つの強み -利用者の視点に立ち、最適な保育サービスを提供-】
子どもたちの成長に欠かせない自然体験を通じた「自然共育(しぜんともいく)」(商標登録)を軸とした方針の下、利用分だけの請求、24時間365日の運営対応、施設毎の運営スタイルといった多様なニーズに応える施設オペレーションと請求システムで差別化を図っている。業界全体の悩みである保育士の確保では、ジェイコムホールディングス・グループで人材サービスを手掛けるジェイコム(株)の採用力を活かせる事も強みの一つ。子会社で保育施設の運営を手掛ける(株)サクセスアカデミーの施設運営ノウハウ及び人材育成力とジェイコム(株)の採用力とのシナジーを追及する事で採用・研修機能に磨きをかけている。また、管理システムを独自開発する事で、保育士の事務負担軽減と運営管理機能強化を両立している。
利用分だけの請求
企業や病院等が事業所内保育を自営すると、利用者の不規則な勤務時間に合わせた保育施設の運用が負担になるため、保育施設の利用者数、利用時間を制約する事になってしまう(利用者の少ない土日の閉園、19時には運営終了となり利用不可等)。一方、同社の保育施設は利用分だけの請求のため、「少人数だが、日曜も利用したい」、「毎日ではないが、夜勤時間も使いたい」、「幼稚園利用時間の前後で使いたい」といった多様なニーズに応える事ができる。
24時間365日の運営対応
土日祝日の勤務や深夜早朝の勤務が要求される業務の場合、一般の認可保育園だけで、子育てをしながら働く事は難しい。24時間365日の利用が可能な事業所内保育を自営すれば、従業員のニーズに応える事ができるが、コストや保育士の管理等、ハードルが高い。同社は病院内保育施設運営での豊富な経験を活かし、「24時間365日の運営」、「月曜、木曜だけの夜勤運営」等、様々な要望に合わせた保育サービスを提供する事で、子育て中の離職の抑止や採用力の強化に貢献している。
自然共育(しぜんともいく)を軸とした保育
子どもたちの成長に欠かせない自然体験(自然とのふれあい)を通じた「自然共育」(商標登録)を軸とした保育に取り組む事で、子どもたちの感性、優しさ、考える力等、人としての基盤を育んでいる。
施設毎の運営スタイル(委託先の事情に合わせた施設運営)
急性期病院では夜勤や365日の要望があり、研究者や留学生の利用が多い大学では、英語対応や給食等の保育内容に対する要望がある等、保育委託事業者毎に事情が異なる。このため、同社は施設毎に運営スタイルを変える事で、利用者の要望に応じている(施設数と同じ数の運営スタイルのバリエーションを有する)。
充実した採用・研修機能
ジェイコムホールディングス(株)の連結子会社となり、グループ企業であるジェイコム(株)の採用ボリュームと求人ノウハウを最大限に活用している。採用後は、スタートアップ研修、フォローアップ研修、レベルアップ研修、キャリアアップ研修、マネジメント研修、スペシャリスト研修、メンテナンス研修、外部研修といった充実した独自の研修・育成制度が用意されており、保育者としてだけでなく社会人としての成長を念頭に置いた研修・育成がなされる。就業経験のない求職者の戦力化はジェイコム(株)の特徴であり、そのノウハウを活かし、質の高い保育サービスを提供できる人材の育成に取り組んでいる。
運営管理システムのIT化(IT化により、保育士の事務業務軽減、保育に専念できる環境を整備)
従量制の請求、委託先の要望に応じた運営、24時間365日の保育等を実現するにはITを活用した運営管理が必須。しかし、既存ソフトには同社のニーズを満たすものが見つからないため自社でシステムを開発した。独自のシステムは、児童の登降園情報、シフト作成管理、従業員勤怠管理、請求書作成、児童・従業員。契約先情報、グループウエア等の機能を搭載し、保育士の事務負担軽減と園の運営管理機能強化という相反する課題を解決している。
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。 |
事業環境と成長戦略 |
【事業環境】
日本の社会背景の中、共働き世帯数が著しく増加
内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 平成26年版」によると、平成に入り「共働き世帯数」が「男性雇用者と無業の妻からなる世帯数」を逆転し、現在は共働き世帯が大幅に増えている。一方、「厚生労働省平成26年国民生活基礎調査の概況」によると、子供のいる世帯の年収は平成8年をピークに低下傾向にある。この結果、子供がいる共働き世帯が増加し、保育所利用児童数も増加傾向にあるが、保育所の整備が追い付いていない。このため、保育所に入れない待機児童の増加が社会問題化している事は周知の通りである。
待機児童の状況 保育所利用児童数は年々上昇も、待機児童数が増加傾向へ
また、厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ」〔平成27年4月1日)平成27年9月29日更新版〕によると、待機児童数は、2010年の26,275人をピークに漸減傾向にはあるものの、15年末で23,167人と待機児童問題の解消には程遠い状態。地域別では、東京都、神奈川県が減少したものの、首都圏の待機児童は依然として高い水準にある。
設置主体別保育所認可の状況 株式会社にとって認可保育園のマーケットは大きい
2000年の規制緩和により、株式会社による保育所の開設が認められた。許認可件数ベースで高い伸びを示しているが、2014年4月1日現在、株式会社による保育所認可数は全体の2.69%にとどまる(政令・中核市を除く都道府県21都道府県、政令市10/20市、中核市5/42市)。
【成長戦略】
ジェイコムホールディングス(株)が、2015年6月1日から29日にかけてサクセスホールディングス(株)株式の公開買い付けを行い、議決権の50%超を所有するに至った(親会社及び筆頭株主となった)。サクセスホールディングス(株)は連結子会社として、ジェイコムホールディングス(株)との連携を強化する事で、採用力の強化と業務の効率化を図り、事業拡大につなげて行く考え。尚、ジェイコムホールディングス(株)は、人材・保育・介護の事業会社を持つ持株会社。人生のどの段階においても必要とされる企業グループを目指し、保育、人材、介護の3分野で事業を展開している。 今後の展開 質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者を目指す
目指すところは、“質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者”であり、この目標達成に向けた施策として、施設数の増加、保育士の採用強化、保育士の育成強化、及びジェイコムホールディングスグループの一員としての効率的な経営の4点を挙げている。
サービス品質向上による施設数の増加
受託保育事業では、質の高い保育サービスの提供と適正価格での案件獲得に取り組む事で受託数を伸ばしていく。また、全国に拠点展開するジェイコムホールディングスグループの豊富な顧客資産にアプローチし、それぞれのニーズを把握し、受託保育の提案を行っていく。一方、公的保育事業では、将来にわたって利用者から選ばれ続ける保育施設を目指し、サービス品質はもちろん、立地や設備等のハード面でも優れた施設の開発に力を入れていく。また、アフターフォローの強化により、施設開設後も、運営上の課題を明確化し、自治体と協力して、継続的にサービス品質を向上させていく。 サービス品質向上のための保育士の採用強化
多くの保育求人を擁するジェイコム(株)の採用ボリュームと求人ノウハウを活かして保育士を確保していく(保育士の採用数を増やしていく)。また、ジェイコムホールディングスグループ内での人事交流も活発化していく考え。既に、ジェイコム(株)からの出向者が、新卒採用、中途採用、臨時雇用者採用を担当する部門の責任者に就任しており、一方、ジェイコム(株)では、サクセスホールディングス(株)からの転籍者が保育・介護業界向けサービスの責任者に就任している。尚、ジェイコム(株)にとっては、保育施設の運営で培ってきた(株)サクセスアカデミーの業界人脈や施設運営及び保育士育成ノウハウが魅力だ。ジェイコム(株)は、こうしたノウハウを共有する事で、マッチング、未経験の人材活用、就業時のフォローに反映し、離職率の低下にもつなげていきたい考え。 保育士の育成強化
毎年4万人を超える保育士の資格取得者が誕生しているが、結婚等による若いうちでの離職が多く、保育士不足が解消されていない一因になっている。このため、子育てがある程度進んだところでの復職希望者や、資格を持ちながらも他の職種に就職した潜在保育士の活用にも力を入れていく。尚、サクセスホールディングス(株)傘下の「サクセス子ども子育て研究所」が、潜在保育士・幼稚園教諭再就職促進事業を神奈川県から受託した。この一環として実施する、就職支援セミナー・相談会や現場復帰支援研修等を、復職希望者や潜在保育士の掘り起こしに活かしていく。この他、保育学生向け就活セミナーの開催や運営を受託した神奈川県保育士試験講座の運営を通して、新卒・中途採用を含め幅広く保育士を確保・育成していく考え。 |
2015年12月期決算 |
前期比15.9%の増収、同18.0%の経常増益
施設数の増加で売上高が117億16百万円と前期比15.9%増加したものの、新規開設の増加による売上原価の増加(前期比17.5%増)と募集採用費及び人件費の増加による販管費の増加が負担となり、営業利益が3億22百万円と同12.6%減少した。ただ、公的保育施設の新規開設の増加に伴い、補助金収入が増加したため(3億27百万円→5億08百万円)、経常利益は8億05百万円と同18.0%増加。公的保育施設の順調な稼働を受けて、営業利益・経常利益共に期初予想を大きく上回った。一方、最終利益は、役員退職慰労金2億09百万円を特別損失に計上した事で同8.3%減少し、期初予想をわずかに下回った。 尚、新規開設は、受託保育事業14施設(前期12)、公的保育事業18施設(同16)の計32施設(同28)。期末施設数は、それぞれ176施設(前期末167)、106施設(同88)、計282施設(同255)となった。 流動比率178.0%(前期134.0%)、固定長期適合率74.2%(同85.4%)、自己資本比率21.2%(同26.0%)。税引き後経常利益ベースの投下資本利益率は8.6%と前期(7.9%)に比べて0.7ポイント改善した。 |
2016年4月期業績予想(決算期変更) |
配当は1株当たり10円の期末配当を予定している。 |
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