『いろはにマネーのファンド情報』では、ファンド(投資信託)の特徴や過去のリターン、評価などを独自目線でご紹介します。
本記事では、「米国株式配当貴族(年4回決算型)」の評価や利回りについて分かりやすく解説します。
米国株式配当貴族(年4回決算型)をひとことで言うと
米国株式配当貴族(年4回決算型)はS&P500配当貴族指数(配当込み・円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。
原則、毎年4回(1月、4月、7月、10月)分配金が支払われます。
ベンチマークはS&P500配当貴族指数で、2024年4月現在で約67銘柄に投資しています。
S&P500配当貴族指数は、S&P500の構成銘柄のうち25年以上連続で増配している銘柄を対象とし、均等加重により算出されています。
信託報酬(総経費率)は0.55%で、その他インデックスファンドと比較するとやや高い水準となっています。
25年以上連続で増配している銘柄は、経営の安定性があってかなり魅力的だね!
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米国株式配当貴族(年4回決算型)の基本情報
それでは、米国株式配当貴族(年4回決算型)の基本情報を確認していきましょう。
項目 | 米国株式配当貴族(年4回決算型) |
---|---|
設定日 | 2018/11/14 |
償還日 | 無期限 |
運用会社 | 野村アセットマネジメント |
買付単位 | 金額:100円以上1円単位 口数:1万口以上1万口単位 積立:100円以上1円単位 |
売却単位 | 金額:100円以上1円単位 口数:100口以上1口単位 |
買付手数料 | なし(ネット証券)、上限2.2% |
信託報酬 | 0.55% |
分配金利回り | 1.62% |
純資産額 | 2,523.16億円 |
ベンチマーク | S&P500 配当貴族指数(配当込み・円換算ベース) |
米国の株式を実質的な主要投資対象とし、S&P 500配当貴族指数(配当込み・円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指して運用を行なう。効率的な運用を行うために、上場投資信託証券(ETF)を実質的に活用する場合がある。原則、為替ヘッジを行わない。
運用方針
2018年11月14日から運用が開始され、5年以上運用が続いているファンドです。
組入銘柄TOP10
組入れ銘柄TOP10は以下の通りです。
銘柄 | 業種 | 純資産比 |
---|---|---|
TARGET CORP | 生活必需品流通・小売り | 1.7% |
CATERPILLAR INC DEL | 機械 | 1.7% |
LOWES COS INC | 専門小売り | 1.7% |
PENTAIR PLC | 機械 | 1.7% |
EMERSON ELEC | 電気設備 | 1.6% |
DOVER CORP | 機械 | 1.6% |
ARCHER DANIELS MIDLAND | 食品 | 1.6% |
ECOLAB INC | 化学 | 1.6% |
MCCORMICK & CO INC. | 食品 | 1.6% |
GRAINGER(W.W.) INC | 商社・流通業 | 1.6% |
1位の「TARGET CORP」は、米国の大型ディスカウントチェーン「TARGET」を運営する小売り会社です。
組入上位10銘柄はいずれも1.7%から1.6%となっており、均等に組み入れられていることが分かります。
なんとTARGET CORPは51年連続で増配しています…!
販売証券会社
「米国株式配当貴族(年4回決算型)」を取り扱っている証券会社は50を超えており、大手ネット証券から地方銀行まで幅広い金融機関で取り扱われています。
以下はその一部です。
過去のリターン
米国株式配当貴族(年4回決算型)の過去の騰落率は以下のようになっています。
期間 | ファンド | インデックス |
---|---|---|
1ヵ月 | +5.6% | +5.7% |
3ヵ月 | +13.9% | +14.1% |
6ヵ月 | +16.5% | +16.9% |
1年 | +30.3% | +31.3% |
3年 | +68.2% | +72.2% |
設定来 | +128.7% | +138.4% |
5年以上の運用期間の中で、設定来騰落率は128.7%となっています。
インデックスと比較して設定来で10%ほどマイナスに乖離している点が少し気になります。
米国株式配当貴族(年4回決算型)の基準価額と純資産総額の推移は以下のようになっています。
基準価額は右肩上がりに伸びており、純資産総額も近年順調に拡大しています。
最近になって、ベンチマークからのマイナスの乖離が目立っているね…
マイナス要因の理由としては、①コスト負担と②配当金に対する課税が大きいです。
マイナス要因の理由を詳しく見る
①コスト負担(当ファンドの信託報酬や、マザーファンドにおける売買コストや保管費用など)
②配当金に対する課税(ファンドでは税引き後の配当金が計上される一方、ベンチマークは税引き前で計算されるため)
運用報告書より
米国株式配当貴族(年4回決算型)の評価・評判
米国株式配当貴族(年4回決算型)は5段階評価でいくつ?
米国株式配当貴族(年4回決算型)の評価はズバリ3です。
理由としては、以下が挙げられます。
- 25年以上連続増配銘柄の安定感
- 下落相場に強い
- 低くない信託報酬
- ベンチマークからのマイナスの乖離が目立つ
まず、25年以上連続増配の銘柄を投資対象とするインデックスファンドである点が、安定感を求める投資家にとっては大きな魅力です。
そのため以下のように、S&P500と比較して下落耐性が高いのも高評価であり、S&P500の抱き合わせとして保有を検討するのがオススメです。
また、リターンとしてはS&P500に引けを取らない水準である点から、低リスク高リターンが狙えるファンドであると言えます。
一方、信託報酬が0.55%とインデックスファンドとしては高めの水準である点には注意が必要です。
さらに、年4回分配金を出すことで税金がかかり、ベンチマークからマイナスに乖離してしまっている点も気になります。
年1.6%程度の分配金を受け取りつつ、S&P500配当貴族指数に投資できる点は悪くないと思います。
分配金を出すメリット(年4回お金がもらえる)・デメリット(税制面で効率が悪い)を理解したうえで投資しましょう。
類似ファンド
他の同じようなファンドとは何が違うんだろう?
類似ファンドである「Tracers S&P500配当貴族インデックス」「SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド」「iFreePlus 米国配当王(年4回決算型)」の3つとそれぞれ比較してみましょう。
米国株式配当貴族(年4回決算型) | Tracers S&P500配当貴族インデックス | SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド | iFreePlus 米国配当王(年4回決算型) | |
---|---|---|---|---|
ベンチマーク | S&P500 配当貴族指数 | S&P500 配当貴族指数 | S&P 米国ディビデンド・グロワーズ・インデックス | なし |
過去1年のリターン | 30.33% | 30.74% | ー | ー |
信託報酬 | 0.55% | 0.1155% | 0.1238% | 0.286% |
純資産総額 | 254,149百万円 | 10,566百万円 | 7,314百万円 | 1,508百万円 |
設定日 | 2018/11/14 | 2022/10/28 | 2023/06/08 | 2023/05/24 |
Tracers S&P500配当貴族インデックスと比較
米国株式配当貴族(年4回決算型) | Tracers S&P500配当貴族インデックス | |
---|---|---|
ベンチマーク | S&P500 配当貴族指数(配当込み・円換算ベース) | S&P500 配当貴族指数 |
投資対象 | 米国株式 | 米国株式 |
構成銘柄数 | 67銘柄 | 68銘柄 |
購入時手数料 | なし(ネット証券) 上限2.2% | なし |
純資産額 | 2,523.16億円 | 105.02億円 |
信託報酬 | 0.55% | 0.1155% |
設定日 | 2018/11/14 | 2022/10/28 |
決算頻度 | 四半期(1、4、7、10月の22日) | 年1回(11月16日) |
どちらもベンチマークは同じで、25年以上連続で増配している米国株式を投資対象としています。
純資産額は圧倒的に米国株式配当貴族(年4回決算型)の方が大きくなっています。
一方、信託報酬はTracers S&P500配当貴族インデックスの方が低く、より低コストで購入可能です。
さらに、決算頻度と分配金の有無にも違いがあります。
米国株式配当貴族はその名の通り、年4回の決算で分配金が出ます。
一方で、Tracers S&P500配当貴族インデックスは、年1回の決算で配当実績はありません。
コスト面ではTracers S&P500配当貴族インデックスに軍配が上がりますが、規模や実績などは米国株式配当貴族の方が優れています。
Tracers S&P500配当貴族インデックスについて詳しく知りたい方は
SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンドと比較
米国株式配当貴族(年4回決算型) | SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド | |
---|---|---|
ベンチマーク | S&P500配当貴族指数 | S&P 米国ディビデンド・グロワーズ・インデックス |
投資対象 | 米国株式 | バンガード・米国増配株式 ETF |
構成銘柄数 | 67銘柄 | 315銘柄 |
購入時手数料 | なし(ネット証券) 上限2.2% | なし |
純資産額 | 2,523.16億円 | 74.09億円 |
信託報酬 | 0.55% | 0.1238% |
SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンドの愛称は「SBI・V・米国増配株式」だよ!
SBI・V・米国増配株式はバンガード・米国増配株式ETF(VIG)を投資対象として、実質的に米国株式に投資します。
ベンチマークであるS&P 米国ディビデンド・グロワーズ・インデックス(円換算ベース)は、過去10年間継続して増配してきた米国企業で構成されており、銘柄数では米国株式配当貴族を上回っています。
ただし、SBI・V・米国増配株式は構成銘柄の上位にマイクロソフトやアップルなどS&P500と重複する銘柄が入っているため、既にS&P500を保有している方には向いていないかもしれません。
信託報酬は、ETFへの管理費用込みで0.1238%と米国の増配株式を対象とする投資信託の中で最低水準のコストとなっています。
まだS&P500を保有していないという方にはおすすめですが、抱き合わせとして保有するなら米国株式配当貴族の方が相性は良さそうです。
iFreePlus 米国配当王(年4回決算型)と比較
米国株式配当貴族(年4回決算型) | iFreePlus 米国配当王(年4回決算型) | |
---|---|---|
ベンチマーク | S&P500配当貴族指数 | なし |
投資対象 | 米国株式 | 主に米国株式 |
構成銘柄数 | 67銘柄 | 48銘柄 |
購入時手数料 | なし(ネット証券) 上限2.2% | なし |
純資産額 | 2,523.16億円 | 14.90億円 |
信託報酬 | 0.55% | 0.286% |
iFreePlus 米国配当王は大和アセットマネジメントが独自の調査に基づき、配当王と呼ばれる50年以上連続で増配している米国企業を投資対象として、全銘柄に均等に資産を配分して投資します。
アクティブファンドでありながら、資産配分を均等とすることでコストを抑え、信託報酬0.286%と、インデックスファンドである米国株式配当貴族を下回るコストを実現しています。
iFreePlus 米国配当王は、2023年5月24日に設定された比較的新しいファンドです。今後の実績に注目です。
【まとめ】曽根原は投資したい?
いろはにマネー編集長の曽根原さんはこのファンドに投資したいと思いますか?
100万円の元本があったとして、どれくらいこのファンドに投資しますか?
現時点では米国株式配当貴族(年4回決算型)に投資はしないですね。
S&P500に引けを取らないリターンと、それ以上の下落耐性は確かに魅力的ですが、コスト面とベンチマークとの乖離率が気になります。
コストが増えてまで配当金を受け取りたいとは思わないので、S&P500の抱き合わせとして投資するならTracers S&P500配当貴族インデックスの方が良いと思います。
単純に「高配当」に注目が集まりがちな昨今ですが、市場の下落に備えて連続増配のファンドにも注目するのは良いと思いますよ。
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