この記事の結論
- トランプ氏は減税、バイデン氏は増税を政策として掲げている
- トランプ氏の方が株価にとってポジティブと考えられている
- バイデン氏が当選した場合、円高が進行する可能性が高くなる
アメリカ大統領選挙の仕組みは?
アメリカでは4年に1度大統領選挙が行われます。
アメリカで選挙が行われるのは夏季オリンピックとパラリンピック開催の年と同じってことね!
投票日は11月の最初の月曜日の翌日と決まっていて、2020年の選挙は11月3日が本選の投票日となっています。
ただし大統領選に出馬するためには、まず夏にある全国党大会で党の正式大統領候補として指名されないといけないので、そこで指名された大統領候補が本選挙に挑みます。
特殊な選挙制度
本選挙では「勝者総取り方式」という少し特殊な選挙制度を採用しています。
人口に応じてアメリカでは各州に「選挙人」が振り分けられています。
例えば、人口の多いカリフォルニア州の選挙人は55人です。
勝者総取り方式では州ごとに投票が行われるのですが、より多くの投票を得た候補者がその州の選挙人の投票を全て獲得することができます。
※メイン州とネブラスカ州は例外です。
得票が一番多い候補者が全ての選挙人の票を獲得できるから「勝者総取り方式」と呼ばれているのね!
2016年のペンシルベニア州の例を見てみましょう。
このグラフの通り、ほんの数パーセントの違いではあったものの、より多くの投票を集めたトランプ氏がペンシルベニア州の「選挙人」20人全員を獲得しました。
そのため、接戦となる地域(スイングステート)でより多くの投票を集めることが重要であり、候補者はスイングステートでの選挙活動に力を入れています。
最終的には、全国合わせて538人の選挙人のうち過半数以上の270人を獲得した候補者が大統領として認められます。
今回の大統領選の論点は?
2020年大統領選挙の候補者はドナルド・トランプ氏(共和党)とジョー・バイデン氏(民主党)です。
今回の大統領選では、感染拡大と新型コロナウイルスが経済へ与えた影響への対応が大きな論点となっています。
アメリカは新型コロナウイルスの感染者数・死者数ともに世界最多だったよね
また、2020年5月のフロイド事件をきっかけに「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」を主張するデモが広がり人種問題への関心も非常に高まっていて、これも論点の一つとなっています。
候補者の公約内容は?
まずは、候補者がどのような人物なのかおさらいしてみましょう!
共和党のトランプ氏は45代目のアメリカ現大統領ですね。
任期中には法人税や所得税を減税し、TPPやパリ協定からの離脱などを行いました。
民主党のバイデン氏は現在77歳(トランプ氏は74歳)で、当選した場合には大統領として史上最高齢になります。
バイデン氏は2009年から2017年のオバマ政権時代に副大統領を勤めた経験があります。
では、今回の選挙ではそれぞれどのような政策を掲げているのでしょうか?
この図からも分かる通り、かなり対照的な政策を掲げています。
バイデン氏は環境問題の対策を実施していくとして、持続可能なインフラの構築も政策の一つとして掲げています。
トランプ氏は新型コロナウイルスへの対応としてはワクチンの早期開発を、経済・雇用に関しては10ヶ月で1000万人の新規雇用を生み出すと主張しています。
大統領選がアメリカの株価に与える影響とは?
では、大統領選は米国株式市場や株価にどのような影響をもたらすのでしょうか?
ちなみに、米国株式市場について詳しく知りたい方は以下の記事を最初に読んでみましょう!
税制案の違いに注目!
大統領選の結果が株価にどんな影響を与えるのかを知るためには、税政策が一つの鍵となります。
トランプ氏は任期中すでに過去最大規模となる減税を進めてきました。
例えば、「トランプ減税」では法人税を35%から21%まで引き下げました。
トランプ減税が発表された際、米連邦準備理事会(FRB)は経済成長率予測を0.4%も上げました。
法人税が減税されると企業の最終利益が増えるから、株価にとっては良い影響として認識されているワン!
一方で、バイデン氏は増税をしていく方針です。
法人税を28%に、また富裕層に対してのキャピタルゲイン課税も引き上げる予定です。
トランプ氏とバイデン氏の税制案は真逆なのね!
バイデン氏が当選した場合、企業の競争力を高めていた法人税の減税が撤回され、さらにキャピタルゲイン税も引き上げられます。
そのため、バイデン氏が当選した場合には一時株安となる恐れがあり、株式市場としてはトランプ氏当選の方がポジティブとされています。
選挙結果が不明になる「心配」
選挙結果が不明ってどういうこと!?
今回は新型コロナウイルスの影響もあり郵便投票がおよそ80%の人に可能となります。
既に一部の州で郵便投票が始まっていますが、その数は大きく増えたと伝えられています。
しかし、トランプ氏はこの郵便投票を「不正の温床である」と発言しています。
ここから考えられる懸念点は、もしトランプ氏が落選した場合、選挙結果をトランプ氏が認めない事態が起きるということです。
選挙結果を認めずに裁判へ進むことになれば、大統領選の結果がわからない非常に不安定な時期が続くことになります。
過去にブッシュ対ゴアの選挙にてフロリダ州の投票の数え直しなどによって、12月12日まで選挙結果が未定となる事件が起こりましたが、この時にはS&P500がおよそ8%も下落しました。
特に今回の大統領選においては郵便投票が急増したことによる集計遅れ、また、選挙結果が認められないという事態が心配ですね。
株式市場は「不確実性リスク」を嫌うから、株価にはネガティブに働くんだワン!
逆に「選挙結果が確実に分かれば、当選者に関わらず株価は上昇するだろう」という見方もできます。
大統領選が日本の株価に与える影響とは?
大統領選の結果は、アメリカ株だけでなく日本株にも大きな影響を与えます。
まず大前提として、日本の株価はアメリカの株価の影響を大きく受けるため、アメリカ株(NYダウやS&P500)が下落した場合は日本株(日経平均)も下落すると考えられます。
これを前提としたうえで、以下の二点を見ていきましょう!
バイデン氏の場合は円高に?
まず、前回の選挙結果の動きを振り返ってみましょう。
前回の選挙でトランプ氏が大統領に決まった時、最初はかなり市場が不安定になったものの、次第に減税をはじめとする経済政策への期待が強まり、ドルが積極的に買われ、円安が進行しました。
では、今回の選挙でバイデン氏が当選した場合はどうなるのでしょうか。
先ほど紹介した通り、バイデン氏は法人税の増税などを提案しています。
法人増税は米国経済への懸念をもたらすのでドルが売られ、円高となる要因として考えられます。
実際10月29日の大統領テレビ討論会を終えた後、さらに10月2日にトランプ氏がコロナウイルスの陽性を明らかにした際はバイデン氏が優勢との考え方が強まり、ドル売り・円買いが進行しました。
バイデン氏が優勢って思われると円高になる傾向があるのね!
一般的に、円高になれば内需・輸入型の企業の株価にはポジティブな影響があり、逆に自動車メーカーなど外需・輸出型の企業にはネガティブな影響があるとされます。
業種別に影響は異なる
日本株に限らず米国株についても言えることですが、選挙結果が株価(個別株)に与える影響は業種によって異なります。
例えば、バイデン氏は環境問題の対策を強めていく政策を提案していますね。
そのため、バイデン氏が当選した場合には環境に関連する銘柄が注目を集め、株価が上昇すると見られています。
また、石油などの従来型エネルギー産業に対しては規制を強めていくので株価が下落する可能性があります。
一方で、トランプ氏が再選した場合には石油や産業部門など規制緩和の恩恵を受ける業種が上昇すると考えられます。
また、実際トランプ政権では株価は継続的に上昇していたため、株高の流れが続くと考えられています。
日本でも、トランプ氏の方が株価にとってはポジティブと考えられているんだワン!
このように、アメリカ大統領選挙はアメリカだけでなく日本の株価へも大きな影響を与えます。
日々ニュースを確認して、自分の投資先への影響や、新たな投資先の発掘に役立ててみましょう!
最新の注目ニュースや記事の更新情報をお知らせ!
各種SNSのフォローもお願い致します!