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SPAC(特別買収目的会社)とは?ゼロから解説!


🔰いろはに結論

  • SPACとは、買収を目的とした会社
  • 被買収企業は資金調達をしながら素早く上場できる
  • SPACへの投資には未公開株と似たリスクもある

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執筆:いろはにマネー編集部
執筆:いろはにマネー編集部

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アメリカで人気の上場手法、「SPAC」のブームが過ぎ去る

あなたはSPAC(特別買収目的会社)をご存知ですか?

日本ではあまり馴染みが無いですが、一時期アメリカで非常に注目が集まっていました。

SPACはIPO(新規上場)の際に用いられる手法で、かつてルールが緩かったことから不正が多いことが問題でした。

しかし、投資家保護の目的で様々なルールが設けられて対策がなされてきたことから、徐々に人気が高まりました。

下のグラフをご覧ください。

1つ目は2013年から2023年のSPACによるIPO(新規上場)の件数を、2つ目は資金調達額を表しています。

SPACのIPO数
SPAC Researchより作成(24年6月10日付)
SPACのIPO資金調達
SPAC Researchより作成(24年6月10日付)

2021年を境に、SPACでのIPO件数と資金調達額が激減しているね……

かつては新興企業にとって魅力的な選択肢であったSPACですが、2022年以降はその人気が急下降してしまう事態に。

でも、そもそもSPACはどういう仕組みなのでしょうか?

SPAC(特別買収目的会社)とは

SPACとはSpecial Purpose Acquisition Companyの略で、直訳すると特別買収目的会社となります。

名前から察しがつくかもしれませんが、SPACは一般的な会社とは異なり、買収を目的に設立された会社になります。

そのため、SPAC自体では事業を行いません。

SPACは事業の実態がないから「空箱」上場とも呼ばれるワン!

SPACの仕組み

SPACによるIPOの流れは以下の通りです。

  1. まず設立者は自己資本を投入してSPACを立ち上げます。これが会社の資産となります。
  2. SPACが上場します。この際に株式を売り出し、投資家から資金を集めます。
  3. その後、買収する企業を探し、買収を行います。
  4. SPACと買収された企業が合併することにより、事業を営む被買収企業が存続会社となり、上場会社となります
SPACの仕組み

なんで買収するだけの会社にお金が集まるんだろう・・・?

お金が集まる理由は大きく分けて2つあります。

1つ目の理由は、SPACの設立者が大企業の元経営幹部であったり著名投資家であるなど一定のネームバリューがある人物が多いことです。
「この人が買収先を探し出すのだからきっと上手くいくだろう」と買収成功への期待が高まることでお金が集まりやすくなります。

最初に紹介した Oaktree Acquisitions Corp.のCEOはゴールドマンサックスの敏腕投資家として有名だワン!

2つ目の理由は、買収が進まなかった場合でも投資資金が返還されるからです。

SPACでは買収が進まない場合でも通常2年程度で金利をつけて投資資金を返還するため、金融緩和で余っているマネーの行き先となっています。

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SPACのメリットとデメリット

では、SPACは買収される企業や投資家にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

買収される企業のメリット

買収される企業には、「資金調達ができる」「SPACでのIPOは比較的早く済む」というメリットがあります。

既存のIPOでは審査の際の条件が厳しかったり、審査に時間がかかるなどスタートアップ企業にとって障害がいくつかありました

さらに最近では、コロナの影響によってIPOが難しくなってしまうケースもありました。

ですがSPACに買収されれば、まとまった額の資金調達ができると同時に、IPOのプロセスを短期間で終えることができます。

手続きが短く、資金調達も簡単にできるのは魅力的だね!

個人投資家のメリット

また、SPACは個人投資家にとっても未公開株式(プライベートエクイティ)に少額で投資できるというメリットがあります。

従来、未公開株式には機関投資家や富裕層などの限られた投資家しかアクセスすることができず、個人投資家にはハードルの高い投資商品でした。

しかしSPAC自体は上場企業であるため、多くの投資家が少額から投資できます。

デメリット

二コラ問題

ここでは「投資家」としてのデメリットを見ていきます。

デメリットとしては、未公開株式への投資リスクというものがあります。

SPACは慎重な判断を重ねて買収先を決めているのですが、買収先が100%安全という訳ではありません。
最近では2014年設立ながら、SPACを用いて短期間で上場を決めた米電動自動車メーカー、二コラが問題になりました。

二コラは今年の6月にSPACを用いてNASDAQに上場し、時価総額は一時3兆円を超えました。

しかし、今年の9月に虚偽の広告を行ったという詐欺容疑がかけられ、同月には創業者兼会長であったトレバー・ミルトン氏が辞任するという衝撃の展開を迎えます。

二コラ 株価推移

株価が乱高下しているね…

SPACに買収される企業は他の上場企業と比べ情報開示が不十分なことも多いため、思わぬリスクが生じることもある。という点は頭に入れておく必要があります。

経営不振なのにSPACによって上場して、株価が暴落する場合もあるワン!
こういう上場を揶揄して「裏口上場」とも言うワン!

株価が急落した場合に損失を被ってしまうのは投資家です。
SPACへの投資を検討する際には、どんな会社を買収するのか、被買収企業の財務状態はどうなっているのか、などしっかりと調べてから投資をしましょう。

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SPACはこれからどうなる?

コロナ禍の経済対策としてブームを巻き起こしたSPACですが、その人気は完全に衰退してしまったものと思われます。

SPACで上場しても成長できずに株価が急落してしまう企業が多発し、投資家離れが加速してしまったのです。

また、2022年に入って行われたFRBによる急速な利上げが、アメリカのIPO自体を激減させました。

SPACが再び熱を取り戻す日は来るのでしょうか。

今後のSPACやアメリカのIPOに注目ですね!

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