・日経平均の銘柄入れ替えはなぜ行われるの?
・2021年の銘柄入れ替えはなぜ注目されているの?
このような疑問にお答えします。
この記事の結論
- 日経平均は、日本の株式市場を映し出す適切な指数であり続けるために銘柄入れ替えが行われる
- 「流動性の高さ」と「業種のバランス」を基準に銘柄の入れ替えが行われる
- 2021年の銘柄入れ替えは、新しい算出・選定ルールが適用されるため注目されている
今年の日経平均の銘柄入れ替えは非常に注目されています。
というのも、日経平均の新たな算出・選定ルールが今年から適用されるためです。
でも、日経平均の算出・選定ルールって何なんだろう?
日経平均は日本の株式市場を代表する株価指数です。
その日経平均の算出・選定ルールを理解しておくことは非常に重要です。
そこで今回は、日経平均の銘柄入れ替えとは何か、 日経平均の新たな算出・選定ルールの重要点を分かりやすく解説します。
日経平均株価(225)とは
日経平均株価とは、日本経済新聞社が東証1部上場企業の中から選出した、225社の平均株価のことです。
日経平均には以下の2つの特徴があります。
- 構成銘柄の流動性が高い
- 業種のバランスに偏りがない
これらの特徴により、日経平均は日本の株式市場を映し出す指数として活用されています。
流動性が高い銘柄は、「頻繁に取引が行われている銘柄」ということだワン!
銘柄の入れ替えとは
日本経済新聞社は、日経平均の銘柄入れ替えを定期的に行っています。
これは、日経平均を日本の株式市場を映し出す適切な指数として保つためです。
そして日経平均の銘柄入れ替えには、定期入れ替えと臨時入れ替えの2種類があります。
今回注目を集めているのは2021年の定期入れ替えです。
- 定期入れ替え
毎年1回、10月の第1営業日に実施 - 臨時入れ替え
構成銘柄が経営統合や経営破綻等で上場廃止になったり、東証2部に指定替えとなり東証1部から外れたりすることで、急遽銘柄の入れ替えが必要になった時に実施
どちらの銘柄入れ替えにおいても、銘柄選定において重要視されるのは、以下の2点です。
- 流動性の高さ
- 業種のバランス
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2021年の銘柄入れ替えは大注目
どうして2021年の銘柄入れ替えは注目されているの?
その理由は日経平均の新たな算出・選定ルールが適用されるからです。
算出・選定ルールの変更点
今回の算出・選定ルールの変更点で重要なものは2つあります。
- 「みなし額面方式」から「株価換算係数方式」に変更し、新規採用銘柄のウェイトを1%以内に抑える
- 定期入れ替えでの、入れ替え銘柄数の上限を3銘柄とする
①がよく分からないよ・・・
それでは、①のルール変更について詳しく見てみましょう。
従来の算出ルール:「みなし額面方式」
2001年の商法改正で撤廃されましたが、もともと株式には50円、500円などといった額面がありました。
つまり、株式を投資家が発行体(企業)から買う際はその額面の額を支払っていたのです。
日経平均株価では、この額面の違いを調整するためにすべての株式を50円の額面に換算して計算しています。
この算出ルールを「みなし額面方式」と言います。
式中の「みなし額面」は日経平均プロフィルから閲覧することが出来ます。
新たな算出ルール:「株価換算係数方式」
「株価換算係数方式」も「みなし額面方式」と同様に、株価の大きさの違いを調整するための計算方法です。
計算方法は下図の通りになります。
式中の株価換算係数は、原則「1」になります。
しかし、採用銘柄の株価が著しく高い場合、組み入れ時のウエートが1%以内になるように係数を0.1~0.9の間で設定します。
任天堂は非常に株価水準が高いため、ウエートを1%以内にするために株価換算係数が0.1になっています。
「株価換算係数方式」の方が、株価の高い銘柄が日経平均株価へ与える影響を小さくできるんだね!
ルール変更の背景
「株価換算係数方式」への変更の背景
この変更の背景には、従来ルールでは「値がさ株」を採用しづらかったという問題があります。
- 値がさ株
1単元あたりの株価水準が高い銘柄のこと。
値がさ株を日経平均株価に組み入れると、その株価水準の高さから日経平均株価に大きな影響を与えてしまいます。
しかし、値がさ株の中には任天堂やキーエンスといった日本を代表する企業が存在します。
このような企業が日経平均に組み入れられていないのは問題であり、この問題を解消するために「株価換算係数方式」への変更が行われたのです。
「入れ替え銘柄数の上限」設定の背景
この変更の背景には、2000年の銘柄入れ替えでの混乱があります。
2000年当時はITバブルの流れを受けて、日本の主要企業に世代交代が起きていました。
時流に沿うために、銘柄選定ルールの変更と共に構成銘柄を30銘柄も一気に入れ替えるという事態が起こりました。
そんな一気に変えて、大丈夫なの?
この大幅な入れ替えの結果、相場は大きく混乱しました。
このような混乱を起こさないために、「入れ替え銘柄数の上限」を設定したと考えられます。
値がさ株に注目!
今回の算出・選定ルールの変更によって、日経平均の新規採用銘柄に値がさ株が選ばれやすくなりました。
つまり、今まで値がさ株だったために選出されなかった銘柄が、日経平均に選出される可能性が高いと言うことです。
実際、今回採用されるキーエンス、村田製作所、任天堂は値がさ株です。
日経平均銘柄に採用されることで、採用銘柄に大きな値動きが起きる可能性もあるワン!
来年以降の銘柄入れ替えも、注目すると面白そうだね!
入れ替え対象銘柄
2021年10月の入れ替え対象銘柄は、以下の通りです。
採用銘柄 | 除外銘柄 |
キーエンス(6861) | 日清紡ホールディングス(3105) |
村田製作所(6981) | 東洋製罐グループホールディングス(5901) |
任天堂(7974) | スカパーJSATホールディングス(9412) |
以下では、新規採用の3銘柄を詳しくご紹介します。
キーエンス(6861)
企業名 | 株式会社キーエンス |
設立年 | 1974年 |
時価総額 | 約16.7兆円 |
売上高(21/3期) | 約5,381億円 |
キーエンスは、ファクトリー・オートメーション(FA)用センサー等を取り扱うファクトリー・オートメーションの総合メーカーです。
海外での売上が多く、21/3期は海外での売上が全社売上の半分以上を占めています。
村田製作所(6981)
企業名 | 株式会社村田製作所 |
設立年 | 1950年 |
時価総額 | 約6.3兆円 |
売上高(21/3期) | 約1.6兆円 |
村田製作所はコンポーネント(コンデンサ・圧電製品等)、モジュール(通信モジュール・電等)の電子部品等の開発や製造、販売を主に行う企業です。
旺盛な部品需要に対して、村田製作所の強みである「供給力」を活かし、今期は売上・利益ともに過去最高値を予想しています。
任天堂(7974)
企業名 | 任天堂株式会社 |
設立年 | 1947年 |
時価総額 | 約6.4兆円 |
売上高(21/3期) | 約1.7兆円 |
任天堂はホームエンターテインメント分野で娯楽製品の開発や製造、販売等を行っています。
主力製品の1つであるNintendo Switchの新型機が2021年10月8日に発売予定です。
【まとめ】日経平均の銘柄入れ替えとは
今回は日経平均の銘柄入れ替えの概要、2021年の入れ替えが注目されている理由について解説してきました。
重要な点は以下3つです。
- 日経平均は、日本の株式市場を映し出す適切な指数であり続けるために銘柄入れ替えが行われる
- 「流動性の高さ」と「業種のバランス」を基準に銘柄の入れ替えが行われる
- 2021年の銘柄入れ替えは、新しい算出・選定ルールが適用されるため
日経平均の銘柄入れ替えルールを理解できたよ!
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※本記事は2021年9月28日時点の情報を元に作成されています。
※本記事内で紹介されている意見は個人的なものであり、記事の作成者その他紹介企業等の意見を代表するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の商品や手法を推奨するものではありません。投資に関する意志決定はご自身の判断にてお願い致します。