2024年から新NISAが始まり、積立投資をする方がかなり増えました。
「新NISAといえば積立投資」というイメージかと思いますが、実は違います。
1月~3月のデータを見ると、成長投資枠の買付額は、つみたて投資枠の約5倍にのぼりました。
なぜ世間のイメージとは違い、成長投資枠の方が利用されているのか分析してみると、これは必然であることが分かりました。
本記事では、その理由を3つの観点から解説します。
成長投資枠の買付額はつみたて投資枠の約5倍
まず前提として、成長投資枠とつみたて投資枠の違いは以下の通り。
※もっと新NISAについて知りたい方は「新NISAの成長投資枠とは?おすすめ銘柄を専門家監修で紹介」の記事もご覧ください。
そして、2024年1月~3月の成長投資枠とつみたて投資枠の買付額は以下の通り。
単位:億円 | 買付額 |
---|---|
成長投資枠 | 51,355 |
つみたて投資枠 | 10,436 |
※2024年1~3月
このように成長投資枠での買付額は、つみたて投資枠の約5倍にのぼることが分かります。
また下図の通り、NISA買付額のうち、83%は成長投資枠で買われているのも特徴的です。
ただし、成長投資枠の内訳を見ると株式と投資信託の比率は約半数。成長投資枠でも投資信託が買われていることが分かります。
NISAは積立投資のイメージがあったけど、なぜだろう?
成長投資枠が圧倒的に多いのは”必然”
なぜ成長投資枠の買付額が多いのか、理由を考えると必然であると言えます。
この理由を3つの観点から見ていきましょう。
一括投資できる
成長投資枠は一括投資が出来るという点から、買付額が多くなっていると考えられます。
月間投資枠の上限 | |
---|---|
成長投資枠 | 240万円(年間の上限額) |
つみたて投資枠 | 10万円 |
表の通り、つみたて投資枠では、毎月の投資枠の上限は10万円です。
それに対し成長投資枠には月間の上限はなく、年間の非課税投資上限額の240万円を一括投資できます。
でも、なんで積立じゃなくて一括投資するのかな?
そもそも株式投資で積立はできませんが、投資信託でも一括投資は人気です。
その理由として、新NISAで人気を博している米国株式や全世界株式の強い右肩上がりのトレンドが挙げられます。
以下のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の基準価額のグラフをご覧下さい。
このグラフから、両方とも強い上昇トレンドであることが分かります。
このように上がり続けていることから、年初に一括で購入した方が利益が大きくなると考え、一括購入をする投資家は多いです。
また、買付額が5倍というデータは、2024年1~3月の期間のデータです。
したがって、年初に新制度が開始したばかりということもあり、成長投資枠で年初に一括購入した人が多いという可能性も考えられます。
投資上限額が高い
そもそも成長投資枠の投資上限額が高いことも、買付額が多い理由の1つです。
年間の非課税投資上限額 | |
---|---|
成長投資枠 | 240万円 |
つみたて投資枠 | 120万円 |
また、非課税で投資できる総額は全体で1,800万円(元本ベース)ですが、そのうち成長投資枠は1,200万円です。
万が一つみたて投資枠の年間上限となった場合でも、成長投資枠で積立投資することもできます。
そのため、以下の図の通り成長投資枠を用いて投資信託を購入する人が一定数いたのでしょう。
成長投資枠は株式のイメージがあったけど、意外だね!
買付できる商品数が多い
成長投資枠では、つみたて投資枠よりも買付できる商品数が多いため、より幅広く投資できるという点もあります。
投資対象商品 | 取扱い投資信託数 | |
---|---|---|
成長投資枠 | 上場株式・投資信託など | 1,939本 |
つみたて投資枠 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 296本 |
株主優待や配当を狙った個別株投資(日本株・アメリカ株)は成長投資枠のみ対象です。
また、投資信託も成長投資枠とつみたて投資枠では商品数が大きく異なります。
ETFやREITは、成長投資枠で317本取り扱っているワン!
投資信託だけでなく、ETFや国内株式・外国株式を購入したい場合は、成長投資枠を利用することになります。