Key Points
- 安川電機の本決算は2月。他社よりも決算発表が1ヶ月ほど早いので、設備投資関連企業の試金石となり、非常に参考になる!
- 2023年7月の1Q決算では、その後の決算発表企業の試金石となった(株価データあり)。
- 毎月15日頃に内閣府が発表する機械受注も参考にしよう。
ナゼ安川の決算?
安川電機(6506)はFA機器で利用されるサーボモータやインバータで世界最大手の企業で、産業用や半導体製造装置用のロボットも展開している。
売上高は24/2期予想で5,800億円、時価総額は約1.5兆円と日本を代表する設備投資関連企業の1社ともいえよう。
では、ナゼ重要なのか。これは同社が2月本決算であるというところが大きなポイントとなっている。
多くの製造業、特に大手ではほとんどが3月または12月本決算。
つまり同社は他社との比較で決算発表が1ヶ月ほど早い。従って、同社の決算発表後に発表となる設備投資関連企業の試金石となり、非常に参考になる。
決算は実際どうだった?
7/7に発表した同社の24/2期1Q決算は19%増収、18%営業増益、通期予想の修正はなし。
営業利益は市場コンセンサスを下回ったとはいえ、2桁増収増益と悪くはない。
しかし、株価は発表翌日に3%超の下落し、その後の戻りも日経平均が上昇する中でも鈍く、9/19発表前を6%下回った水準。
背景にあるのが受注の低迷。
23/2期4Qが前年同期比17%減、24/2期1Qが同18%減と2四半期連続でのマイナスとなった。
もうひとつの株価下落要因は、営業利益がコンセンサスを下回ったことにある模様。
では先ほどの「試金石」といったことがどのような形で現れたのか。
まずは7/27に発表したオムロン(6645)の24/3期1Q決算。
10%増収、20%営業増益ながら株価は決算発表翌日に10%下落、制御装置が期待ほど伸びなかったことが背景にあった模様。
翌7/28に発表したファナック(6954)の24/3期1Q決算は前年同期比5%減収、35%営業減益となり通期予想を下方修正。
中国の低迷が背景にあった模様。翌営業日の株価は7%下落。
これら2社についても、日経平均が伸びる中で足元まで底這い圏で株価が推移している。
機械受注にも注目
安川電機の決算発表は他の大手設備投資関連との比較で1ヶ月程度発表が早い。
そのため、決算発表後の株価動向とその要因を、後に発表する設備投資関連企業の決算発表までに腰を据えて見ることが可能。
つまり、その後に発表となる企業への投資判断に繋げることができる。
同社の2Q決算発表は10/6の予定。
なお、今回は微妙だがポジティブに働く場合も同様(通常はポジティブなことが多い)。
このほかに設備投資関連業界の今後の状況を見る上では、毎月15日頃に内閣府が発表する機械受注が品目別の詳細も発表されており、参考になる。
なお、機械受注における産業用ロボットについては、昨年12月(今年2月に発表)から受注が2桁減となっていた(その後23年7月まで8ヶ月連続の2桁減)。
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