ユニクロの株価はおかしいってどういうこと?
株価が高すぎる理由は?
このようなお悩みを解決します。
🔰いろはに結論
ユニクロ(ファーストリテイリング)の株価がおかしい理由は以下の3つ!
- 日経平均への寄与度が高いことから、株価が高止まりしている!
- NISAなどで人気な日経平均連動型ファンドに資金が流入していることが、間接的に株価上昇を促進させている!
- 株が売りに出されずに買われ続けているので、浮動株率が低いことによって、株価が上がり続けている!
国内で有数の衣料ブランドであるユニクロ。
そのブランドオーナーである「ファーストリテイリング」では、「GU」や「Theory」など他ブランドと合わせて世界規模でのシェア率拡大に向けて展開しています。
そんなファーストリテイリングの株を買ってみたいという方は多くいるでしょう。
でも、ユニクロの株価は「高すぎておかしい」って意見をよく見かけるから不安…。
そこで今回は、ファーストリテイリングの株価がおかしいと言われる理由を分かりやすく解説します。
さらに、ファーストリテイリングの業績や株価推移、将来性についても解説していますのでぜひ最後までご覧ください。
合同会社 Next Meeting 代表取締役 いろはにマネー監修者:たけぞう
専門家のポイント
ファーストリテイリングの株価は今後も注目です。
ユニクロ(ファーストリテイリング)は、日経平均の構成比率が最も大きい企業であり、浮動株も少ないだけに日経平均に連動する事が多いです。日本経済新聞社が2022年から日経平均のウェートギャップの導入を発表しました。2022年、2023年はクリアーしましたが、2024年はウェートギャップが導入される為、9月には同社株への売り需要が発生します。この資料の7ページを参照してください。
注:以下本記事では、「ファーストリテイリング」と「ユニクロ」を同義語として使用して解説します。
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ユニクロの株価が高すぎる理由は?3つの要因を解説
💡このパートの要約
ユニクロの株価が高すぎる理由は…
- 日経平均株価への寄与度が高く、日経平均への影響が大きい
- NISAの普及により日経平均連動型ファンドへの資金流入が増えるに伴って、ユニクロ株も買われている
- 浮動株比率が低く、ユニクロ株への需要が高い
ユニクロの株価ってどうしてあんなに高いの?
ユニクロの株価がおかしいと言われる理由として、ユニクロの株価が高すぎることが大きな原因とされています。
ここでは、ユニクロの株価が高すぎると言われる原因を以下の3つから解説していきます。
日経平均へ大きな影響を与えている
まず大きな理由として、「日経平均株価への寄与度が高い」ことが挙げられます。
日経平均株価ってなんだっけ?
日経平均株価とは、日本経済新聞社が算出、公表をしている日本の株式市場の代表的な株価指数の一つです。
日経新聞社が選定した225社の株価平均であり、今の日本経済の状況を大きく反映している指標ともいえます。
以下は、日経平均株価の2023年時点での上位10銘柄です。
銘柄 | 業種 | 比率 |
---|---|---|
ファーストリテイリング | 小売業 | 10.8% |
東京エレクトロン | 電気機器 | 6.4% |
アドバンテスト | 電気機器 | 3.9% |
ソフトバンクグループ | 情報・通信業 | 3.6% |
ダイキン工業 | 機械 | 2.9% |
KDDI | 情報・通信業 | 2.8% |
ファナック | 電気機器 | 2.6% |
信越化学工業 | 化学 | 2.4% |
テルモ | 精密機器 | 1.9% |
TDK | 電気機器 | 1.8% |
ニッセイアセットマネジメントより
ユニクロだけ10%を超えているね!
ユニクロ(ファーストリテイリング)の日経平均株価構成比率は10.8%と1位になっています。
一般的に、株価が高い方が日経平均の中に占める割合が高くなり、寄与度が高くなるので、ユニクロの株価が高いと言われる要因には日経平均が大きく影響していることがよく分かりますね。
でも日経平均のルール改定や比率変化によって、株価が乱高下する恐れがあるともいえるワン!
2024年8月現在 日経平均の構成比率11%をユニクロが占めています。日経平均採用銘柄でダントツでトップです。日経平均株価の寄与度は、ある一定期間の日経平均株価の値動きに対し、ひとつの構成銘柄の値動きが何円くらい影響したかを表します。構成比率の高い同社の株価が日経平均に与える影響はかなり大きいです。
日経平均連動型ファンドに資金が流入している
最近では「新NISA」制度が始まったことにより、個人が行う投資や資産運用への関心が以前よりも高まってきています。
その中でも特に、日経平均インデックスファンドや日経平均に連動するETF(上場株式投資信託)は投資先として人気が高くなっています。
このように日経平均のファンドに多く資金が流入しやすくなった結果、それに伴って日経平均への寄与度の高いユニクロの株価も上昇していくことは自然な流れですよね。
2024年から始まった新NISAで日経平均連動型への資金の流入により、同社株への買い付けが多く見られます。また、日銀がETFで日経平均型を以前購入していた事がありました。
浮動株比率が低い
浮動株ってなに??
浮動株とは発行されている株式の中で安定して保有されずに市場に流出される、つまり売りに出される可能性の高い株式のことです。
浮動株比率とは、発行されている株式の中で売られる可能性高い株式がどれくらいあるのかを示す数値となります。
ユニクロでは、この浮動株率が低いことが、株価上昇を促しているといわれています。
前述したように、ユニクロの株価は日経平均に大きな影響を与えていて、その日経平均にまつわるファンドやETFに資金が流入していることから株価が高くなっています。
だから現状では、株を売りたい人より買いたい人の方が多いと考えられるワン!
売りたい人が相対的に少ないことは、「市場に流出される可能性のある株式が少ない=浮動株率が低い」ということになります。
このような点から、浮動株率が低いことがユニクロの株価を上昇させている原因の一つと考えられます。
柳生一族の持株保有比率や、前途した日銀が以前購入したETFによって、同社株の浮動株は少ない状況です。日銀の間接的保有割合が約20%といわれています。
ユニクロの基本情報
💡このパートの要約
- 「ユニクロ」や「GU」以外にもいくつもの衣服ブランドを国内外に展開している
- 2023年8月期まで3期連続で増収増益を達成
- 2020年からの約4年間で株価は約3倍に上昇している
ここでは、ユニクロの基本情報についてまとめます。
以下の3つの情報について詳しく見ていきましょう。
事業内容
ユニクロの他ブランドや事業の展開はどんなものがあるのかな?
ファーストリテイリングは、ユニクロをはじめとする衣料ブランドを国内外で展開しています。
グループでの事業は以下の通りです。
ユニクロ(UNIQLO)
ユニクロは言わずもと知られた国内屈指の衣料ブランドです。
その人気は国内に留まることなく、世界中で店舗拡大を続けるなどシェア率とその規模を年々拡大させつつあります。
ユニクロは去年販売したショルダーバッグが世界中で話題になったよね!
ジーユー(GU)
ジーユーも言わずと知れた、国内でのシェア率の高い衣料品ブランドです。
ユニクロと同様の人気を誇りながらも、ユニクロより低価格で流行にアイテムが買える点が魅力的であるとして人気のあるブランドです。
セオリー(Theory)
「最高級をアフォーダブル(手の届く)に。NY発の洗礼されたファッションブランド」をスローガンに掲げ、商品展開をするセオリー。
ユニクロやジーユーとは知名度という点ではやや劣りますが、国内で450店舗以上を展開しているので実力のあるブランドと考えられます。
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コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNIERS)
1995年にフランスで生まれたコントワー・デ・コトニエは、フランスの文化と職人技を深く反映しているファッションブランドです。
主にフランスやアメリカなど国外での店舗を拡大しています。
プリンセス タム・タム(PRINCESSE tam·tam)
「女性が自分らしくあるための下着」をブランドコンセプトにした、フランス発のランジェリーブランド。
ファッション性と機能性を兼ね備えたランジェリーを求める女性たちに長い間愛され続けています。
2005年にファーストリテイリングが買収したブランドでもあるよ!
プラステ(PLST)
通勤服として、消費者の生活に密着したブランドがプラステの特徴です。
主にウィメンズの商品を展開しています。
でも去年に大量閉店したニュースがあったよね。。
プラステの店舗は去年の8月末時点で元あった102店舗のうち40店舗以上を閉店したとのこと。
コロナ禍で売り上げが落ち込んだことから、ブランドの構造改革の一貫として閉店する店舗が相次いだそうです。
業績
同社の直近5年の業績は以下のようになっています。
通期の売上高・営業利益は、2020年8月期に減少したものの、2023年8月期に至るまで連続で増収・増益を続けています。
欧米、東南アジアのユニクロ事業、ジーユー事業の業績が好調で、それらがグループ全体の事業拡大をけん引したことが増益の要因とされいています。
しかし、グローバルブランド事業においては減収、営業利益は17億円と赤字となっています。
プラステ、コントワー・デ・コトニエ事業で事業構造改革に大きくコストをかけたことで、商品開発が進まず集客に苦しんだことが原因とされています。
全体としては業績の好調ぶりが伺えるね!
7月11日に公表した2024年8月期第3四半期は連結最終利益は前年同期比31.2%増の3128億円に拡大しました。通期の同利益を従来予想の3200億円→3650億円と上方修正も合わせて公表しています。北米・欧州、東南アジアのユニクロ事業が大幅な増収・増益となりました。
株価推移
直近5年のユニクロの株価の推移(2024年7月まで)を見てみましょう。
2020年上半期に下落をしていますが、2024年時点で、約3倍近い株価の上昇がされています。
2022年では店舗の大量閉店や減収によって大きく落ち込みますが、2023年頃から業績の回復などにより、日経平均の上昇に伴って株価が上がり続けています。
2024年3月に1対3の株式分割が行われたけど、大幅に落ちることなく高値を維持しているね!
配当政策・株主還元
ユニクロの配当の推移を見てみましょう。
1株あたり配当金(円) | 配当性向(%) | |
---|---|---|
2019年8月期 | 160.0 | 30.1 |
2020年8月期 | 160.0 | 54.2 |
2021年8月期 | 160.0 | 28.9 |
2022年8月期 | 206.7 | 23.2 |
2023年8月期 | 290.0 | 30.0 |
配当金は安定的に推移しており、直近2年は増配しています。
一方で配当性向は、30%に落ち着いています。
次章の表内からも分かるように、配当利回りは1%未満となっており高配当銘柄ではないことが分かります。
なお株主還元については、現状優待制度はありません。
7月11日に公表した2024年8月期第3四半期は連結最終利益は前年同期比31.2%増の3128億円に拡大しました。通期の同利益を従来予想の3200億円→3650億円と上方修正も合わせて公表しています。北米・欧州、東南アジアのユニクロ事業が大幅な増収・増益となりました。
競合他社と比較!ユニクロの強みと弱みは?
💡このパートの要約
- ユニクロのPERは40.2倍とかなり割高な水準となっている
- ユニクロの営業利益率は13.8%と、効率的な経営水準を維持している
- EPSが638.8円で競合比で圧倒的な収益力を誇っている
衣服を扱う小売業の競合3社と比較して、ユニクロの特徴を見てみましょう。
大きく分けて、以下の3つの特徴が挙げられます。
以下、衣服を扱う小売業4社について主要財務データと参考指標を表にまとめて比較してみます。
決算 | ユニクロ(9983) | しまむら(8227) | ワークマン(7564) | ZOZO(3092) |
---|---|---|---|---|
売上高 | 2兆7665億円 | 6350億円 | 1326億円 | 1970億円 |
当期純利益 | 2962億円 | 400億円 | 159億円 | 443億円 |
営業利益率 | 13.8% | 8.7% | 17.4% | 30.5% |
自己資本比率 | 57.4% | 86.1% | 84.5% | 52.4% |
ROE(自己資本利益率) | 14.8% | 8.4% | 12.7% | 52.3% |
PER(株価収益率) | 40.2倍 | 13.2倍 | 18.9倍 | 17.4倍 |
PBR(株価純資産倍率) | 6.4倍 | 1.1倍 | 2.5倍 | 14.5倍 |
EPS(1株当たり純利益) | 638.8円 | 142.0円 | 195.9円 | 285.4円 |
配当利回り | 0.8% | 2.6% | 1.8% | 2.6% |
PERが40.2倍とかなり割高
財務データから分かるユニクロの強みは、PERの高さです。
PERについてある時点での株価が割安・割高を判断する指標のことで、一般的に「15倍」が基準値されています。
これを考えると、ユニクロの40.2倍はかなり高く、株価は割高と感じざるを得ません。
PERが同業他社と比較して高いですが、EPS(1株当たり純利益)は他社を圧倒しています。また、海外進出によって今後、更なる成長も期待されます。
営業利益率が13.8%とバランスが取れている
一方のユニクロの強みとして、営業利益率の高さが挙げられます。
一般的に、営業利益率は10%~15%が優良されている中で、表ある4社の中で唯一このレンジに入っているのがユニクロです。
営業利益率が13.8%と非常に収益性が高いことを示しており、ユニクロの強みと言えるでしょう。
営業利益率が15%以上だと、会社の組織体制に問題がある可能性があるんだワン!
2024年8月期第3四半期での営業利益率が15%となっています。営業利益率は10%~15%が優良されており、かなり優秀です。
EPSが638.8円と競合企業の中でトップ
さらに、もう一つの強みとしてEPSが大きい点です。
EPSは、1株当たり利益を示す数値で、主に企業の収益力を判断するのに参考になります。
ユニクロのEPSは競合企業中でも飛び抜けて大きく、業界の中でも大きな収益力があることが示されています。
EPS以外にも「ROE」や「PER」からも、企業の収益力を判断することができるよ!
2024年8月期第3四半期でEPSは1147円なっています。圧倒的な数字です。EPSからわかることは、企業の稼ぐ力「収益力」と「成長性」の2つです。EPSは企業の規模に関わらず、1株当たりの利益の大きさを表すので、基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いと見ることができます。
ユニクロの10年後はどうなる?将来性を分析
💡このパートの要約
- ユニクロは将来的に売上高10兆円の目標を掲げている
- 世界の主要都市への出展を進め、グローバルブランドの強化を目指す
- グローバル化に向けてチーム経営を強化していく
結論として、ユニクロは今後も成長し続けて株価も安定的に上昇していくと考えられます。
ここではユニクロの10年後や今後の将来性を以下3点から考察していきます。
売上10兆円を目標に成長
ファーストリテイリングが掲げる大きな目標として、「売上高10兆円に到達」というものがあります。
明確にいつまでにこの目標を達成するとは言及されていませんが、今後、数年程度で売上高5兆円を達成するという中期的な目標も設定しています。
柳井会長は、5年後(28年8月期)に売上収益を5兆円に引き上げ、10年後に現状の3倍以上の10兆円を目指すと発表しています。中国や東南アジアに加え、欧米での出店を増やし、売り上げを伸ばすとしています。海外事業が非常に堅調に推移しており、今後の同社への期待も高まります。
グローバルブランドの強化
目下の目標である売上高5兆円に到達するために、ファーストリテイリングは世界の主要都市にグローバル旗艦店の出店を拡大してグローバルブランドとしての地位を確立していくそうです。
ファーストリテイリングの主力セグメントである「ユニクロ」は、アジア、北米での継続的な出店をしながら、まだ店舗数が少ない欧州での店舗拡大をしていく方針となっています。
直近ですと、「GU」が2024年秋に米国に海外初の旗艦をオープン予定と、国内発のブランドを更にグローバル化する姿勢が見られます。
10兆円の売り上げを達成するには、海外でのブランディングは絶対必要だよね!
チーム経営体制を強化
グローバルなビジネスをさらに強めていくために、「チーム経営」に力を入れていくという方針を定めています。
「チーム経営」とは、社内外のプロジェクトや社内経営において、1人ではなく、多くの幹部や従業員が参加していくことを指します。
世界各国や各地域の経営者とともに経営チームを構築すると同時に、全社の各部門が連携し、グループ一体となった真の「全員経営」の実現を目標としています。
海外展開の成功には、社員一人ひとりの成長が鍵だと考えているんだね!
【まとめ】ユニクロの株価がおかしい?
ここまで、ユニクロの株価がおかしい理由について解説していきました。
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
🔰 いろはにまとめ
ユニクロの株価がおかしい(高い)理由は3つ!
- 日経平均株価の影響を大きく受けているから
- 人気な日経平均連動型ファンドに資金が流入しているから
- 浮動株率が低いから
やはり日経平均の平均の比率の1割を占めているという国内経済事情が色濃く反映されているのが分かります。
2024年7月4日時点で日経平均は4万円台を突破するなど、日本株が全体的に上昇しているというトレンドの影響もあって、今度ユニクロの株価はさらに上昇していきそうです。
もちろんグローバルビジネスが成功している点が評価されていからこその株価上昇だという人も多いよ!
国内有数の世界規模で展開する企業なので、今後の動向に注目していきましょう。
その他の個別株に関する記事も、編集部目線で解説しているので、ぜひ一緒にご覧ください。