・東京エレクトロンの株価が高いのはなぜ?
・他の半導体と比較した強みや弱みは?
・今後の株価や配当はどうなるの?
このようなお悩みを解決します。
🔰いろはに結論
- 半導体市場の拡大やESGへの取り組みから需要が高まり株価は高め
- 収益性は高さが強みだが、株価の割高感は弱み
- 業績も堅調で、配当性向も高め
東京エレクトロンは、半導体製造装置、ディスプレイ製造装置などを開発、製造、販売を行う企業です。
同社は半導体製造装置のリーディングカンパニーとして知られ、その株価は高水準を維持しています。
実際に株価が高いと言われる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
そこで今回は、東京エレクトロンの株価が高いと言われる理由や、株価・配当の今後についてわかりやすく解説していきます。
東京エレクトロンの株価はなぜ高い?理由3つを解説
💡このパートの要約
東京エレクトロンの株価が高い理由は…
- IoTやAIの普及、5G通信の導入など半導体需要の高まり
- 高い技術力で半導体製造装置市場において、世界トップクラスの市場シェア
- 複数の評価を受賞するほど積極的なESGへの取り組み
東京エレクトロンの主業である半導体は多くの電機・電子機器の開発で早い段階から使用されたり、さまざまな機械に搭載されたりしています。
半導体は、私たちがいつも使う携帯電話やパソコン、家電製品、電車などの交通インフラなど、あらゆる電機・電子機器のなくてはならない部品だね!
そのため半導体の市況や動向が景気の先行指標になることもあるほどです。
ここで、東京エレクトロンの株価推移を見てみましょう。
2019年から2024年までの5年間チャートですが、近年株価が急上昇していることがわかります。
どんな要因があってこんなにも株価が上昇したのかな?
ここからは、東京エレクトロンの株価が高くなった理由を3つご紹介します。
半導体市場の拡大
東京エレクトロンの株価が高い理由の一つとして、半導体市場の拡大が挙げられます。
半導体は現代社会において、スマートフォン、パソコン、自動車、家電製品など、あらゆる製品に欠かせない存在です。
近年、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)の普及、5G通信の導入などにより、半導体需要はますます高まっています。
半導体市場は今後も成長が見込まれており、東京エレクトロンは半導体製造装置のリーディングカンパニーとして、この市場の成長から大きな恩恵を受けることになるでしょう。
ここで半導体市場全体の動向を示すSOX指標をご覧ください。
SOX指標とは
SOX指標とは、半導体の製造・流通・販売を手掛ける企業(インテル、AMD、クアルコムなど30銘柄)の株式で構成される単純平均株価指数のことです。
アメリカのフィラデルフィア証券取引所が算出・公表しています。
半導体市場が年々拡大しているということがよくわかるね!
市場シェアの拡大
東京エレクトロンは、半導体製造装置市場において、世界トップクラスのシェアを誇っています。
同社は、高品質で革新的な製品を提供することで、顧客からの信頼を獲得し、市場シェアを拡大してきました。
下の図のように、半導体の高性能化のために必要な複数の工程の製品群で世界トップクラスのシェアを有します。
特に、最先端の半導体製造プロセスに不可欠な塗布現像やガスケミカルエッチングにおいて、高い技術力を有しています。
市場シェアの拡大は、東京エレクトロンの収益安定化に大きく貢献しており、株価の上昇を支える要因の一つとなっています。
世界規模でこんなにも高いシェアを有しているなんてすごいね!
ESGへの取り組み
近年、ESG投資が注目を集めており、企業のESGへの取り組みは、投資家の評価に大きな影響を与えています。
ESG投資とは
ESG投資とは、環境や社会に配慮して事業を行っていて、適切なガバナンスがなされている会社に投資しようとすることです。
環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉で、これらが重視されています。
これは、こうした社会課題をクリアしていく会社は中長期的にリターンを期待できるという考えから広まりました。
東京エレクトロンは、環境負荷の低減、従業員の多様性と包容性、透明性の高いガバナンス体制など、ESGに関する様々な取り組みを進めています。
その結果、「DJSI」や「The Sustainability Yearbook」、「FTSE4 Good Index Series」をはじめとする数々の評価を受賞するなど世界的に見てもESGに積極的な企業です。
こうしたESGへの積極的な取り組みは、投資家の信頼を高め、株価の上昇に貢献しています。
ただ業績をあげるだけでなく、社会課題を解決しようとする姿勢が求めれられているんだね!
以下に、ESG投資に関連する記事をいくつかご紹介するので、興味のある方はぜひあわせてご覧ください。
東京エレクトロンを競合他社と比較!強みや弱みは?
💡このパートの要約
- 収益性が高く、健全な財務状況を維持している
- PERやPBRが高く、割高水準となっている
類似企業のSCREENHD(7735)、アドバンテスト(6857)、東京精密(7729)の3社と比較して、東京エレクトロンの強みや弱みを見ていきましょう。
大きく以下の強み、弱みが挙げられます。
以下に、4社の主要財務データと参考指標を表にまとめ、比較してみます。
2024年3月期 | 東京エレクトロン(8035) | SCREENHD(7735) | アドバンテスト(6857) | 東京精密(7729) |
---|---|---|---|---|
売上高 | 1,830,527 | 504,916 | 486,507 | 134,680 |
当期純利益 | 363,963 | 70,579 | 62,290 | 19,378 |
営業利益率 | 24.9 | 18.6 | 16.8 | 18.8 |
自己資本比率 | 71.1 | 54.9 | 64.2 | 69.4 |
ROE(自己資本利益率) | 20.8 | 19 | 14.4 | 12.4 |
PER(株価収益率) | 36.5 | 19.6 | 71.4 | – |
PBR(株価純資産倍率) | 9.3 | 3.8 | 11.1 | 3.1 |
配当利回り | 1.4 | 1.4 | – | – |
時価総額 | 16,227,080 | 1,409,872 | 4,784,907 | 492,669 |
各社決算短信より作成
4社とも3月決算
強み:高い収益性・健全な財務状況
東京エレクトロンの強みは、高い収益性と健全な財務状況です。
上記の表からもわかるとおり、時価総額、営業利益率、当期純利益、自己資本比率、ROEの高さが他社よりも秀でていることがよくわかります。
長期的な成長性や安全性がある企業なので、魅力的な投資先と言えるでしょう。
弱み:株価の割高感
東京エレクトロンの弱みは、株価の割高感です。
上記の表からも、PERとPBRが高いことがわかると思います。
こうした銘柄は実際の企業の価値に対して株が買われ過ぎている可能性があります。
それぞれの指標の意味が分からない、不安だという方はこちらの記事も合わせて読んでみましょう。
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東京エレクトロンの事業内容・業績
💡このパートの要約
- 半導体製造装置やFPD製造装置など、国際的に優れた技術を有している
- 過去5年の業績の推移は横ばいだが、高利益率で収益性は高く安定している
ここからは、東京エレクトロンの基本情報について詳しく説明していきます。
以下の2つの情報をまとめます。
事業内容
東京エレクトロンでは、以下4つの事業を運営しています。
- 半導体製造装置
- FPD製造装置
- 電子部品
- コンピュータ・ネットワーク
半導体製造装置
パソコン、携帯電話など、デジタル製品の基幹部品である半導体デバイスの生産を担う半導体製造装置を幅広く取り揃え、世界の半導体デバイスメーカーに、優れた技術サポートとともに提供しています。
高い生産性を備え、多様な顧客ニーズに応える東京エレクトロンの製品と技術は、ますます高度になる半導体製造に今やなくてはならないものです。
同社では、ウェーハ処理プロセスに必要な、コータ/デベロッパ、プラズマエッチング装置、熱処理成膜装置、枚葉成膜装置、サーフェスプレパレーションシステムおよび検査工程で使われるウェーハプローバなどの半導体製造装置に関する開発、製造、販売をグローバルに展開しています。
そして製品の多くがグローバルマーケットでトップシェアを獲得中です。
売上高構成比も75.4%と東京エレクトロンの主要事業だといえます。
FPD製造装置
美しく鮮やかな映像を映し出すパソコンや液晶テレビのディスプレイの生産を担うFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)製造装置を、液晶パネルメーカーに確かな技術サポートとともに提供しています。
売上高構成比は11.8%です。
同社が開発・製造・販売するのは、FPDコータ/デベロッパとFPDプラズマエッチング/アッシング装置で、大画面液晶テレビの普及に伴い、装置の基板サイズも年々大型化へ向かっています。
このようにお客さまの高品質と低コストの追求に優れた製品と技術で応えているのです。
電子部品
世界の優れた電子部品を多彩にとり揃え販売を行う「商社ビジネス」と、お客さまのニーズに応えて設計開発や自社ブランド商品の開発を行う「開発ビジネス」の二つの機能を有する、新しい形態のビジネスを展開しています。
売上高構成比は10.4%です。
高度な技術開発力とマーケティング力を活かして、お客さまが新商品の企画を行う初期の段階から、設計・開発・製造に至る全ての段階で最適なソリューションを提供します。
コンピュータ・ネットワーク
優れたネットワーク関連商品を始めとする時代のニーズに応える商品を幅広く取り揃え、ブロードバンド時代のビジネスソリューションとして提供しています。
売上高構成比は2.2%です。
世界の最先端テクノロジーをいち早くキャッチするマーケティング組織を国内外に持ち、商品の導入からサポートまで一貫して提供しています。
業績
業績はどうだったのかな?
東京エレクトロンの過去5年間の業績をまとめてみました。
2020年 3月期 | 2021年 3月期 | 2022年 3月期 | 2023年 3月期 | 2024年 3月期 | |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 11,272 | 13,991 | 20,038 | 22,090 | 18,305 |
売上総利益 | 4,519 | 5,649 | 9,118 | 9,844 | 8,302 |
売上総利益率(%) | 40.1 | 40.4 | 45.5 | 44.6 | 45.4 |
営業利益 | 2,372 | 3,206 | 5,992 | 6,177 | 4,562 |
営業利益率(%) | 21.0 | 22.9 | 29.9 | 28.0 | 24.9 |
親会社株主に帰属する当期純利益(損失) | 1,852 | 2,429 | 4,370 | 4,715 | 3,639 |
親会社株主に帰属する当期純利益率(%) | 16.4 | 17.4 | 21.8 | 21.3 | 19.9 |
研究開発費 | 1,202 | 1,366 | 1,582 | 1,911 | 2,028 |
設備投資額 | 546 | 538 | 572 | 744 | 1,218 |
減価償却費 | 291 | 338 | 367 | 429 | 523 |
同社HPより
東京エレクトロンは、近年、安定的な業績を維持しています。
同社の売上高は、半導体市場の拡大と市場シェアの拡大により、堅調に推移しているのです。
また、利益率も高く、高い収益性を示しており、同社の業績は、半導体市場の動向に大きく左右されますが、今後も安定的な成長が見込まれています。
直近の数値は微減ながら、堅調な成長をみせていて今後に期待できそうだね!
東京エレクトロンの株価や配当は?将来性を解説
東京エレクトロンの今後はどうなっていくでしょうか。
株価の推移を見ながら、将来性や今後の見通しを分析していきます。
株価の推移
東京エレクトロンの株価は今までどのように推移してきたのかな?
東京エレクトロンの株価推移と上昇・下落要因についてチャートと共に見ていきましょう。
東京エレクトロンの株価は、近年上昇傾向にあるんだワン!
同社の株価は、半導体市場の拡大、市場シェアの拡大、ESGへの取り組みなど、様々な要因によって上昇しています。
特に、2020年以降は、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要や、データセンターの需要増加などにより、半導体需要が急増し、株価も大きく上昇しました。
その一方で、2022年頃は、「シリコンサイクル」の一環として一時的に需要が減少したことが原因で株価も下落したと考えられます。
2023年から2024年にかけては、中国勢の積極投資が続いたり、生成AIの本格波及が広がったりしたことから同社の株価は急続伸を遂げました。
今後の株式分割の可能性は?
東京エレクトロンは、2023年4月付で1株を3株に分割を行いました。
株式分割とは
株式分割とは、既に発行されている株式を1株を2株、3株などに分割することです。
既に株式を保有している投資化は、分割した株式が割り当てられます。
株式分割を行うと株式の最低購入金額が下がるため、その企業の株式を買いたいと思う投資家が株式を買いやすくなり、株価が上昇する可能性が高いです。
株式分割が行われた際には保有株式数は変わる一方で、保有株の価値自体は変わる事はないんだワン!
同社は株式分割を行った理由は、「東京証券取引所が求める望ましい投資単位(5万円以上 50万円未満)の水準への移行に関して、個人投資家の市場参加を促し、株式市場の活性化を図るため」です。
現在東京エレクトロンの株価は、この水準を上回っているため、今後も株式分割の可能性があると考えられます。
また、同じ半導体企業であるエヌビディアが2024年6月から1:10で株式分割を行うなど、同業界の企業が行ったことからも、似たような動きを取るかもしれません。
今後の株式分割を行うのかに注目だね!
2025年度は増配予想!配当性向50%を目指す
東京エレクトロンは配当の方針として、「1株当たりの年間配当金は50円を下回らない」としています。
この方針の達成のために同社は配当を着実に増やしてきました。
ここで、直近10年間の1株あたり年間配当金を見てみましょう。
中間配当 | 期末配当 | 配当金合計 | |
---|---|---|---|
2025年3月期 | 200.00円(予定) | 281.00円(予定) | 481.00円(予定) |
2024年3月期 | 148.00円 | 245.00円 | 393.00円 |
2023年3月期 | 285.67円 | 普通配当218.00円、記念配当66.66円 | 570.33円 |
2022年3月期 | 214.33円 | 253.34円 | 467.67円 |
2021年3月期 | 120.00円 | 140.33円 | 260.33円 |
2020年3月期 | 82.00円 | 114.00円 | 196.00円 |
2019年3月期 | 137.67円 | 115.00円 | 252.67円 |
2018年3月期 | 92.33円 | 115.67円 | 208.00円 |
2017年3月期 | 42.67円 | 74.66円 | 117.33円 |
2016年3月期 | 41.67円 | 37.33円 | 79.00円 |
しっかりと増配してきているね!
同社は業績連動型配当の継続実施を掲げ、親会社株主帰属の当期純利益に対する配当性向50%を目処としています。
これらが投資家にとって魅力的に映ることで、株価が上昇していくことに期待です。
2024年3月期の通期決算で発表されたように、2025年3月期の予想純利益は前期比22%増の4,450億円、予想年間配当の481円が実現すると、配当性向は50.98%となる見通しです。
今期の東京エレクトロンの業績にも注目だワン!
配当について詳しく見る
【まとめ】東京エレクトロンの株価が高い理由
東京エレクトロンの株価が高い理由は、半導体市場の拡大、市場シェアの拡大、ESGへの取り組みなど、様々な要因が複合的に作用していると考えられます。
同社は、高い収益性と安定的な業績を維持しており、今後も成長が見込まれています。
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
- 半導体市場の拡大やESGへの取り組みから需要が高まり株価は高め
- 収益性は高さが強みだが、株価の割高感は弱み
- 業績も堅調で、配当性向も高め
東京エレクトロンの株価が高い理由について、よくわかったよ!
投資家にとって、東京エレクトロンは魅力的な投資対象と言えるでしょう。
貿易摩擦や生成AI市場などによっては株価に大きな変動が生じることから、今後も東京エレクトロンとそれを取り巻く環境を注視することが必要です。
その他にも、日本の個別株について分析した記事があるので、ぜひあわせてご覧ください。
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