ユーグレナの株価はなぜ上がらないの?
今後の株価はどうなるの?
このようなお悩みを解決します。
🔰いろはに結論
- 株価が上がらないのは次世代バイオ燃料の普及が思うように進まず、投資家の期待が後退しているから
- 無配の方針も投資家層の拡大を妨げている
- 株価の急騰にはとにかくバイオ燃料事業の成功が不可欠
ユーグレナは、世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功して以来、さまざまな事業の原資として活用する方法を探っています。
皆さんの中にも、健康食品としてのユーグレナの可能性に期待を膨らませている人もいるのではないでしょうか。
さらに、ユーグレナは「Sustainability First」の理念のもと、次世代のバイオ燃料としての開発なども積極的に進めており、将来のエネルギー産業の発展にも寄与する可能性を秘めています。
しかし、ユーグレナの株価はあまり上がっていないのが現状です。
そこで今回は、ユーグレナの株価が上がらない理由や今後の株価の見通しについてわかりやすく解説していきます。
ユーグレナの株価はなぜ上がらない?理由を3つ解説
💡このパートの要約
ユーグレナの株価が上がらない理由は…
- ユーグレナが開発する次世代バイオ燃料「サステオ」がまだ普及できていない
- 主力事業の業績低迷によって投資家の成長期待が低下している
- 無配当の配当方針が短期的な株主にとって魅力的でない
ユーグレナの株価はなぜ上がらないんだろう?
ユーグレナの株価が上がらないと言われる背景には、いくつかの理由があります。
大きく以下の3つに分けて、解説していきます。
次世代バイオ燃料「サステオ」の知名度が限定的
ユーグレナの株価が上がらない理由の一つ目には、開発する次世代バイオ燃料「サステオ」の普及がまだ進んでいないことが挙げられます。
「サステオ」とは、化石燃料に代わるサステナブルな燃料として、ユーグレナが開発・製造・販売を手掛けるバイオ燃料のことです。
「サステナブルなオイル」が由来となって、その名がつけられました。
植物や動物などの生物資源から製造されるバイオ燃料は、その成長過程で光合成により、大気中の二酸化炭素をあらかじめ吸収しています。
そのため、バイオ燃料を燃やした時に排出される二酸化炭素は、あらかじめ大気中から取り込んだものを元に戻しているだけ。
一方的に大気中の二酸化炭素を増やす化石燃料とは異なる、その名の通りサステナブルな燃料であると言えます。
使用済みの食用油などの廃棄物系原料を主な原料としていて、食料との競合や無理な栽培による森林破壊などの問題にも配慮されているんだワン!
化石燃料に代わる、サステナブルな社会を実現するための次世代燃料として開発されている「サステオ」。
2020年に次世代バイオディーゼル燃料、2021年にはバイオジェット燃料の供給を開始し、車両・船舶・航空機で利用が拡大してきています。
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で原油価格が高騰しガソリンの値段が上昇した際であっても、「サステオ」の名前は中々広がりませんでした。
確かに、身近なところではあまり名前を聞かないよね…
この理由としては、やはりコストと供給量の問題が考えられます。
また、日本では先行技術の導入に抵抗がある場合もあるため、よりサステナビリティの意識の高い海外での本格導入からの逆輸入という形の方が期待できるかもしれません。
化石燃料に代わる燃料となれば、一気にエネルギー革新と同社の成長につながるから、地球環境的にも投資家としても期待したいね!
業績低迷による投資家からの成長期待の低下
ユーグレナの株価が上がらない理由の二つ目として、主力事業の業績低迷によって投資家からの成長期待が低下していることが挙げられます。
過去1年間のユーグレナの株価の推移を見てみましょう。
右肩下がりに下落を続けていることがわかるね…
株価下落の背景には、1つ目の理由であるバイオ燃料事業の進捗の遅れと赤字の拡大による投資家の成長期待の低下が挙げられます。
ユーグレナは、「Sustainability First」の経営哲学のもと、石油エネルギーに代わる次世代のエネルギー源としてバイオ燃料事業に力を入れており、投資家の期待の多くもそこにあります。
しかし、業績の章で取り上げるように、現状の業績は買収会社によるヘルスケア事業が頼みの綱であり、バイオマス燃料事業では赤字が拡大している状態です。
また、バイオ燃料事業の収益改善につながると主張するマレーシアでのバイオ燃料プラントに関する計画も後退しており、黒字化に向けた道筋が不透明な現状が続いています。
これらを受け、同社の描く持続可能な未来に共感し応援する投資家の成長期待は徐々に低下してきており、株価の下落につながっています。
バイオ燃料事業の黒字化と成長の見通しを投資家に再度示していく必要があるね。
無配当の方針で短期株主への魅力が少ない
ユーグレナの株価が上がらない理由の三つ目として、無配の配当政策が挙げられます。
同社は現在、事業成長による株価の上昇が株主のリターンを最大化することにつながると考えていることから、株主還元よりも事業投資を優先し、無配の配当方針を掲げています。
ユーグレナは、事業の将来性と掲げるサステナブルな社会の構想、そして出雲社長の人柄により、多くのファンのいる企業であると言えます。
ただ、それ故に長期株主に寄り過ぎの配当方針であることも否めません。
理念に共感する企業のファンであれば、無配で事業投資を促進する姿勢も評価されるかもしれません。
一方、配当を目的とする投資家のほか、投資初心者などの比較的ライトな投資家層にとって、無配の方針は魅力が少なく映るのもまた事実でしょう。
これらの投資家層にアプローチできていない現状は、株価の上がらない要因の一つとなっていると言えます。
投資家層を広げる方針も大事だよね。
これに対し、同社は株主総会の中で、「プライム市場に上場する企業として、長らく配当を実現できていない責任を強く認識しており、株主還元を最重要の経営課題の一つとして、中期的に取り組んでいく」としています。
ただし現状、配当の実現に必要な当期純利益の黒字化に関する具体的な目標時期は未定のようです。
ユーグレナの基本情報
💡このパートの要約
- 2023年12月期には、465億円の売上高で過去最高を記録
- 売上の9割をヘルスケア事業が牽引、バイオマス燃料事業は赤字が続く
- 配当政策は無配の方針、株主優待は同社ECサイトでのクーポン券の贈呈
ここでは、ユーグレナの基本情報について詳しく見ていきます。
以下の4つの情報について詳しく見ていきましょう。
事業内容
ユーグレナは主に以下の3つの事業を展開しています。
ヘルスケア事業
ヘルスケア事業は、売上の約9割を占める主力事業となっています。
59種類の豊富な栄養素を含む微細藻類ユーグレナをはじめとする、同社独自のさまざまなサステナブル素材、テクノロジーを活用し、健康食品や化粧品等の商品・サービスを開発・製造・販売しています。
販売チャネルは、通販、流通、OEM(受託製造)の3本柱です。
バイオ燃料事業
バイオ燃料事業は、上述した「サステオ」を開発・製造している事業で、同社が最も力を入れている事業です。
陸海空すべてのモビリティでの利用が拡大していますが、現状赤字が続いており、まだ普及には時間がかかる見通しです。
その他事業
その他の事業の中には、主に以下の3つを含まれています。
- サステナブルアグリテック事業
有機肥料の販売や飼料の研究開発 - バイオインフォマティクス事業
遺伝子解析サービスの提供 - ソーシャルビジネス
バングラディシュの子供たちや難民、農民の支援
特にソーシャルビジネスでは、もともと出雲社長が学生時代にバングラディシュを訪れた際、さまざまな課題を目の当たりにしたのが創業のきっかけであり、その関係が現在も続いています。
業績
2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | |
---|---|---|---|
売上高 | 34,420 | 44,393 | 46,483 |
営業損益 | -6,565 | -3,456 | -1,464 |
当期純損益 | -5,039 | -2,672 | -2,652 |
調整後EBITDA | 1,369 | 2,649 | 2,222 |
同社HPよりいろはにマネー作成
ユーグレナの2023年12月期決算は、売上高465億円(予想比+3.3%、前年比+4.7%)で過去最高値を更新しました。
また、同社独自の財務指標でありキャッシュベースの儲けを表す調整後EBITDAは22.2億円(予想比+23.5%、前年比-16.1%)であり、ヘルスケア事業での黒字拡大の一方で、バイオマス燃料事業で赤字が拡大しました。
ヘルスケア事業のセグメント別損益は2023年度に黒字転換し、連結営業損失が続いているものの、早期に黒字化することを目指しています。
バイオ燃料事業の成功が鍵を握っているね
最新の決算(2024年12月期第2四半期)まとめ
2024年度上半期で、売上高236億円(前期比+4%)、調整後EBITDA21億円(前期比+1.7%)、営業利益3.5億円の黒字を達成。
一方で、子会社売却やバイオマス燃料事業の大口取引計画の見直しの影響を受け、通期業績予想の売上高を525億円から480億円に下方修正しました。
また、2030年に向けて売上高1,000億円規模、調整後EBITDA160億円相当の収益ポテンシャルを有する事業ポートフォリオを構築したことを発表しました。
配当政策・株主還元
配当政策については現在、無配の方針を掲げています。
これは、事業成長による株価の上昇が株主のリターンを最大化することにつながると考えており、株主還元よりも事業投資を優先しているからです。
一方で、株主優待制度としては、以下の内容を提示しています。
優待制度は嬉しいけれど、配当による還元もあるとなお良いね!
株価の推移
ユーグレナの株価の推移を見てみましょう。
2023年以来、現在まで株価が下落を続けていることがわかります。
上述したように、主にバイオ燃料事業の業績の低迷により、投資家の期待が徐々に低下してきていることがうかがえます。
また、同社自身は2024年3月の株主総会の質疑応答の中で、株価が上がらない要因の一つとして、投資家の資金が中小型のベンチャーや成長株ではなく、大型株に集中している状況を指摘しています。
確かに安定した大型株の株価が日経平均の好調を下支えしていたよね。
ユーグレナの株価は今後どうなる?将来性を分析
💡このパートの要約
- 2026年に株価1500円を掲げ、目下黒字体質の経営を目指すも苦戦中
- バイオ燃料の商業化が同社の成否の鍵を握る
- 研究・開発のため海外への本格的な進出も必要か
ユーグレナの将来性はどうなんだろう?
ユーグレナの将来性を分析するにあたり、以下の3つについて取り上げます。
2026年株価1500円に向け、目下黒字体質を目指す
ユーグレナは、2026年に1500円の株価を達成することを目指しています。
この目標達成のためには、技術的な原点回帰とバイオ燃料を除く早急な黒字化が必要であると主張しています。
2026年にヘルスケアの売上高500億円、利益率15%を目指しており、具体的には広告効率化、デジタル化、コスト削減を徹底して黒字化を進めていっている最中です。
ただし、直近2024年8月に行われた2024年12月期第2四半期の決算報告にて、通期の売上高を下方修正するなど、中々目標通りに進められていない状況もうかがえます。
3年以内にバイオ燃料の商業化なるか
ヘルスケア事業での黒字化に加え、バイオ燃料の商業化が株価の上昇につながると考えています。
当初の予定では、3年以内での商業化を目標としていましたが、最新の報告では海外の大口取引計画にて保守的な修正を見込むなど、進捗は遅れている状態にあると言えます。
同社は現在、マレーシアにてバイオ燃料商業プラントの建設計画を進めており、2030年代までの商業化実現を目指しています。
いずれにしても、同社が主力事業として掲げ、思い描く持続可能な未来の実現のために不可欠なバイオ燃料事業の成功無しには株価の大幅な上昇は期待できないと言えるでしょう。
今は苦労しているようだけど、とにかくバイオ燃料事業の成否が鍵を握っているんだね
日本での普及には外国での成功が鍵
バイオ燃料のような先進的な技術の導入には、まず外国での普及が必要になってくるでしょう。
日本は先行技術の導入に対しネガティブな印象がどうしても残っている実態があるからです。
一方で、欧米をはじめとする海外ではESGなどの環境問題に対する感度が高く、バイオ燃料のような持続可能な技術革新にはポジティブで、積極的な姿勢を示しています。
実際、バイオ燃料市場の動向を見ても、世界的に飛躍的な需要増が見込まれています。
そのため、欧米を中心とした海外での先行導入から、日本に逆輸入されるという流れにも期待が持てるかもしれません。
また、同社としても海外の投資家へのアプローチも強め、資金調達先を拡大することも事業の成功のためには、検討の余地があると言えるでしょう。
エネルギー問題は世界的な問題だもんね。日本初の企業がこの問題の解決につながる研究を進めているならぜひ応援したいね!
【まとめ】ユーグレナの株価が上がらない理由と今後の展望
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
🔰いろはにまとめ
- 株価が上がらないのは次世代バイオ燃料の普及が思うように進まず、投資家の期待が後退しているから
- 無配の方針も投資家層の拡大を妨げている
- 株価の上昇にはとにかくバイオ燃料事業の成功が不可欠
ユーグレナの株価が上がらない大きな要因としては、次世代バイオ燃料「サステオ」の普及の遅れにより投資家の期待が薄れてきていることが挙げられます。
また、無配の方針も新規の投資家にとって魅力的に映らない上、当期赤字のため短期的に配当を実現することもできない状態が続いています。
バイオ燃料の商業化が同社の命運を握っており、現状は苦戦を強いられていますが、実現すれば大逆転の事業に注力しています。
同社が目指す持続可能な未来の実現に向けて、バイオ燃料がいかに成功できるか、長期的な視点で注目していきたいですね。
その他にも、いろはにマネーでは日本の個別株について分析した記事が沢山あるので、ぜひあわせてご覧ください。