・AT&Tが減配したのはなぜ?
・AT&T株は買った方が良い?
このようなお悩みを解決します。
この記事の結論
- AT&Tの減配は赤字化したメディア部門の切り離しが主要因
- AT&T株は低リスク高配当が魅力
- 5G投資など、主力の通信事業への集中が今後の注目ポイント
世界最大の通信企業であるAT&T(エイティー・アンド・ティー)。
2022年2月に減配を発表するまで36年連続の増配実績があり、今なお高配当株として人気が高いです。
今回の記事では、なぜAT&Tが減配となってしまったのか、そして今後の注目ポイントについて解説していきます。
この記事を読めば、AT&T株について理解できるワン!
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AT&Tとは?【基本情報】
まずは、AT&Tがどんな事業を行っているのか、そして投資対象としてどんな魅力があるのかを見ていきましょう。
AT&Tの事業内容
そもそもAT&Tはどんな企業なの?
エイ・ティー&ティー(AT&T Inc.)の企業概要は以下のようになっています。
会社名 | AT&T Inc. |
ティッカー | T |
株式市場 | NYSE(ニューヨーク証券取引所) |
主な事業内容 | 電話、インターネット回線等の電気通信の提供 |
エイ・ティー&ティー(AT&T Inc.)は、電気通信、技術サービスを世界的に提供している会社です。
グラハム・ベルが創業した「ベル電話会社」が前身となっており、アメリカのテキサスに本社をおいています。
現在は、コミュニケーションとラテンアメリカという2つのセグメントを通じて事業を行っています。
コミュニケーションセグメントでは、米国および世界の消費者に無線・有線通信およびブロードバンドサービスを提供しています。
その内訳として、以下3つのビジネスユニットに分けられています。
- モビリティ:全国で無線サービスおよび機器を提供。
- ビジネスワイヤライン:イーサネットベースのファイバーサービス、IP音声、マネージドプロフェッショナルサービスに加え、従来の音声およびデータサービスや関連機器を法人の顧客に提供。
- コンシューマーワイヤライン:光ファイバー接続を含むブロードバンドサービス、及び従来のテレフォニー音声通信サービスを提供。
ラテンアメリカセグメントは、メキシコで無線サービスと機器を提供しています。
また、2021年度まではメディア・エンターテイメント事業を行なっていましたが、2022年3月にワーナーメディアをスピンオフしたことで分離しました。
スピンオフとは?
会社の1部門を切り離し独立させること。
スピンオフによって独立した新会社は、元の企業の子会社になる。
低リスク高配当株であるAT&T株
投資対象としてのAT&T株にはどんな魅力があるの?
AT&T株の魅力は、主に以下2つが挙げられます。
- 通信業界における圧倒的なシェアによる業績の安定性
- 配当による高い還元率
通信業界における圧倒的なシェアによる業績の安定性
現在の高度情報社会では、インターネットサービス等の通信インフラは必要不可欠なものとなりました。
それゆえに、通信事業の業績は景気動向に左右されにくく、安定的な契約者数や収入の基盤を確保することができます。
AT&Tは、その圧倒的なシェアにより安定的な収益基盤を確立していると考えられます。
米国の通信市場の90%以上が、Verizon、AT&T、T-Mobileという3つの通信会社で独占されていることがわかります。
米国の通信市場が成熟していることに加え、新規企業の参入コストが高いことも同社の収益基盤の安定性につながっているのです。
配当による高い還元率
AT&T株は、2022年5月に減配するまで配当貴族指数の構成銘柄でもあった、36年連続増配の実績がある高配当株です。
一時は、S&P500の構成銘柄の中で最も配当利回りが高い企業でした。
減配後の現在でも、配当利回りは約5.8%と高水準の配当を行なっています。
また配当は、2月、5月、8月、11月の年4回に分けて実施されています。
安定的なキャッシュフローをもとにした高配当を行なっており、投資家への還元率が高いことがAT&T株の魅力の一つです。
また、S&P500やS&P100の構成銘柄にも選ばれていることから、優良銘柄であるという信頼度も高いと言えるでしょう。
S&P500は米国の代表的な株価指数だワン!
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AT&Tの減配はなぜ?
圧倒的なシェア率と安定的な収入基盤を持つAT&Tでしたが、2022年2月に減配を発表しました。
減配に至った原因はなんだろう?
以下では、AT&Tが減配に至った背景を株価や配当の推移と共にみていきましょう。
AT&Tの株価・配当推移
まずは、長期の株価推移を見てみましょう。
上場から2000年までは、堅調に推移していたことがわかります。
2000年代の初期には、アメリカ同時多発テロ等の影響で株価が大きく下落しています。
その後、2020年までは安定した業績と継続的な増配が評価を受け、株価は横ばいとなっていました。
2020年には株価が急落し、その後も下落トレンドが続いています。
株価急落のきっかけとなったのは、メディア事業が赤字となったことでした。
その後、メディア事業の中核を担っていたワーナーメディアを2022年にスピンオフし、同社はメディア事業を切り離しています。
続いて、直近の株価推移について見てみましょう。
下落が続いているね…
2022年の7月には、株価が一時11%下落しました。
これは、2022年度第2四半期の通期キャッシュフローの下方修正を受けた影響によるもの。
顧客が利用料金の支払いを遅延していることにより売上の回収が先延ばしになっていることが下方修正の主な要因でした。
しかし、第3四半期には通期の利益予想が上方修正され、株価は上昇に転じています。
月額払い方式の携帯電話の新規契約数や光ファイバーの契約数が順調に増加していると発表があったワン!
続いて、AT&Tの配当推移(1株あたり)を以下の表に示しました。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 年間配当 | 増配率 | |
2013年 | $0.450 | $0.450 | $0.450 | $0.460 | $1.81 | 2.3% |
2014年 | $0.460 | $0.460 | $0.460 | $0.470 | $1.85 | 2.2% |
2015年 | $0.470 | $0.470 | $0.470 | $0.480 | $1.89 | 2.2% |
2016年 | $0.480 | $0.480 | $0.480 | $0.490 | $1.93 | 2.1% |
2017年 | $0.490 | $0.490 | $0.490 | $0.500 | $1.97 | 2.1% |
2018年 | $0.500 | $0.500 | $0.500 | $0.510 | $2.01 | 2.0% |
2019年 | $0.510 | $0.510 | $0.510 | $0.520 | $2.05 | 2.0% |
2020年 | $0.520 | $0.520 | $0.520 | $0.520 | $2.08 | 1.46% |
2021年 | $0.520 | $0.520 | $0.520 | $0.520 | $2.08 | 0.00% |
2022年 | $0.2775 | $0.2775 | $0.2775 | $0.2775 | $1.11 | -46.63% |
2020年までは前年比2%以上の増配が毎年続いていたことがわかります。
2021年には増配がストップし、2022年に減配に転じてしまったワン!
AT&Tの業績推移
続いて、AT&Tの直近の業績推移を見てみましょう。
2022年は、ワーナーメディアの独立などの影響で、前年に比べ全体の売上高は減少していますが、利益率は直近の3年間で-3.0%→11.9%→16.8%と改善しています。
子会社の独立により事業の整理をおこなったんだワン!
2022年は第3四半期の時点で約14.9億ドルの利益となっています。
一方で、総資産に占める負債の割合が年々増加しています。
米国の金利上昇に伴い、債務の負担は一層重くなっていくと考えられるため、負債比率の増加は大きな経営リスクと言えるでしょう。
債務返済を計画的に進められるかが今後の焦点だワン!
減配に至った背景
AT&Tが減配に至った大きな要因は、メディア事業での不振でした。
AT&Tはメディア・エンターテイメント事業に乗り出すために、2015年にディレクTV、2018年にタイム・ワーナーを買収しました。
ディレクTV
有料テレビチャンネルの大手企業
タイム・ワーナー
映画やテレビに関するメディア会社。買収後、ワーナーメディアと改名。
しかし、2020年にAT&Tが力を入れていた有料テレビチャンネルの会員数が急激に減少するなど、事業がうまくいかなくなります。
同時期にインターネットでのストリーミングサービスが流行し、有料テレビの需要が減少したのです。
結果として、AT&Tは2社ともに新会社として独立させ、メディア・エンターテイメントとの統合路線から撤退することを決断しました。
特に、利益率が高かったワーナーメディアを切り離したことで大きな配当源を失い、減配につながったのです。
買収に伴って莫大な負債も積み上がってしまったワン!
AT&T株は買い?今後の注目ポイントは?
AT&Tの株式は今買ってもいいのかな?
ここからは、AT&Tの株価、配当、業績などの今後注目すべきポイントについてまとめていきます。
ポイントは、以下の3つです。
- 景気後退局面に強い高配当株
- 主力の通信事業への集中と5G投資
- アメリカの金利上昇による債務負担の増加
景気後退局面に強い高配当株
減配こそしてしまったものの、いまだ高水準の配当を行っています。
景気後退局面では、成長株が買われにくい市況となり、業績の安定した高配当銘柄が買われる傾向が強くなります。
現在の世界的な利上げムードの中、配当目的での投資需要はAT&T株にとってもプラスになると考えられます。
主力の通信事業への集中と5G投資
メディア事業の切り離しを行い、経営資源を通信事業に集中させることを決定しました。
ワーナーメディアなどの売却後は、5Gネットワークやブロードバンド事業への投資に力を入れており、次第にその成果も出ています。
直近の第2四半期では、月額で料金を支払う携帯電話の契約者増加数が過去10年間で最高となりました。
一方で、5Gネットワーク関連の競争が激しくなっていることが懸念点です。
競合であるT-Mobileは2020年にSprintを買収し、5Gネットワークでの品質優位を確立させました。
AT&Tも強力な5Gネットワーク構築のための投資を行っていますが、成熟市場であるがゆえに顧客を奪い合う状況になっています。
今後もT-MobileやVerizonといった競合に対する競争力強化・差別化戦略に注目が集まります。
アメリカの金利上昇による債務負担の増加
AT&Tは、1,319億ドルもの巨額の純負債を抱えています。(2022年度第2四半期末時点)
メディア事業参入に伴った買収などによる負債がいまだ残っている状態です。
アメリカの金利が上昇し続ければ、債務負担はより一層重くなり、経営リスクも高まります。
AT&Tは、配当後の余剰資金の大半を債務返済に回すことで、債務負担を軽減する計画を立てています。
業績が堅調に推移し返済計画のめどが立てば、ふたたび株価の上昇、配当増加が見込まれるかもしれません。
主力事業の業績の安定的な推移が今後の注目点だね!
AT&T株を買うのにおすすめの証券会社は?
AT&T株をはじめとして、米国株に投資できる証券会社は数多くあります。
以下ではその中でも、手数料・取扱銘柄数・取引ツールの観点からおすすめの証券口座を4つご紹介します。
SBI証券【取扱銘柄が多い】
SBI証券は、米国株の取り扱い銘柄数が約6,000銘柄と証券会社の中でも取り扱い数が多いネット証券です。
日本円でも米ドルでもどちらでも購入することができます。
米ドルの為替手数料は1ドルあたり25銭ですが、住信SBIネット銀行を活用すれば1ドルあたり6銭まで抑えることが出来ます。
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SBI証券の特徴
- 6,000銘柄以上の米国株を取り扱い(2022年6月現在)
- 円貨決済も外貨決済も可能
- 最低取引手数料が0円〜(上限は税込22USD・税込0.495%)
- 為替手数料は住信SBI銀行経由で1ドルあたり6銭
- 米国株の貸株サービスで金利を得られる
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マネックス証券【買付時の為替手数料0円】
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【まとめ】AT&T株の今後は?
主力の通信事業が今後のカギになっているんだね!
今回は、AT&Tの減配の理由と今後の注目点について解説しました。
最後に、この記事の重要な点をおさらいしましょう。
AT&Tとはどんな企業?
アメリカのテキサスに本社を置く、世界最大の通信会社です。
現在は、コミュニケーションとラテンアメリカという2つのセグメントを通じて、電気通信、技術サービスを世界的に提供しています。
AT&Tの減配はなぜ?
ワーナーメディアのスピンオフなどでメディア事業を切り離し、会社の規模を縮小させたことが主な要因です。
メディア・エンターテイメントから撤退し、主力の通信事業に力を入れ直していくAT&Tの今後に注目です。
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