いろはにマネーでは、投資初心者でも読みやすい「ブリッジレポート」をもとに様々な企業をご紹介しています。
今回は、企業向け人事給与・会計ソリューションやシステム受託開発サービスを提供するクレオ(9698)をご紹介します。
🔰いろはに結論
- クレオ(9698)は7期連続増配中・配当利回りは4.49%の隠れ高配当株
- 業績も安定していて、2024年3月期決算でも利益を伸ばしている
- 人材投資も積極的に行うなど、人的資本経営にも注目
クレオはどんな会社?【企業紹介】
まずは、クレオの会社概要や事業内容を確認していきましょう。
会社概要
代表取締役社長 | 柿﨑 淳一 |
所在地 | 東京都 |
決算期 | 3月 |
株価 | 1,136円 |
時価総額 | 96億6748万円 |
配当予想(25/3期) | 51円 |
配当利回り | 4.49% |
株式会社クレオは“私たちは、「人間の想像力」と「世界中のテクノロジー」を結合することで、「感動!」を生む変革を起こし、豊かな未来社会の実現を目指します。”というグループ企業理念を掲げています。
1974年に設立され、今年で設立50周年を迎えた歴史ある企業です。
“プロダクトビジネス”と”受託ビジネス”という特性の異なる事業を長く続けてきた歴史・経験が強み。
製品(モノ)の販売だけではなく、企業課題を解決するサービス(コト)の提供といった統合サービスを展開しています。
国内SI業界の中でバランスよく両方を備えている企業は数少ないワン!
事業内容
いったいどんなサービスを提供しているのかな?
続いて、クレオの事業内容をご紹介します。
クレオは、次の4事業(括弧内は売上構成比)を展開しています。
- ソリューションサービス事業(32.8%)
- 受託開発事業(21.0%)
- システム運用・サービス事業(14.1%)
- サポートサービス事業(32.1%)
①ソリューションサービス事業
ソリューションサービス事業は、ソフトウェアやクラウドサービスの開発、ロボットと人間が混在する業務プロセス実現のためのソリューション提供などを行っています。
近年は働き方改革の需要を取り込み、”勤怠”と”給与”の連携で案件規模が大型化しています。
2024年3月期の売上構成比は32.8%で、クレオが手掛ける事業で最大規模を占めます。
②受託開発事業
大企業向けのシステム受注開発や、官公庁・自治体向け、新聞社向けのシステムなど、信頼性と実績が重視される案件を手掛けています。
富士通経由の案件が多いことも特徴で、安定成長が期待できる事業です。
2024年3月期の売上高構成比は21.0%を占めています。
③システム運用・サービス事業
ポータルサイトやWebサービスの基盤となるサーバシステムの開発、保守、ハッキング対策等も含めた運用サービスを提供しています。
主な顧客は、Yahoo!とそのグループ企業です。
2024年3月期の売上高構成比は14.1%を占めています。
④サポートサービス事業
ヘルプデスクやテクニカルサポートを中心としたサポート&サービス、市場調査等、インバウンド・アウトバウンド両対応のコールセンターサービスを提供しています。
技術系では富士通系とNEC系にサービスを提供する等、優良顧客をバランス良く抱えている事が強みです。
2024年3月期の売上高構成比は32.1%を占めています。
注目トピックス
ここでは、業績に大きく関わるクレオの最新トピックスを2つご紹介します。
DXをサポートする『CDX』の提供
クレオは、これまでに培ったシステムインテグレーションのノウハウと革新的ITを融合した「CREO Integration-Platform for DX(CDX)」を展開しています。
CDXが提供する各種サービスや製品は、業界別、部門別に最適化され、顧客が経営から現場まで一気通貫で経営変革を追求できるようにしています。
これは、CDXが経営革新・業務改善・共創の3つの軸でDXを支援しているためです。
それぞれの支援内容を、図解したよ!
購買統制クラウドサービス「トラミル」の提供を開始
同社は2023年5月に、購買統制クラウドサービス「トラミル」の提供を開始しました。
トラミルは見積もり依頼から購買承認、支払い依頼などの購買プロセスをクラウド上に用意し、各発注元のフローに合わせて購買プロセスを共通化することで、全社の購買業務を可視化・統制できるクラウドサービスです。
このサービスにより、ユーザー企業は取引の電子化促進(ペーパーレス化)と法令順守・監査対応といったコンプライアンス対応を同時に実現できます。
また、改正電子帳簿保存法やインボイス制度の対策を円滑に行え、API 連携により他の業務システムとのデータ統合も可能です。
トラミルの特徴
- 購買先を分散したままでも、システム化(ペーパーレス化)と統制(不正・ミス防止)ができる
- 各取引を集中管理することで、不要な購買を抑止することができる
- 情報の閲覧性や検索性を確保し監査対応の質を向上させることができる
- 一元管理された情報を基に、支出分析などのデータ活用ができる
自社サービスとなるトラミルの今後の業績貢献に注目だね!
\プロのアナリストが執筆/
クレオの業績・予想・成長戦略
業績はどうだったのかな?
続いて、クレオの業績や業績予想、成長戦略などを見ていきましょう。
業績:2024年3月期通期決算
2024年3月期は、売上高は前年同期比2.3%減の143億5,100万円、営業利益は前年同期比20%増の10億8,500万円となりました。
売上は微減だけど、営業利益は大幅に増加したんだワン!
売上の増減のセグメント別内訳は次のようになっています。
売上だけを見ると、受託開発事業とシステム運用・サービス事業でマイナスになっていることが分かります。
各セグメントの昨年度比較は以下の通り。
受託開発事業では、昨年度から続いていた大型案件が完了した反動で若干のマイナスとなりました。
また、システム運用・サービス事業では主要顧客からの受注が減少しました。
ですが、ソリューションサービス事業で前期の高原価プロジェクトが終了したため、今期はその反動で増益となりました。
配当金については、前期比10円増の50円となりました。
2023年3月期まで徐々に増配が続いていましたが、2024年3月期には一気に10円の増配となりました。
同社は株主還元方針を「連結配当性向40%目標を維持」と掲げており、2024年3月期の配当性向は55.4%と目標を上回っています。
また、今回の10円アップは創業50周年を祝ったものでしたが、2025年3月期の配当予想は51円とされており、今後も増配基調は続きそうです。
業績も安定していて、株主還元意識も高いんだね!
業績予想:2025年3月期通期決算
2025年3月期通期の業績予想では、売上高150億円、営業利益11億40百万円と増収増益を見込んでいます。
24年3月期は減収だったけど、本当に増収になるのかな?
25年3月期の増収を見込む背景として、事業環境の変化に注目すると良いでしょう。
老朽化したERPシステムのリニューアル案件の増加、ハイブリッドワークなどの働き方多様化によるシステム刷新需要が追い風になるなど、SaaS方向へと市場が傾いています。
用語解説
●ERPシステムとは?
Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、企業の会計業務・人事業務・生産業務・物流業務・販売業務などの基幹となる業務を統合し、効率化、情報の一元化を図るためのシステムのこと。
●SaaSとは?
Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略で、ソフトウェアをオンライン上でユーザーへ提供するサービスのこと。
クラウドサービスの一形態で、月額や年額といったサブスクリプション形式で利用するのが一般的。
上のグラフから見て取れるように、ERP市場は今後も拡大し、特にSaaS化は加速していきます。
こういった市場拡大は、クレオにとって大きな追い風となっています。
今後の成長戦略
クレオは市場拡大の波に乗るためにも、次の4つを重点テーマにすると発表しました。
こうした計画により、売上高は4.5%増、営業利益は5.1%増と引き続き安定成長を見込んでいます。
また、24年3月期末には現預金残高が55億84百万円まで積み上がっています。
これに対して同社は、ストックビジネスの拡充、HR周辺サービスへの投資、人的資本の最大化と株主還元を両立できるような活用を検討するとしています。
収益も安定していて現預金も潤沢にあるから、今後の事業成長・株主還元が期待できるね!
【まとめ】クレオに注目!
クレオについて、よくわかったよ!
今回はクレオ(9698)の事業内容や業績、今後の成長戦略などをご紹介しました。
この記事の重要なポイントを再度まとめます。
- クレオ(9698)は7期連続増配中・配当利回りは4.49%の隠れ高配当株
- 業績も安定していて、2024年3月期決算でも利益を伸ばしている
- 人材投資も積極的に行うなど、人的資本経営にも注目
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