![デンソー アイキャッチ](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/06/denso-eyecatch.jpg)
・デンソーの株価が安いのはなぜ?
・他の自動車部品会社と比較した強みや弱みは?
・今後の株価や配当はどうなるの?
このようなお悩みを解決します。
🔰いろはに結論
- デンソーは3つの理由から株価が安くなっている!
- EVやHV等様々な車種に強みがあるが、業績がトヨタグループに依存するという弱みもある。
- デンソーの今後の株価を占うのは自動車業界のCASE化とトヨタのEV戦略!
株式会社デンソー(以下デンソー)は、トヨタ自動車を親会社に持つ、言わずと知れた日本を代表する自動車部品会社です。
デンソーは巨大な企業であるのにもかかわらず、「株価が安い」と言われることがあります。
実際に株価が安いと言われる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
そこで今回は、デンソーの株価が安いと言われる理由やデンソーの株価・配当の今後についてわかりやすく解説していきます。
デンソーの株価はなぜ安い?理由3つを解説
![デンソーの株価が安い理由3選](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/06/Midashi-denso.jpg)
💡このパートの要約
デンソーの株価が安い理由は…
- 自動車業界の先行きの不透明さによる懸念
- トヨタをはじめとした日本の自動車業界のEV戦略の遅れ
- トヨタグループ全体における品質問題への懸念
デンソーはその収益の大部分を自動車部品、またその半分をトヨタグループに対する売り上げで占めています。
そのため、トヨタ自動車を筆頭とした自動車業界を取り巻く状況により、デンソーの株価は大きく変動するのが事実です。
ここで、デンソーの株価推移を見てみましょう。
2003年から2024年までのチャートですが、株価が大きく下落している箇所が複数あることがわかります。
何が原因だったのかな?
ここからは、デンソーの株価が安くなってしまった理由を3つご紹介します。
自動車業界の変革における先行きの不透明さ
デンソーのみならず、多くの自動車部品メーカーの株安を招いたのが、自動車業界の先行きの不透明さです。
今はガソリン車だけじゃなく、EVやHVのようなエコカーがたくさんあるよね
しかし、いまだにどの車種の普及が進むのか、進むにしてもどの会社がシェアを取っていくのか、先行きが不透明な状態です。
この先行きの不透明さが投資家を慎重にさせ、デンソーの株価低迷の重石になっている可能性があります。
また、輸出産業である自動車業界に大きな影響を与える為替水準も日米の金融政策とは裏腹に円安が進んでおり、より一層市場の慎重な姿勢は続くでしょう。
日本のEV戦略の遅れ
日本のEV戦略の遅れも、デンソーの株価に影響を及ぼしました。
日本ではHVの普及や売り上げは堅調であり成功しています。
しかし、下の2つの要因から海外の自動車メーカーに遅れを取っている状態です。
- 国内の充電インフラの不足
- 低燃費技術への依存
下のグラフは2023年上期におけるメーカーごとのEV車販売台数です。
国内最大の自動車メーカーであるトヨタですら、7万台と海外と比べた日本EV車の出遅れ感が分かります。
EV車はガソリン車と比べ、ただでさえ内部部品が少ないためこのEV戦略の遅れはデンソーへ少なからず影響を与えるでしょう。
トヨタの今後のEV戦略に期待だワン!
トヨタグループ全体における品質問題への懸念
トヨタグループ全体に対してのガバナンスが疑問視されていることも、株価が安くなっている要因と考えられます。
トヨタグループ全体では2021年から2023年の2年間の間に企業が公表した不正件数が5件に及びます。
デンソーにおいても、2020年には欠陥燃料ポンプの提供により、340万台を超えるリコールとなりました。
全体的にエンジンやエンジン関連部品での問題が多い印象だね。
企業への逆風を退けるためにも、ガバナンスの整備による信頼の改善は重要になってくることでしょう。
親会社であるトヨタ自動車について分析した記事もあるので、ぜひあわせてご覧ください。
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デンソーの事業内容・業績
![デンソーの事業内容・業績](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/06/Midashi-DENSO.jpg)
💡このパートの要約
- デンソーの事業は自動車部品の製造をメインとした車載事業と非車載事業の2つに分かれる
- 売上高成長率は直近の3年間で平均13.11%を達成
- 世界有数の技術力と研究開発費の高さを強みとする
ここでは、デンソーの事業内容や業績について詳しく見ていきます。
事業内容
![デンソー 事業内容2](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/06/denso-jigyou.png)
デンソーでは、以下2つの事業を運営しています。
車載事業
デンソーの中心業務は自動車部品の製造を中心に行う車載事業です。
ガソリン車を始めHEVやBEVなどの自動車部品やシステムを研究・開発・製造を行っております。
社内用エアコンやインバーターを始め、高いシェア率を誇る商品を多く開発してきており、デンソーの技術力が伺えます。
非車載事業
非車載事業では自動化モジュールや小型モバイル冷凍機に代表される産業向け機器の開発・製造・販売・アフターケア等を行っています。
社会・産業界の生産性向上に貢献することを目的としており、インダストリアルソリューションとフードバリューチェーンの二つのセグメントで構成されています。
業績
業績はどうだったのかな?
デンソーの2023年度(2024年3月期)の業績としては売上高は3年間連続での増収、当期純利益はほぼ横ばいながらも減益に推移しました。
![デンソー 財務状態 推移](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/06/denso-saleoperatingincome.jpg)
2019年度 (2020年3月期) | 2020年度 (2021年3月期) | 2021年度 (2022年3月期) | 2022年度 (2023年3月期) | 2023年度 (2024年3月期) | |
---|---|---|---|---|---|
売上収益 | 5,153,476 | 4,936,725 | 5,515,512 | 6,401,320 | 7,144,733 |
営業利益 | 61,078 | 155,107 | 341,179 | 426,099 | 380,599 |
税引前利益 | 89,631 | 193,753 | 384,808 | 456,870 | 436,237 |
当期純利益 | 68,099 | 125,055 | 263,901 | 314,633 | 312,791 |
総資産 | 5,651,801 | 6,767,684 | 7,432,271 | 7,408,662 | 9,093,370 |
純資産 | 3,558,869 | 4,076,717 | 4,489,526 | 4,579,711 | 5,746,505 |
同社HPよりいろはにマネー作成。
売上高は直近5年間で7兆円を超えており、とても大きな規模のグループだということが分かります。
また、売上高、当期純利益は共に右肩上がりに推移しており、財務状態は堅調に推移していると言えます。
総資産・純資産額においても右肩上がりになっているね!
デンソーの収益の強みとして、国内外の顧客基盤と適切なコスト管理による営業利益率の高さがあります。
デンソーはいまだトヨタグループ半分以上の収益の顧客となっています。
しかし、日本国内の他社メーカーそして海外の売上高比率、収益率は年々向上していおり、現時点でも国内外に多くの顧客がいます。
海外でのシェア率も高い自動車部品メーカーは希少だワン!
ガソリン車だけでなく、HVやEV等の多様な自動車部品に強みを持つデンソーは今後も海外シェアを着実に伸ばしていくことでしょう。
また、適切なコスト管理による営業利益率の高さもデンソーの大きな強みです。
自動車部品メーカー2社の営業利益率を見てみましょう。
企業名 | デンソー | アイシン |
---|---|---|
売上高 | 7,144,733 | 4,909,557 |
営業利益 | 380,599 | 143,396 |
営業利益率 | 5.32% | 2.92% |
※各社の2024年3月期決算短信よりいろはにマネー作成。
営業利益率が平均3%前後と言われる自動車部品メーカーの中でも、デンソーは高度なコスト管理能力により、5%を超える営業利益率を誇ります。
2022年には「D-tote」と呼ばれる製品やサービス開発におけるPoCに必要な環境を、短期間で簡易に実装可能にするサービスも開発している状態です。
この効率的な製品やサービスの開発、コスト管理を積極的に行う姿勢が高い営業利益率を誇る要因となっているのでしょう。
2024年度通期決算まとめ
2024年度通期決算の連結最終売上収益は、同行計画の兆3,000億円を上回り、前期比11.6%増の7兆1,447億円となりました。
2025年3月期の予想では、前期比約2.9%増の7兆3,500億円とほぼ横ばいを見込んでおり、2期連続で過去最高益を更新する見通しです。
また、25年3月期の年間配当についても、前期比9円増の64円に増配する方針としました。
業績好調で、直近3年間の成長率は平均13%を超えているね!
自動車部品メーカー3社を比較!デンソーの強みと弱みは?
![デンソー 競合他社との比較 強み、弱み](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/07/denso-tuyomi-yowami.jpg)
💡このパートの要約
- デンソーはその技術力により多数の特許、世界No.1シェア部品を保持
- 競合他社と比べ圧倒的な研究開発費を誇り、世界各国に研究開発拠点多数
- 配当利回りが4%未満と高水準とは言えないが、過去には4%を超えていたことも
自動車部品メーカー他2社と比較して、デンソーの強みや弱みを見ていきましょう。
大きく以下の3つの特徴が挙げられます。
技術力に裏付けられたと特許の数々
デンソーの強みとして、競合他社と比較した時に際立つ技術力、またそれに裏付けられた特許の数々があります。
自動車部品メーカー2社の他社牽引力ランキング、引用された特許の数を見てみましょう。
順位 | 企業名 | 引用された特許数 |
---|---|---|
1位 | デンソー | 5,035 |
2位 | アイシン | 1,648 |
3位 | 日立ASTEMO | 1,248 |
デンソーは自動車部品メーカーの中で圧倒的な特許数引用数を誇り、2位のアイシンと比べても2倍以上の差があります。
また、デンソーは「新しい価値の創造を通じて人々の幸福に貢献する」ことを基本理念としており、今までにコモンレールやミリ波レーダを筆頭に世界初製品を130以上作り出してます。
シェアにおいてもインバーターやコモンレイルを筆頭に、世界1位シェアの部品が多数あり日本最大の自動車メーカーである技術力がうかがえます。
カーエアコンもデンソー製の物がほとんどだよね!
グローバルな研究開発体制
グローバルな研究開発体制もデンソーの大きな強みです。
デンソーは世界の自動車部品メーカーの中でも最大級の研究開発・設備投資費を誇っています。
下記の資料はデンソーの設備投資・償却費・研究開発費の推移です。
![デンソー 研究開発費](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/07/denso-kennkyuu.jpg)
研究開発費が右肩上がりに増えていってるね!
資金投入量の多さだけでなく、世界的な研究開発体制もデンソーの強みです。
世界7極に専用のテクニカルセンターを設置、また研究開発拠点としては国内外に13もの拠点を抱えています。
業界最大級の研究体制はデンソーの大きな強みと言えるでしょう。
トヨタグループへの依存
トヨタグループに業績を大きく左右されてしまうのはデンソーの大きな弱みです。
下の資料はデンソーの得意先別の売上収益です
年々海外での売上高等は伸びているものの、いまだ半分以上をトヨタグループが占めている状態です。
トヨタグループの業績が好調な間は恩恵を受けられるものの、現状中国市場で苦戦を強いられているトヨタへの依存は今後のデンソーにマイナスな影響も与える事でしょう。
デンソーの株価や配当は今後どうなる?将来性や見通しを分析
![デンソー 今後の株価](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/07/denso-kongo.jpg)
💡このパートの要約
- 親会社であるトヨタは中国を中心にEV車で苦戦
- 自働車業界の更なるCASE化がデンソーの追い風となるか
- 2024年度は増配予想!配当性向35%を目指す
デンソーの今後はどうなっていくでしょうか。
株価の推移を見ながら、将来性や今後の見通しを分析していきます。
中国を筆頭にトヨタはEV市場で苦戦
トヨタグループはガソリン車やHVで大きなシェアを誇って入るものの、EV車の販売台数に関しては苦戦しています。
特にEV市場が盛り上がっている中国などでは、2024年4月の新車販売台数が前年同期比27.3%減と大きく減少しました。
現地での価格競争に日本車が負けているのも要因の1つだね!
売上高の半分以上をトヨタを筆頭とした日本メーカーで占める中で、日本の自動車メーカーの低迷は少なからず今後デンソーの株価にも影響を与えるでしょう。
トヨタグループの販売台数、決算に注目だね!
自働車業界のCASE化が追い風となるか
自働車業過のCASE化の流れは、デンソーの追い風となるかもしれません。
そもそも、自動車業界のCASE化って何?
CASE化とは
CASE化とは自動車業界における四つの革新的な技術やサービスの頭文字を繋げた言葉です。
- Connected:インターネットと接続された自動車のデータ活用(loT)
- Autonomous:自動運転
- Shared & Services:カーシェアリング
- Electric:電気自動車
CASEが注目されている理由としては環境問題や高齢者ドライバーによる事故の増加等があり、日本のみならず世界規模での命題となっています。
また、現在の自動車業界ではCASEを制することが企業成長の鍵と言われており、世界各国で技術開発が進められています。
デンソーはガソリン車だけでなく、EV・HV車に強い技術力を持っており、CASE化の推進によりデンソーの需要が伸びていくことが考えられます。
この多様な車種への高い技術力は日本の自動車メーカーにおいてもデンソーだけの強みであり、今後の更なる更なる成長も期待できるでしょう。
今後の自動車業界の流れに注目だね!
2024年度は増配する方針、配当性向35%を目指す
デンソ=は配当の方針として、「連結業績・資本効率・配当金額を総合的に勘案しながら、DOE3.0%からの継続的上昇を」目指ています。
この方針に沿って2025年3月期の配当は年間64円、配当性向は35円を目標としています。
ここで、直近6年間の1株あたり年間配当金を見てみましょう。
中間 | 期末 | 合計 | 年間配当(調整後) | |
---|---|---|---|---|
2025年3月期(予想) | 32円(予想) | 32円(予想) | 64円(予想) | 64円 |
2024年3月期 | 100円 | 30円 | 130円 | 55円 |
2023年3月期 | 90円 | 95円 | 185円 | 46.25円 |
2022年3月期 | 80円 | 85円 | 165円 | 41.25円 |
2021年3月期 | 70円 | 70円 | 140円 | 30円 |
年間は配当(調整後)は株式分割・併合などを考慮。
しっかりと増配してきているね!
また、同行は非減配銘柄ということで、直近5年を見ても1度も減配をしていない、安定した配当を受け取れる企業となっています。
これらが投資家にとって魅力的に映ることで、株価が上昇していくことが期待されます。
今期のデンソーの業績にも注目だワン!
配当について詳しく見る
【まとめ】デンソーの株価が安い理由
![デンソー記事 まとめ](https://www.bridge-salon.jp/toushi/wp-content/uploads/2024/07/denso-matome.jpg)
デンソーの株価が安い理由について、よくわかったよ!
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
🔰いろはにまとめ
- デンソーは3つの理由から株価が安くなっている!
- EVやHV等様々な車種に強みがあるが、業績がトヨタグループに依存するという弱みもある。
- デンソーの今後の株価を占うのは自動車業界のCASE化とトヨタのEV戦略!
デンソーの株価は自動車業界の不透明さや日本のEV戦略の遅れといった要因で安くなっていました。
また、業績の半分がトヨタグループに依存すること、そしてガバナンスへの懸念も投資家からの買いを集めにくくなっている要因となっています。
ただし、近年の好調な業績や増配計画、自動車業界のCASE化により同社の株は上昇していくことが予想されます。
トヨタグループの業績がデンソーの業績に大きくかかわることから、今後もデンソー、トヨタとそれを取り巻く環境を注視していきましょう。
その他にも、日本の個別株について分析した記事があるので、ぜひあわせてご覧ください。
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