投資初心者向け企業分析では、投資初心者でも読みやすい「ブリッジレポート」を基に様々な企業をご紹介しています。
今回はコロナ禍で注目が集まった医薬品関連銘柄の中から(株)カイオム・バイオサイエンスを取り上げます。
バイオ医薬品と聞くと、「難しそう」というイメージを持つ人も多いと思いますが、今回の記事はそんな方々に向けて分かりやすくご説明します!
もっと詳しく知りたいと感じた方は、是非ブリッジレポートもご覧になってください!
バイオ医薬品の成長性は?
バイオ医薬品業界の成長性ってどうなのかな?
バイオ医薬品は、遺伝子組換え技術等のバイオテクノロジーにより創出された医薬品であり、1980年代から実用化が始まりました。
その後、抗体作製技術等の技術革新により、分子量が大きく、構造が複雑な抗体医薬品の創出が可能となり、新たな治療手段として有用性が高いと臨床的に示されています。
同社有価証券報告書の記述(出典:Evaluate Pharma®の「Evaluate World Preview 2018,Outlook to 2024」)によれば、2016年には約2,020億ドルまで拡大してきたバイオ医薬品の売上高は、2020年には医薬品の総売上高の30%を占めると予測されており、バイオ医薬品の売上の増加は今後もしばらく継続するものと見込まれています。
紺色のBiotechnologyの売上高自体も右肩上がりの成長が予想されているね!
中でもバイオ医薬品の牽引役である抗体医薬は、がんや自己免疫疾患等を中心に医療の現場で処方されていて、近年の全世界医療用医薬品の市場では売上高上位10位のうちの半数を占めるまでになっています。
抗体医薬品は、疾患に関連する細胞に特異的に発現が認められる抗原をピンポイントで狙い打ちするため、高い治療効果と安全性が見込まれ、近年市場が拡大している医薬品です。
そして、抗体医薬はカイオム・バイオサイエンスの得意分野でもあります。
そんな同社の事業内容を見てみましょう。
カイオム・バイオサイエンスの事業内容は?
カイオム・バイオサイエンスは「医療のアンメットニーズに創薬の光を」というMissionのもと、抗体医薬品の開発候補品創出に取り組むマザーズ上場のバイオベンチャーです。
主な事業内容は以下の2つになります。
- 創薬事業
アンメットニーズの高い領域での抗体創薬を行い、導出するビジネス - 創薬支援事業
製薬企業等に抗体創薬にかかわる技術サービスを提供する受託ビジネス
アンメットニーズとは、現状では有効な治療法がなかったり、薬剤による治療満足度が低かったりする治療に対する未充足なニーズのことだワン!
それぞれの事業の特徴
創薬事業
創薬事業では医薬品の開発の内、「基礎・探索研究」、「前臨床段階」までを自社で主に扱い、医薬候補品を製薬会社に導出します。
既に1つが導出済みで、現在同社では5つのパイプラインを有しています。
導出とは、医薬品を開発・販売するために必要な知的財産権の使用を許可することだワン!
創薬支援事業
受託ベースで、同社が保有する複数の抗体作製技術を用いた抗体作製や、抗体創薬に関連するサービスを提供することで、製薬企業や診断薬企業、大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援しています。
カイオム・バイオサイエンスの強みと収益モデルは?
抗体医薬ってイメージが湧かないけど、どんなところに強みがあるんだろう?収益モデルも掴みにくいな…
同社の強みは独自の抗体作製技術ADLib®システムと従来の抗体作成技術、タンパク質調整や抗体エンジニアリングに関する技術を組み合わせた技術プラットフォームによってアンメットニーズに合わせたユニークな抗体を早く作ることができる点です。
収益モデルに関しては、それぞれ以下のようになっています。
- 創薬事業
契約一時金、マイルストーン収入、およびロイヤルティ収入等を獲得 - 創薬支援事業
契約一時金、マイルストーン収入、ロイヤルティ収入に加えて受託サービス料等の対価を受け取る
2つの事業の収益源の違いは、受託サービス料の有無ですが、それぞれの事業の時間軸の違いも同社の成長性を考える上で重要です。
その違いとは、創薬事業では1つのパイプラインにつき数年単位の時間を要す一方で、創薬支援事業では比較的短期間で事業サイクルが回ることにあります。
同社は、創薬支援事業で安定的に収益を獲得しながら、創薬事業で成長の源泉を育んでいるのです。
この収益モデルによって持続的に利益を創出することを目指しているんだワン!
カイオム・バイオサイエンスの業績は?
業績の推移を見てみると赤字が続いていますが、これは設備投資や創薬事業における研究開発費などの先行投資によるものです。
収益基盤となる創薬支援事業の取引は拡大していて、今後も拡大基調が続く見込みとなっています。
赤字が続いている理由を知ることが大切ね。
まとめ
今回はカイオム・バイオサイエンスについてご紹介しました。
企業分析をする際は、業績だけを見るのではなく、「どのような企業活動によってその業績になったのか」や「その企業の商品やサービスが将来どうなるか」について考えてみると良いでしょう。
カイオム・バイオサイエンスの場合は、現在の業績に注目するよりも今後の研究の進捗や同社の保有している開発技術に注目したいですね。
同社に興味を持った方は、是非ブリッジレポートをご覧ください。
※本記事は、2020年9月9日公開のブリッジレポートを基に作成されました。