今回はIPO企業の中から、6月13日に東証グロース市場に上場予定のABEJA(5574)をご紹介します。
ABEJAは、デジタルプラットフォーム事業を運営する企業です。
想定時価総額は116.9億円で、情報・通信業のIPOとなっています。
※上場後、企業様へインタビューを実施できた際に、企業からのメッセージを掲載致します。
ABEJAのIPO基本情報
ここでは上場日や、いろはに投資独自の初値予想を見てみましょう。
上場日 | 6月13日(火) |
いろはに投資独自の初値予想 | A(1.5倍以上1.7倍未満) ※想定価格1,390円から、2,085円~2,363円 |
企業Webサイト | https://www.abejainc.com |
取り扱い証券 | SBI証券(副)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、 楽天証券 、マネックス証券 、松井証券など |
IPO取り扱い数No.1のSBI証券が取り扱っているね!
ABEJAのIPO日程と価格
IPOの日程と価格は次のようになっています。
※発表次第更新しています。
想定価格 | 1,390円 |
仮条件 | 1,450~1,550円 |
ブックビルディング期間 | 5月29日(月)~6月1日(木) |
当選発表日 | 6月2日(金) |
公開価格 | 1,550円 |
申込期間 | 6月5日(月)~6月8日(木) |
上場日 | 6月13日(火) |
初値 | 4,980円 |
初値は公開価格を大幅に上回ったね!
ABEJAのIPO初値予想
事業内容がDX関連であり、IPOとして注目を集めやすいテーマとなっています。
また、オファリングレシオの低さや公募比率が50%を超えている点が初値上昇にプラスの影響を与えるでしょう。
また、しばらくIPOが無かったことから、IPO投資家の需要も集まると考えられます。
これらの点から、IPO評価: A(予想レンジ1.5倍~1.7倍=2,085円~2,363円)と判断しました。
※IPO評価、初値予想は過去のデータを元に編集部が予想したものであり、結果を確約、投資を推奨するものではございません。
詳しい評価項目を知りたい方はこちら(クリックで開きます)
- 発行済み株式数:想定時価総額を計算。
- オファリングレシオ:小さい方が投資家からの人気が高い。市場に出回る株式数が少なくなることを意味するため。
- 公募割合:大きい方が投資家からの人気が高い。企業に資金が多く入ることを意味するため。
- 上場市場:グロースに上場する企業は人気が高くなりやすい。
- 事業のトレンド性:成長市場に位置し、トレンド性が高い企業は人気になりやすい。
- VC保有比率:VCが多くいる企業は事業のトレンド性が高く・成長企業であることが多いが、ロックアップがない場合はIPO後の需給が悪化しやすい
- 売上高成長率・経常利益率:大きい方が人気。過去の業績が良い。
- 前後2週間のIPO数:少ない方が投資家からの人気が高くなりやすい。
- 過去1ヶ月の日経平均リターン:高い方が人気。投資家心理に影響。
初値予想方法については、「【IPO初値予想】IPOの評価方法を初心者向けにやさしく解説!過去の事例も」の記事で解説しています。
また、IPO初値・騰落率結果一覧では直近のIPOデータを掲載しています。
ABEJAの主幹事・幹事証券
同社のIPO株を取り扱う証券会社は、次のようになっています。
証券会社名 | 割当率 | 割当株数 |
---|---|---|
野村證券(主幹事) | 90.01% | 1,125,200株 |
SBI証券(副) | 7.50% | 93,700株 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 1.00% | 12,500株 |
みずほ証券 | 0.74% | 9,300株 |
楽天証券 | 0.25% | 3,100株 |
マネックス証券 | 0.25% | 3,100株 |
松井証券 | 0.25% | 3,100株 |
大株主情報
大株主の状況は以下の通りで、筆頭株主の岡田陽介氏は同社の代表取締役です。
株主名 | 比率 |
---|---|
岡田 陽介 | 17.76% |
SOMPO Light Vortex株式会社 | 17.61% |
ヒューリック株式会社 | 4.50% |
株式会社インスパイア・インベ ストメント | 4.47% |
外木 直樹 | 3.69% |
富松 圭介 | 3.68% |
SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合 | 3.61% |
SBI Ventures Two株式会社 | 3.61% |
コタエル信託株式会社 | 3.45% |
株式会社NTTドコモ | 3.39% |
第2位のSOMPO Light Vortex株式会社とは、21年4月からデジタルトランスフォーメーション推進等を目的として業務提携契約しているよ!
ABEJAの業績情報
決算期 | 2018年8月 | 2019年8月 | 2020年8月 | 2021年8月 | 2022年8月 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 682,503 | 964,490 | 1,039,779 | 1,259,318 | 1,978,230 |
成長率 | ー | +41.3% | +7.8% | +21.1% | +57.0% |
経常利益 | -752,620 | -1,433,998 | -886,558 | -259,703 | -181,757 |
成長率 | ー | ー | ー | ー | ー |
経常利益率 | ー | ー | ー | ー | ー |
当期純利益 | -859,000 | -1,417,781 | -1,031,633 | -350,425 | -196,366 |
成長率 | ー | ー | ー | ー | ー |
EPS | -188.33 | -310.84 | -173.22 | -65.54 | -41.18 |
BPS | -263.01 | -573.85 | 302.67 | -876.85 | 232.02 |
売上高は直近5年は右肩上がりで推移しており、2022年8月期には過去最高となりました。
継続顧客からの売上が91.8%(22年8月期)と、安定的な収益基盤を構築しているワン!
一方で、利益面で見ると赤字が続いていることがわかります。
22年8月期は、為替差損が大きく膨らんだことも経常損失の要因となりました。
しかし、2023年8月期第2四半期時点では、345,682千円の経常利益を計上しています。
また、同社は23年8月期通期の利益予想を発表しています。
前期は販管費が売上総利益を上回り営業赤字となっていましたが、2023年8月期では営業利益は390百万円を見込んでいます。
販管費率の減少が利益増加に大きく影響したんだね!
同社によると、ABEJA Platformの開発が一巡したことによるシステム利用料の減少などが販管費改善に大きく寄与したとのことです。
ABEJAの事業内容
同社は、ABEJA Platformの提供を通じて、企業のデジタルトランスフォーメーションの推進を支援しています。これまで様々な業界にわたる300社以上のDXを支援してきました。
そこで培われたノウハウを活かし、顧客のニーズに合わせた設計・開発・構築及び運用まですべて請け負っています。
そのため、顧客はABEJA Platformの最先端のソフトウェアとノウハウを活用し、AIシステムを一貫して業務に取り入れることができます。
同社の事業は、主に「トランスフォーメーション領域」と「オペレーション領域」に分類することができます。
トランスフォーメーション領域
企業のDXニーズに対応したプロフェッショナルサービスを提供
- DX推進に向けたコンサルティング
- ビジネスプロセスにABEJA Platformを導入、AIシステムの構築
- DXを推進する人材育成
オペレーション領域
ABEJA Platformを利用して顧客が業務推進
- 店舗の動線分析システム
- 来店者推定システム
- 画像判定システム
- 属性推定システム など
まず、仕組みづくりのフェーズとして「トランスフォーメーション領域」のソリューションおよびサービスを提供します。
実装したプロセスが回り始めると「オペレーション領域」に移行し安定的な運用をサポートします。
その後、新たな課題や改善点が発生した場合は、再度「トランスフォーメーション領域」でサポートします。
この2つの領域を循環させることで、AIシステムを導入した業務がより効率的かつ安定的になり、収益成長を早期に実現させます。
サイクルを回すのがポイントだね!
導入事例
具体的にどんなところで利用されているの?
以下は、具体的な取組事例です。
顧客業種 | 取組内容 | 想定する効果 |
---|---|---|
小売 | 販売データに基づく販売在庫の 自動発注最適化システムの構築・運用 | 食品サプライチェーンの最適化 |
プラント | 画像データに基づきプラントインフラの定期的検査・ モニタリングを行うAIシステムの構築・運用 | 保守人員の削減 |
電力 | 稼働データに基づく電力需要予測システムの構築・運用 | 電力量の効率的コントロール |
医療 | 画像データに基づく疾患検出AIシステムの構築・運用 | 予防医療と関連疾患の早期発見 |
介護 | 介護データに基づく被介護者の 自立支援システムの構築・運用 | 介護従事者の効率性向上 サービス品質向上 |
幅広い業種に対応しているんだね!
他にも製造業や金融、不動産などでも実績があるワン!
同社の特徴
DXを支援する会社は多いけど、他社とどこが違うんだろう?
同社の特徴は「Human in the Loop」です。
「Human in the Loop」 とはコンピュータ科学などで用いられる言葉で、「人間がシステムの中に組み込まれ、システムと人間の相互作用がある」という意味です。
AI開発は精度の保証が難しく、実際に運用せず実証実験にとどまる企業が多くあります。
しかし、同社ではABEJA Platform上にビジネスプロセスの運用ノウハウや知識をデータとして蓄積しながら、人が判断や意思決定を補うことで効率的にAIモデルを構築していきます。
これにより、データ量が少なく、AIが効果的に学習できない・高い精度を発揮できない初期段階においても、人が補うことでAIの学習サイクルを成立させることができます。
これが同社の特徴であり、強みです。
具体例として、以下があります。
この例では、工場の配管の腐食具合を検査・モニタリングするためにAIを使っていますが、最後は人間が目視で確認しています。
こうして初期は人間とAIが混じりながらはじめ、最終的にはチェックまでAIが行うことを目指しています。
今後は顧客を増やし、取引の多様化も目指しているよ
NvidiaやSOMPOホールディングスなどのパートナーと連携し、DX推進の実行力強化にも取り組んでいるワン!
直近IPOの初期予想と騰落結果
直近の3月~4月にIPOした企業の初値予想と結果は以下の通りです。
企業名 | 上場日 | 初値予想 | 初値騰落結果 |
---|---|---|---|
Ridge-i | 4/26 | B(1.3~1.5倍) | 2.54倍 |
レオス・キャピタルワークス | 4/25 | B(1.3~1.5倍) | 1.33倍 |
楽天銀行 | 4/21 | C(1.0~1.3倍) | 1.33倍 |
南海化学 | 4/20 | C(1.0~1.3倍) | 1.46倍 |
エキサイトホールディングス | 4/19 | C(1.0~1.3倍) | 1.27倍 |
米国の金融不安などがありますが、直近のIPOは堅調に推移しています。
なお、ABEJAと同じ情報・通信業でありグロース市場に上場したRidge-i(5572)は、初値が公開価格の2.5倍以上と予想以上の高騰となりました。
最後に、他の企業の上場スケジュールについて知りたい方は「IPOスケジュール」もご覧下さい。
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- SBI証券
公式サイト:https://www.sbisec.co.jp/
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