今回は10月27日に東証スタンダードに上場予定のFCE Holdings(9564)をご紹介します!
FCE Holdingsは、世界的ベストセラー『7つの習慣』をもとにした教育研修事業を中心に、DX推進事業や出版事業などを展開している企業です。
想定時価総額は46.8億円です。
企業からのメッセージ
10月20日(木)株式会社FCE Holidngsの取締役財務経理部長 加藤 寛和様へインタビューを実施しました。
インタビューでは上場までの道のりや個人投資家へのメッセージなどを伺いました。
創業経緯
FCE Holidngsは一部上場企業の子会社FCEエデュケーションとして生まれました。
『7つの習慣』を子どもたちに分かりやすく伝えるためのプログラム「7つの習慣J®」を広めることを主な事業としてスタートしました。
2004年に当時一部上場企業に在籍していた石川(現代表取締役社長)が事業を作りました。
そして、鈴木(現 FCEエデュケーション 取締役会長)が引き継ぎ、拡大に取り組みました。
その後、親会社が民事再生となり、2012年頃にFCEエデュケーションがMEBOという形でホールディングスからスピンアウトしました。
MEBOとは?
Management and Employee Buyoutの略称で、M&Aの手法のひとつ。
対象会社の経営陣と従業員が一体となって資金を出資し、対象会社の株式や事業部門を取得する買収手法。
その後、教育事業を中心に事業を広げて成長していき、研修事業を始めました。
『7つの習慣』 は元々大人向けの書籍であるため、研修は書籍をベースにして行いました。
さらに2016年には現在主力となっているDX商品であるRPA(Robotic Process Automation)を始めました。
事業が多角化してきたため2017年からホールディングスを作り、IPOを目指す中で今日に至りました。
事業内容は後で詳しく解説するよ!
上場までの道のり
上場にあたって大切なことは何だろう?
上場までの道のりで、事業面と管理面で大事なポイントがあると思います。
事業面においては、しっかりと利益を出すことと成長性が大事だと考えています。
MBOをした段階では、到底IPOを目指せるようなレベルではなく、明日をも知れぬ状態でした。
ですが、教育事業が売上・利益が出せる状態になるまで10年ほどで達成することができました。
併せて特に売上が伸びており、成長エンジンとなっているRPAの新しい事業を始め、グループ全体として売上と利益が出せる事業ポートフォリオができました。
当社は起業家を排出していこうという考えのもとで様々な事業に取り組んできたため、上手くいったものとそうではないものが過去にありました。
例えば、RPAの事業は元々AIに取り組んでみようということで始めたのですが、当時AIは時期尚早で事業化には至りませんでした。
ただ、その過程の中でRPAがお客様の生産性の改善などに有効な方法であることに辿り着きました。
このように紆余曲折ありながら、上手く成長することができました。
十分な利益と成長の両立がIPOでは大事なんだね!
次に管理面においては、上場企業としての規定の整備運用と経理体制だと考えています。
監査法人から監査意見を頂けるまでに至るには経理体制の強化という形で人材補強をする必要がありました。
IPOの目的
そもそも、なんでIPOしたんだろう?
主に二点あります。
一つ目は、上場することで信頼や知名度を獲得して、事業面と営業面でプラスに働くことを期待しています。
RPAの競合他社は知名度のある企業や大手企業となっています。
これまでは商品自体が良くても、ネームバリューや信用度で商談に負けてしまうことがありました。
そのため、上場することで少しでも我々の信用度を上げていきたいと考えています。
二つ目は、事業を成長させていく過程で、優秀な人材を獲得できることに期待しています。
以前、中途採用と新卒採用に関わらず、起業家マインドを持った優秀な社員を採用する際に他社とバッティングするケースがありました。
IPOを通じて人材獲得競争に少しでもプラスに寄与出来ればという風に考えています。
人的資本の獲得という観点でもIPOは良い影響があるんだね!
株主への還元
短期的にはまだまだ事業の成長余地があると考えているため、資金は成長投資に振り向けたいと考えています。
成長して企業価値を上げることによって、株主に還元していきたいです。
キャピタルゲインに期待だね!
中長期的な目線では自己株式の取得や配当などの株主還元をしていこうと考えています。
その点は会社の事業の成長や株式市場の状況、株主様のご意見等を伺いながらバランス良くやっていきたいと思います。
今後の注目点
当社の売上の半分程度を占めているDX推進事業、RPAの導入企業数が成長を示す指標として重要になると考えています。
教育・研修事業につきましては、残りの半分の売上を占めているイメージです。
教育は様々な事業をやっていて、それぞれを伸ばしていこうという思いがあります。
ただ、特定のKPIで成長性が見えてくるようなものではないと考えています。
研修事業では、 当社オリジナル商品である「Smart Boarding(eラーニング)」 の導入企業数が今伸びているところです。
こちらも次なる成長ドライバーとして捉えており、注力しています。
オンラインで社員教育ができるサービスだよ!
今後のIR活動
IR活動として、情報発信を一方的にするだけではなく、双方向の活発なコミュニケーションを目指していきたいと考えています。
その一環として、当社には「FaCE!」というオウンドメディアがあります。
当社を知って頂けるような内容を発信していますので、サイトの活発な利用を検討したいと考えております。
IPO概要・初値予想
まず、FCE Holdingsの初値予想、およびIPO概要について以下の4つを解説していきます。
同社を購入検討している方は、ご確認ください。
IPO評価・初値予想
グループ内ではDX推進という将来性の高い事業を扱っています。
また、オファリングレシオも13%と小さいため、初値は上昇しそうです。
一方で、新規上場予定企業が多いこと、マーケットが不安定な点は懸念材料です。
これらの点から、IPO評価: B(予想レンジ1.3倍~1.5倍)と判断しました。
※IPO評価、初値予想は過去のデータを元に編集部が予想したものであり、結果を確約、投資を推奨するものではございません。
詳しい評価項目を知りたい方はこちら(クリックで開きます)
- 発行済み株式数:想定時価総額を計算。
- オファリングレシオ:小さい方が投資家からの人気が高い。市場に出回る株式数が少なくなることを意味するため。
- 公募割合:大きい方が投資家からの人気が高い。企業に資金が多く入ることを意味するため。
- 上場市場:グロースに上場する企業は人気が高くなりやすい。
- 事業のトレンド性:成長市場に位置し、トレンド性が高い企業は人気になりやすい。
- VC保有比率:VCが多くいる企業は事業のトレンド性が高く・成長企業であることが多いが、ロックアップがない場合はIPO後の需給が悪化しやすい
- 売上高成長率・経常利益率:大きい方が人気。過去の業績が良い。
- 前後2週間のIPO数:少ない方が投資家からの人気が高くなりやすい。
- 過去1ヶ月の日経平均リターン:高い方が人気。投資家心理に影響。
初値予想の方法については、「【IPO初値予想】IPOの評価方法を初心者向けにやさしく解説!過去の事例も」の記事をご覧ください。
取り扱い証券
同社のIPO株を取り扱う証券会社は以下の通りです。
証券会社名 | 割当率 | 割当株数 |
---|---|---|
みずほ証券(主) | 86.97% | 416,400株 |
SBI証券 | 2.61% | 12,500株 |
岡三証券 | 2.61% | 12,500株 |
丸三証券 | 2.21% | 10,600株 |
岩井コスモ証券 | 1.34% | 6,400株 |
楽天証券 | 1.34% | 6,400株 |
あかつき証券 | 0.42% | 2,000株 |
東洋証券 | 0.42% | 2,000株 |
水戸証券 | 0.42% | 2,000株 |
マネックス証券 | 0.42% | 2,000株 |
松井証券 | 0.42% | 2,000株 |
極東証券 | 0.42% | 2,000株 |
むさし証券 | 0.42% | 2,000株 |
\ IPO取扱数No.1証券はこちら!/
どの証券会社が良いのか詳しく知りたい方は「IPO投資におすすめの証券会社ランキング」をご覧ください!
日程・価格
IPOの日程は以下のようになっています。
抽選申込期間 | 10月11日(火)~10月17日(月) |
当選発表日 | 10月18日(火) |
購入申込期間 | 10月19日(水)~10月24日(月) |
上場日 | 10月27日(木) |
続いて、価格は以下のようになります。
仮条件 | 1,460~1,560円 |
公募価格 | 1,560円 |
初値 | 2,060円 |
IPO企業の初値や騰落率に関しては、「IPO初値・騰落率結果【2022年】」をご覧ください。
大株主
株主の状況は以下のようになっています。
株主名 | 比率 |
---|---|
株式会社デュケレ | 37.76% |
白土 将志 | 6.13% |
鈴木 甲子雄 | 6.04% |
佐藤 陽彦 | 5.76% |
近藤 隆 | 5.37% |
石川 淳悦 | 4.61% |
イノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合 | 3.68% |
尾上 幸裕 | 2.14% |
升本 甲一 | 2.14% |
永井 充 | 2.14% |
佐野 陽彦 | 2.14% |
小林 裕 | 2.14% |
企業概要
事業内容
同社は、「チャレンジあふれる未来をつくる」という企業理念のもと、「新たな一歩」を阻む壁を取り払うためのサービスを提供しています。
その中心として用いられているのが、『7つの習慣』という本です。
この本は、スティーブン・R・コヴィー博士が成功者の共通点を研究し、それをまとめたものです。
原作や翻訳本だけでなく、内容を漫画で解説する本など数多くの関連書籍が発売されており、非常に人気の高い本です。
それでは、同社の具体的な事業内容を見ていきましょう。
教育研修事業
同社では、『7つの習慣』をもとにした人材育成コンサルティングを行っています。
子ども向けの「7つの習慣J®」、法人向けの「7つの習慣研修®Business Ownership」、一般消費者向けの「7つの習慣セルフコーチング」といった複数のコースがあります。
「7つの習慣J®」では子どもたちの主体性を引き出し、課題発見能力・課題解決能力を育むことが目的です。
学校法人(中学・高校および専門学校)及び学習塾(主に小中学生を対象とした学習塾)に対して、プログラムやテキストを提供しており、今までに30万人が受講しています。
他にも、NOVAホールディングス株式会社が運営する個別指導塾「ITTO個別指導学院」のフランチャイズ運営支援や、東京インターナショナルスクール勝どき校の運営も行っています。
色んな形で子どもの教育を支援しているんだね!
法人向けの「7つの習慣研修®Business Ownership」は、「7つの習慣®」をよりビジネスシーンに特化させたものです。
イノベーションを起こす土台を築くための2日間の研修プログラムで、これまでに2,600社以上が導入しています。
この他にも、組織にPDCAサイクルを定着させる実践型現場トレーニング「xDrive」や、「組織の目指す姿を実現する」ための評価制度構築・運用を支援する「Axis」なども提供しています。
人材だけでなく、組織の育成もしているんだね!
今後はコンテンツ強化と、オンライン化による受講対象の拡張を狙っているワン!
DX推進事業
この事業では、「Robo-Pat DX」という純国産RPAソフトウェアの開発・提供を行っており、「新たなテクノロジー」と「人・組織の変革」の支援の両輪によって、企業のDXを推進しています。
RPAって何のこと?
RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、パソコン内の業務を自動化するシステムのことです。
ソフトウェアロボットに定型的な事務作業を登録することで、人が操作しなくとも自動的に作業を行わせることができ、定型業務の効率化を図ることができます。
AIと違って、データを分析したり自ら判断したりはしないんだね
「Robo-Pat DX」 は「プログラミング知識を持たない人でもつくれるRPA」をコンセプトに掲げており、以下の4つの特徴があります。
4つの特徴
- ユーザーが直感的に運用できる
- 対象アプリケーションを問わず、融通が利く
- 初期費用がなく、リーズナブルな利用料金
- 月ごとの契約で、フレキシブルに利用できる
こうした特徴によって、RPA製品の導入にハードルを感じていた中小企業や、大企業の部門単位での利用ニーズに応えることができます。
その影響もあり、導入企業は順調に増えています。
今後は代理店網を強化して、地方における認知拡大・販売体制の構築を目指すワン!
教育研修事業×DX推進事業
同社が力を入れようとしているのが、 教育研修事業×DX推進事業です。
例えば、現在「Smart Boarding」という社員教育システムの提供も行っています。
これはeラーニングでの学び(インプット)とオンラインレッスンでのトレーニング(アウトプット)で構成されたものです。
そのため、「Smart Boarding」 を「7つの習慣研修®Business Ownership」 のフォローツールとしてセットで提供する、ということができます。
逆に 「Smart Boarding」 の既存導入企業に対して、研修やコンサルティングを提案する、といったこともできます。
このように、同社は各事業で構築した顧客基盤に対して様々な商材を横断的に提供することで、収益の安定化と高い成長の両立を目指しています。
コンテンツ間でシナジーを産み出すんだね!
その他事業
同社では上記のサービスを軸に、補助的なサービスも展開しています。
子会社の株式会社FCEパブリッシングでは、「キングベアー出版」という名称で出版事業を行っています。
同事業では、『完訳 7つの習慣』などのビジネス書を取り扱っています。
決算情報
続いて、同社の決算情報を見ていきましょう。
同社の今期売上高を単純計算で予想すると、3,800,000千円弱となり過去最大の売上高となりそうです。
研修業界では、eラーニング市場のニーズ拡大が継続しています。
そして、DX推進事業では自動化や生産性改善に対するニーズが継続していることが、売上増加の要因と考えられます。
一方資産額に関しては、前年度と比べて大きく減少しています。
この背景として、自己株式を取得したことや、前年度未払いであった分を支払ったことが挙げられます。
売上高は増えてはいるけど、微増って感じだね
連結経常利益、当期純利益ともに前年度の数字を大幅に更新しています。
増加幅が控えめな売上高とは対照的です。
特に連結当期純利益は、この2年の間で前年比+50%が続いています。
利益率の高い「Robo-Pat DX(RPA)」や「Smart Boarding(eラーニング)」の導入企業数が堅調に推移していることが要因だと考えられます。
利益剰余金は2年間で倍になってるよ!
経営陣
同社の役員は10名(うち女性1名)おり、その中から抜粋で役員の経歴を紹介します。
代表取締役社長 石川 淳悦
1988年4月 飯島工業株式会社(現 暁飯島工業株式会社) 入社
1997年1月 株式会社ベンチャー・リンク(現 株式会社C&I Holdings) 入社
2009年3月 株式会社FCエデュケーション 代表取締役会長就任
2015年1月 株式会社FCEトレーニング・カンパニー 取締役会長就任(現任)
2017年4月 当社 代表取締役社長就任 (現任)
2018年10月 株式会社FCEエデュケーション 取締役就任(現任)
2018年10月 株式会社FCEパブリッシング 取締役会長(現任)
最後に、他の企業の上場スケジュールについて知りたい方は以下のページもご覧下さい。
※本記事は2022年9月27日時点の情報を元に作成されています。
※本記事内で紹介されている意見は個人的なものであり、記事の作成者その他紹介企業等の意見を代表するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の商品や手法を推奨するものではありません。投資に関する意志決定はご自身の判断にてお願い致します。