今回は10月26日に東証グロースに上場予定のリンカーズ(5131)をご紹介します!
リンカーズ株式会社は、企業の課題を解決するためのビジネスマッチングプラットフォームを提供している企業です。
「Creating Links, Changing the World – マッチングで世界を変える」というミッションを掲げています。
想定時価総額は39.0億円で、東証グロースに上場します。
企業からのメッセージ
10月17日(月)、リンカーズ株式会社の前田社長にインタビューを実施しました。
インタビューでは上場後の戦略や、個人投資家へのメッセージなどを伺いました。
代表取締役社長 前田佳宏 氏
2000年3月に大阪大学工学部卒業後、京セラ株式会社に入社。
その後、野村総合研究所にてコンサルティング業務に従事。事業戦略やM&A戦略の立案・実行支援に携わる。
2011年9月にDistty株式会社(現リンカーズ株式会社)設立。
設立の経緯
私は、前職の野村総合研究所で勤務していた頃に大手製造業のコンサルを6年半ほど行い、キャリアの後半では欧米企業のM&Aの立案に従事していました。
業務に携わる中で、欧米と日本の産業構造の違いを分析する機会がありました。
そこで、このまま進むと日本の産業構造が崩壊してしまうのではないかという、大きな危機感を持ちました。
前田社長が感じた日本と欧米の産業構造の違い
- 日本
産業が縦割りで、業界の垣根を越えて情報が流動する機会に乏しい - 欧米
転職社会であり、情報が人に乗ってどんどん流動するため事業ドメインが最適化されている
日本の産業構造の課題を肌で感じていたんだね!
日本の産業でも縦割りを打破すべく、横ぐしを刺すようなかたちで、あらゆる業界のあらゆる人がどんどん動き回って化学反応でイノベーションが起きやすい状態を作る必要があると感じて、起業しました。
事業を始めた当初はどんなことをやっていたのかな?
起業当初は、300業界ぐらいのバリューチェーンと言われる業界構造を見える化したweb展示会場をつくりました。
東日本大震災が発生した後、東北の分断されたサプライチェーンをまず復興したいという思いで現地に飛び込んで、600社ほど企業を回るところからスタートしました。
上場までの道のり
当初は一人で事業を回しており、 はじめに「Distty」というSNSをNews Picksと同じような発想で作りました。
News Picks の特徴
- キュレーションシステム:良質で自分が興味のある分野の記事を厳選して提供。
- コミュニティ機能:コミュニティが形成され、意見交換ができる。
有力で様々な発言ができる人を何人か集め、ダイヤモンドオンラインなどのメディアの記事を載せて、それに対してあらゆる業界の人が意見を言い合って化学反応を起こすという発想のもとでした。
ただ、一人でやっていたというのもあり、UI・UXといったところで上手くいかずに、3か月くらいで諦めました。
次に、二の矢としてウェブ展示場のeEXPO(イーエキスポ)を設立しました。
これは人ではなくて、企業が登録することによって、企業が何をやっているのかがバリューチェーン上ですぐに見える化されるようなシステムです。
しかし、時間がかかってしまう点や、事業の成長性に限界を感じていた点から、これも断念することにしました。
現在の成功の裏には、2回の事業失敗があったんだね。
そこで三の矢として、中小企業の技術をどんどん大手企業に売り込んでいくのではなく、大手企業のニーズを起点として中小企業のニーズを探すという逆の発想の方がうまくいくのでないかと思いました。
この発想を軸に今の主力事業である現リンカーズソーシングを2013年後半から開始して、本格的に事業を立ち上げました。
ただ、これまでの失敗というのは決して無駄ではなくて、その過程で産業コーディネーターという中小企業に精通した方々のコネクションを手に入れることができました。
産業コーディネーターとは?
地方自治体の外郭団体や地域金融機関等で、「中小企業の販路開拓支援」や「地方中小企業と大学の研究室をマッチング」するなど地方中小企業に精通する専門家
この方々との繋がりのおかげで、大手企業のすべての発注案件に対して中小企業を集めることができました。
これを事業に生かして資金調達を行い、大手企業の発注案件を東北以外のエリアにも拡大していくことにしました。
このタイミングで上場してもいいような気がするけど…
売上もどんどん拡大しましたが、ニッチな分野でフロー要素の強い売上を積み上げることに不安を抱いていました。
そんな時にリンカーズのシステムを銀行に導入する機会があって、それがLFB(Linkes for BANK)になりました。
ストックビジネスであるLFBが成長し、事業ポートフォリオが安定的に推移するようになったため、上場をすることにしました。
IPOの目的
IPOにはどのような目的があったのかな?
知名度や信頼度を向上させる目的が大きいです。
これには2つの理由があり、1つ目は人材採用がしやすくなることです。
特にエンジニアの採用を重要視していて、上場企業である方が採用には有利だと考えています。
2つ目は、信頼度が高い方がシェアを上げやすいことです。
当社はBtoBの事業を展開しているため、銀行や大手の製造業といったクライアントは信頼性を重要視されます。
その点で、上場した方がビジネス上優位になります。
株主への還元
配当については、しばらくの間しない方向で考えています。
事業で得た利益は投資に回し、 利益率をある程度維持しつつ事業をどんどん拡大する方針です。
それによりバリュエーションを向上させることによって、投資家の方々に還元しようと考えています。
配当につきましては、それが達成されてからだと考えています。
今後の注目点
投資家として注目すべき点はどこかな?
広域連携のマッチングの数を拡大していくことが重要な成長戦略であると考えています。
Linkers for BANK、すなわち銀行のネットワークをいかに繋げていくのかということです。
今、取引先である銀行27行の中で年間数万件の商談と数万件の成約が起こっています。
しかし、ほとんどが自行内のネットワークで起こっています。
LFBには現在、130万社と2万2,000人の行員が登録されています。
その2万2,000人の行員がうまく交流して、130万社の中全体でマッチングが起こることによってマッチング件数を劇的に増やせると考えています。
また、広域連携の場合には弊社にも手数料収入が入ってくるため、銀行の取引先・銀行・弊社の3社が儲かる三方良しの状態が作れるようになります。
広域連携、すなわち日本全国でいかにマッチングを増やすかが一つの大きな成長戦略です。
投資家へのメッセージ
我々の事業は社会貢献性が高く、日本のSDGsにも貢献できるものと考えています。
また、我々の事業は参入障壁が高く、かつ事業規模が大きい領域であると考えています。
以前からBtoBのマッチング領域におけるカスタム×コア領域は専門商社がやっていました。
それをプラットフォームを用いて、「テクノロジー」「システム」「人」という3つの融合で盛り上げるという事例はこれまでにないものです。
我々はこれらの領域に関して世界でも最初のプラットフォーマーになると思っており、これを利用して日本の産業の発展に貢献していきたいと考えています。
定期的な説明会や1on1のミーティングなどで積極的に情報開示を進めていきますので、応援よろしくお願いいたします。
IPO概要・初値予想
まず、リンカーズの初値予想、およびIPO概要について以下の4つを解説していきます。
同社を購入検討している方は、ご確認ください。
IPO評価・初値予想
IPO評価:A(予想レンジ1.5倍~1.7倍)
オファリングレシオが20%と低く、吸収金額も小さいため初値上昇に期待ができます。
また、売上高CAGRも20%を超えており、今後の成長も期待できるでしょう。
一方で、VC保有比率が40%と高く、公募価格の1.5倍でロックアップが解除される点はマイナス要因です。
また、同日や直近の新規上場数の多さも気になります。
これらの点から、IPO評価: A(予想レンジ1.5倍~1.7倍)と判断しました。
※IPO評価、初値予想は過去のデータを元に編集部が予想したものであり、結果を確約、投資を推奨するものではございません。
詳しい評価項目を知りたい方はこちら(クリックで開きます)
- 発行済み株式数:想定時価総額を計算。
- オファリングレシオ:小さい方が投資家からの人気が高い。市場に出回る株式数が少なくなることを意味するため。
- 公募割合:大きい方が投資家からの人気が高い。企業に資金が多く入ることを意味するため。
- 上場市場:グロースに上場する企業は人気が高くなりやすい。
- 事業のトレンド性:成長市場に位置し、トレンド性が高い企業は人気になりやすい。
- VC保有比率:VCが多くいる企業は事業のトレンド性が高く・成長企業であることが多いが、ロックアップがない場合はIPO後の需給が悪化しやすい
- 売上高成長率・経常利益率:大きい方が人気。過去の業績が良い。
- 前後2週間のIPO数:少ない方が投資家からの人気が高くなりやすい。
- 過去1ヶ月の日経平均リターン:高い方が人気。投資家心理に影響。
初値予想の方法については、「【IPO初値予想】IPOの評価方法を初心者向けにやさしく解説!過去の事例も」の記事をご覧ください。
取り扱い証券
同社のIPO株を取り扱う証券会社は以下の通りです。
証券会社名 | 割当率 | 割当株数 |
---|---|---|
SBI証券(主) | 92.18% | 2,577,100株 |
みずほ証券 | 2.61% | 72,900株 |
極東証券 | 1.30% | 36,400株 |
岩井コスモ証券 | 1.30% | 36,400株 |
松井証券 | 1.30% | 36,400株 |
水戸証券 | 1.30% | 36,400株 |
\ IPO取扱数No.1証券はこちら!/
どの証券会社が良いのか詳しく知りたい方は「IPO投資におすすめの証券会社ランキング」をご覧ください!
日程・価格
IPOの日程は以下のようになっています。
抽選申込期間 | 10月11日(火)~10月17日(月) |
当選発表日 | 10月18日(火) |
購入申込期間 | 10月19日(水)~10月24日(月) |
上場日 | 10月26日(水) |
続いて、価格は以下のようになります。
仮条件 | 290円〜300円 |
公募価格 | 300円 |
初値 | 503円 |
IPO企業の初値や騰落率に関しては、「IPO初値・騰落率結果【2022年】」をご覧ください。
大株主
株主の状況は以下のようになっています。
株主名 | 比率 |
---|---|
前田 佳宏 | 22.74% |
ジャフコSV4共同投資事業有限責任組合 | 22.21% |
合同会社SAKUNAKA | 18.95% |
SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合 | 9.63% |
加福 秀亙 | 6.90% |
DBJキャピタル投資事業有限責任組合 | 6.50% |
京侑株式会社 | 4.55% |
BIG1号投資事業有限責任組合 | 1.18% |
株式会社日経ビービー | 1.12% |
ソウルドアウト株式会社 | 1.09% |
企業概要
事業内容
同社は「マッチングで世界を変える」というミッションを掲げ、企業同士の新たな出会いを提供しています。
技術ニーズの調査からサプライヤーの探索など、幅広いマッチング支援をしています。
これらのサービスによってものづくり企業の研究から開発、量産までを一貫して支援し、ものづくり企業のイノベーションを促進する価値創出を行っているのです。
企業のマッチングを支援する同社のサービスは、以下の3分野に大きく分けられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①探索、マッチングサービス
探索、マッチング領域では、目的別に4つのサービスを提供しています。
- Linkers Sourcing
技術課題を抱えた発注企業と、ものづくりに特化した全国の中堅・中小企業等を引き合わせるサービス - Linkers Marketing
発注企業が保有する技術・製品を必要とする企業との面談機会を創出し、技術・製品の用途を開拓するサービス - LFB(Linkers for Bank / Linkers for Business)
地域金融機関及び事業会社が行うビジネスマッチングを一元管理するためのSaaS型マッチングサービス - Linkers Trending
リスク回避のために複数サプライヤーを確保したい企業や安価なサプライヤーを見つけたい企業向けに、調達・購買先の探索や調達支援を行うサービス
Linkers SourcingやLinkers Marketingの流れは以下のようになっているワン!
リンカーズのネットワークやノウハウのおかげで、時間やコストを抑えてビジネスパートナーを探せるんだね!
②リサーチサービス
リサーチ領域では、以下の2つのサービスを提供しています。
- Linkers Research
企業が新規事業やマーケティングを行う際に直面する様々な課題に対し、技術専門性のあるリサーチャーが調査し、レポート等を提供するサービス - Linkers Research Clip
Linkers Researchにて作成されたレポートを、簡単に社内で共有できるサービス
技術動向や研究者、共同研究者やサプライヤーの情報など、様々な調査を行っているよ!
③その他サービス
探索、マッチングやリサーチの他に、「TechMesse Academy」というイベント運営サービスも提供しています。
企業が保有する技術やサービスのプロモーション活動を支援しています。
以下がサービスをまとめた事業系統図になります。
研究開発からプロモーションまで、幅広く企業を支援しているんだね!
決算情報
続いて、同社の決算情報を見ていきましょう。
売上高は年平均20%程度の成長を見せています。
しかし、ここ数年の純資産額の伸びは今ひとつのようです。
新型コロナウイルスの影響で製造業の企業活動が停滞している影響が大きいと考えられます。
同社は従来のマッチング事業からSaaS型サービスまで、収益基盤を拡大し続けています。
今後の事業拡大、収益力向上に期待していきたいです。
2020年7月期から、経常利益及び当期純利益の黒字化が達成されています。
また、前期には一株あたり純資産額も黒字になりました。
LFBをはじめとしたストック型ビジネスの拡大により、当期純利益も向上しました。
企業研究費が高水準で推移していることも同社に追い風となっているワン!
安全性の観点では、自己資本比率が80%前後と高水準であり、安定した経営状態と言えるでしょう。
今後の同社の着実な成長に期待です。
企業からのメッセージ
上場後、企業様へインタビューを実施できた際に掲載致します。
いろはに投資のTwitterフォロー、LINE公式アカウントを登録しておいて欲しいワン!
経営陣
同社の役員は8名(うち女性1名)おり、その中から抜粋で役員の経歴を紹介します。
代表取締役社長 前田 佳宏
2000年4月 京セラ株式会社 入社
2006年2月 株式会社野村総合研究所 入社
2012年4月 Distty株式会社(現当社) 代表取締役
2017年7月 当社 代表取締役社長(現任)
最後に、他の企業の上場スケジュールについて知りたい方は以下のページもご覧下さい。
IPO投資をするなら開いておきたい証券口座
- SBI証券
公式サイト:https://www.sbisec.co.jp/
2021年のIPO取扱数No.1。IPO投資をするなら必ず持っておきたい証券会社です。 - マネックス証券
公式サイト:https://www.monex.co.jp/
IPOが完全平等抽選制なので、初めてのIPO投資でも平等に抽選に参加できます。 - SMBC日興証券
公式サイト:https://www.smbcnikko.co.jp/
主幹事になることが多いので、IPOの割当率が高い証券会社です。
※本記事は2022年10月6日時点の情報を元に作成されています。
※本記事内で紹介されている意見は個人的なものであり、記事の作成者その他紹介企業等の意見を代表するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の商品や手法を推奨するものではありません。投資に関する意志決定はご自身の判断にてお願い致します。