今回はIPO企業の中から12月14日に東証グロースに上場予定のスカイマーク(9204)をご紹介します(同日には大栄環境が上場予定です)。
スカイマークは、大手航空会社に比べて割安な輸送運賃を武器とするエアライン企業です。
想定時価総額は693.8億円で、業績悪化による上場廃止後、再度上場します。
IPO概要・初値予想
まず、スカイマークの初値予想、およびIPO概要について以下の4つを解説していきます。
同社を購入検討している方は、ご確認ください。
IPO評価・初値予想
エアライン業界が回復傾向の中で黒字転換が予想される企業のIPOで、回復のスピード感が注目されています。
また、知名度が高く人気な企業であり、上場後に更なる売上加速も期待できそうです。
しかしマイナス要素としては、公募比率とVC比率が高いことや、同日に大栄環境が上場することが挙げられます。
また、調達金額の大きさや再上場であることも供給面において不安要素を残します。
これらの点から、IPO評価: B(予想レンジ1.3倍~1.5倍)と判断しました。
※IPO評価、初値予想は過去のデータを元に編集部が予想したものであり、結果を確約、投資を推奨するものではございません。
詳しい評価項目を知りたい方はこちら(クリックで開きます)
- 発行済み株式数:想定時価総額を計算。
- オファリングレシオ:小さい方が投資家からの人気が高い。市場に出回る株式数が少なくなることを意味するため。
- 公募割合:大きい方が投資家からの人気が高い。企業に資金が多く入ることを意味するため。
- 上場市場:グロースに上場する企業は人気が高くなりやすい。
- 事業のトレンド性:成長市場に位置し、トレンド性が高い企業は人気になりやすい。
- VC保有比率:VCが多くいる企業は事業のトレンド性が高く・成長企業であることが多いが、ロックアップがない場合はIPO後の需給が悪化しやすい
- 売上高成長率・経常利益率:大きい方が人気。過去の業績が良い。
- 前後2週間のIPO数:少ない方が投資家からの人気が高くなりやすい。
- 過去1ヶ月の日経平均リターン:高い方が人気。投資家心理に影響。
初値予想の方法については、「【IPO初値予想】IPOの評価方法を初心者向けにやさしく解説!過去の事例も」の記事をご覧ください。
取り扱い証券
同社のIPO株を取り扱う証券会社は、次のようになっています。
証券会社名 | 割当率 | 割当株数 |
---|---|---|
大和証券(主) | 62.09% | 7,937,600株 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(主) | 29.49% | 3,769,200株 |
BofA証券(主) | 2.53% | 323,000株 |
SMBC日興証券 | 1.00% | 128,100株 |
みずほ証券 | 1.00% | 128,100株 |
野村證券 | 1.00% | 128,100株 |
SBI証券 | 0.53% | 67,800株 |
松井証券 | 0.53% | 67,800株 |
マネックス証券 | 0.53% | 67,800株 |
楽天証券 | 0.53% | 67,800株 |
岡三証券 | 0.18% | 22,600株 |
東海東京證券 | 0.18% | 22,600株 |
丸三証券 | 0.18% | 22,600株 |
水戸証券 | 0.18% | 22,600株 |
あかつき證券 | 0.06% | 7,500株 |
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どの証券会社が良いのか詳しく知りたい方は「IPO投資におすすめの証券会社ランキング」をご覧ください!
日程・価格
IPOの日程は次のようになっています。
ブックビルディング期間 | 11月28日(月)~12月2日(金) |
当選発表日 | 12月5日(月) |
申込期間 | 12月6日(火)~12月9日(金) |
上場日 | 12月14日(水) |
続いて、価格は以下のようになります。
仮条件 | 1,150円~1,170円 |
公開価格 | 1,170円 |
初値 | 1,272円 |
IPO企業の初値や騰落率に関しては、「IPO初値・騰落率結果【2022年】」をご覧ください。
大株主
株主の状況は次のようになっています。
株主名 | 比率 |
---|---|
インテグラル2号投資事業有限責任組合 | 42.93% |
UDSエアライン投資事業有限責任組合 | 33.40% |
ANAホールディングス(株) | 16.50% |
Integral Fund II(A)L.P. | 4.75% |
インテグラル2号SS投資事業有限責任組合 | 2.42% |
企業概要
事業内容
スカイマークは、ANA・JALに次ぐ国内有数の旅客便数を誇る航空会社です。
価格面においては大手2社より料金が抑えられており、サービスも充実しています。
競争が激しいエアライン業界における市場環境で同社は主に3つのサービスを提供して差別化を図っています。
- ANAやJALと同クラスの座席
良心的な値段でも提供できる快適時間 - 受託手荷物無料サービス
LCCでは基本有料のサービスを制限なく提供 - ドリンクサービス
ネスレとの契約による素敵なドリンクサービス
同社はLCCと既存の大手航空会社のメリットをバランスよく取り入れ、上手にエアライン業界に参入しています。
そこで、安くて快適というミドルコストキャリアとしての存在を確立しようとしています。
不必要な経費をしっかり削減しているおかげで安い運賃で良いサービスを受けられるんだね!
国内のコロナ禍もようやく終わりが見え、同社は更なる拡大を目指し、上場によって得た資金を機材の更新に充てる予定です。
同社が導入を決定している737MAXはより利便性が高く、座席数の大幅な増加や低燃費による運行が期待できます。
また、上記画像のような心のこもったサービスを同社は無料で提供しており、同サービスは認知度向上にも大きく貢献しました。
これらのサービスがリーズナブルな価格で実現しているからすごいんだワン!
同社事業の強みとして、高い定時制と低い欠航率も挙げられます。
エアライン業界における競争で最も意識されるものの一つである定時運行率を同社は5年間連続で一位を獲得しています。
航空便が時間通り動いてくれる航空会社の方が信頼できるね!
加えて、サービス品質の向上によるお客様満足度も高いレベルで推移しています。
これらの強みを生かして事業拡大していくことに期待だワン!
決算情報
続いて、同社の決算情報を見ていきましょう。
新型コロナウイルスの影響による航空輸送機会の大幅な減少により、旅客需要の低迷が続いています。
売上高にあたる事業収益では2022年3月期で471億円となっており、コロナが本格化する前の2020年3月期比で半分の水準に留まっています。
また、3月末時点での純資産は92億円で自己資本比率は約10%となっており、低水準ではあるものの下落は小幅になっています。
航空業界では燃料価格が及ぼす影響は大きそうだね。
近年では原油や為替変動によるリスクに合わせ、ヘッジ取引量を増やしている航空会社の割合高くなっています。
しかし、エアラインのコスト削減や運賃への転嫁には限界があることには注意しなければなりません。
原油輸入代金の高騰が長期化するかどうか注目だワン!
同社の前期決算は、最終損益が67億円の赤字となり、赤字幅は縮小したものの3期連続の最終赤字となりました。
しかし、同社は2023年3月期通期業績予想を明らかにし、営業利益31億円、最終利益は90億円と、前年度の67億円の損失計上から今期は黒字転換する見通しです。
今期の半期純利益が27億円で、業績は回復の傾向にあるね!
同社の成長戦略として、航空業界として共通する課題にも向かい合う必要があります。
二酸化炭素の排出を削減するための持続可能な航空燃料に対する取り組みや原料の調達方法についても注目が集まります。
最近ニュースなどでもよく耳にするSAF(持続可能な航空燃料)のことだワン!
経営陣
同社の役員は13名おり、その中から抜粋で役員の経歴を紹介します。
代表取締役社長 執行役員 洞 駿
1971年7月 運輸省 入省
1999年7月 同 運輸政策局次長
2000年9月 同 大臣官房総務審議官
2001年1月 国土交通省 政策統括官
2001年7月 同 自動車交通局長
2002年8月 同 航空局長
2003年7月 同 国土交通審議官
2007年10月 全日本空輸株式会社 常勤顧問
2008年4月 同 上席執行役員
2008年6月 同 常務取締役執行役員
2009年4月 同 専務取締役執行役員
2011年6月 同 代表取締役副社長執行役員
2014年4月 ANAホールディングス株式会社 常勤顧問
2017年6月 一般財団法人空港振興・環境整備支援機構 評議員(現任)
2018年7月 当社 顧問
2018年12月 パラカ株式会社 社外監査役(現任)
2020年2月 当社 代表取締役社長執行役員(現任)
最後に、他の企業の上場スケジュールについて知りたい方は「IPOスケジュール【2022年】」もご覧下さい。
IPO投資をするなら開いておきたい証券口座
- SBI証券
公式サイト:https://www.sbisec.co.jp/
2021年のIPO取扱数No.1。IPO投資をするなら必ず持っておきたい証券会社です。 - マネックス証券
公式サイト:https://www.monex.co.jp/
IPOが完全平等抽選制なので、初めてのIPO投資でも平等に抽選に参加できます。 - SMBC日興証券
公式サイト:https://www.smbcnikko.co.jp/
主幹事になることが多いので、IPOの割当率が高い証券会社です。
※本記事は2022年11月21日時点の情報を元に作成されています。
※本記事内で紹介されている意見は個人的なものであり、記事の作成者その他紹介企業等の意見を代表するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の商品や手法を推奨するものではありません。投資に関する意志決定はご自身の判断にてお願い致します。