ブリッジレポート
(8275) 株式会社フォーバル

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ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.65

(8275:東証1部) フォーバル 企業HP
大久保 秀夫 会長
大久保 秀夫 会長
中島 將典 社長
中島 將典 社長
【ブリッジレポート vol.65】2019年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「同社の19/3期第3四半期決算は、前年同期比9.6%増収と好調に推移したものの、主力アイコンサービスが牽引するフォーバルビジネスグループ・・・」続きは本文をご覧ください。
2019年3月20日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバル
会長
大久保 秀夫
社長
中島 將典
所在地
東京都渋谷区神宮前 5-52-2 青山オーバルビル
決算期
3月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 51,351 2,854 2,960 1,743
2017年3月 50,262 2,545 2,615 1,588
2016年3月 50,408 2,379 2,331 1,351
2015年3月 45,075 1,921 1,817 1,241
2014年3月 39,443 1,481 1,486 1,110
2013年3月 35,193 1,180 1,232 791
2012年3月 34,695 843 846 587
2011年3月 32,287 681 665 464
2010年3月 32,206 523 478 449
2009年3月 34,358 112 17 -1,879
2008年3月 34,323 -933 -1,264 -532
2007年3月 26,216 -1,878 -2,012 -1,390
2006年3月 27,500 3 14 1,063
2005年3月 40,089 1,962 1,962 1,174
2004年3月 32,981 1,446 1,360 660
2003年3月 37,402 1,522 1,334 443
株式情報(3/4現在データ)
株価 発行済株式数
(自己株式を控除)
時価総額 ROE(実) 売買単位
863円 25,098,171株 21,660百万円 20.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
22.00円 2.5% 73.00円 11.8倍 357.01円 2.4倍
※株価は3/4終値。発行済株式数は前期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは前期末実績。
※EPSは19/3月期予想。
 
フォーバルの2019年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
中小・中堅企業を対象に「情報通信分野」・「海外分野」・「環境分野」・「人材・教育分野」の4分野に特化した次世代経営コンサルティングカンパニーを目指している。また、ITを活用し経営を高度化・効率化する手段として、オフィス向けの光ファイバー対応IP電話サービスやFMCサービス(固定通信と移動体通信を融合したサービス)、ならびにそれらとネットワークセキュリティを融合したIP統合ソリューションなどの通信・インターネット関連サービスを提供するほか、OA・ネットワーク機器の販売・工事、携帯端末の取次ぎ、Web構築、太陽光システムやオール電化製品の販売・工事などのサービスを提供している。社名のFORVAL(フォーバル)は、「For Social Value」を語源とし、「社会価値創出企業を目指す」という経営理念が込められている。 事業は、(株)フォーバルを中心に、中小法人向けOA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次、コンサルティングサービス等を手掛けるフォーバルビジネスグループ、(株)フォーバルテレコムを中心に、VoIP・モバイル等の通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷、及び保険サービス等を手掛けるフォーバルテレコムビジネスグループ、(株)リンクアップがモバイルショップにおいて携帯端末の取次等を手掛けるモバイルショップビジネスグループ、14/3期に新たに子会社化した(株)アップルツリーがオール電化・エコ住宅設備の卸・工事請負業を営む総合環境コンサルティングビジネスグループの4セグメントに分かれる。 加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメントにはIT教育サービス、IT分野のエンジニア及び管理者の育成や、東南アジアにおける現地幹部候補・留学生の人材紹介を手掛ける(株)アイテックが含まれている。 近年のハード販売における付加価値の低下を踏まえ、現在、差別化が可能で付加価値も高いコンサルティングサービスへのシフトを進めており、08年4月にサービスを開始したITコンサルティングサービス「アイコン」がその中核となっている。また、コンサルティングサービスの一環として、中小企業の情報化の支援やASEAN展開の支援にも取り組んでおり、前者ではIP統合ソリューションを展開。後者では、10年5月にFORVAL(CAMBODIA)CO.,LTD.(カンボジア・プノンペン)を設立し、以後、11年7月のPT FORVAL INDONESIA(インドネシア・ジャカルタ)及び同年8月のFORVAL VIETNAM CO.,LTD.(ベトナム・ホーチミン)の設立、更には12年3月のミャンマー駐在員事務所(ミャンマー・ヤンゴン)を開設後、翌13年2月に現地法人化(FORVAL MYANMAR CO., LTD.を設立)するなど、ASEANにおいてネットワークの拡充を進めている。 また、平成26年1月24日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から市場第二部へ市場変更となった後、平成26年10月2日に市場第一部に指定された。 フォーバルグループの業績推移 IT領域における教育と資格の奨励を通じて従業員のスキルを高め、ハードの卸売りからアイコンサービスによるコンサル業態へ事業転換させた効果が確認できる。
 
 
成長戦略
同社は、グループの新しい中期ビジョンとして、企業経営そのものを支援し、中小・中堅企業の利益に貢献する『次世代経営コンサルティング』の確立を掲げた。既存の事業領域である情報通信の知識・技術を駆使した経営コンサルと強みである独自の海外進出ノウハウを活用した経営コンサルに加え、2013年にM&Aを行った株式会社アップルツリーの活用により、重要度が高まっている環境問題にいかに配慮し、事業を展開、環境に貢献していくかの経営コンサルが可能となる。加えて、情報通信分野、海外分野、環境分野において顧客企業の社員教育がワンストップで実施できる体制が整備された。また、同様に2013年にM&Aを行った株式会社アイテックがグループに加わったことで、顧客企業の人材・教育分野でのサービスのラインナップも強化された。同社は、これら4分野において、売上拡大と業務効率改善とリスク回避のためのコンサルティングを実施し、中小・中堅企業の利益に貢献する。 次世代経営コンサルティングサービスの中核をなすのが、情報通信分野(国内)と海外分野におけるアイコンサービスの提供である。アイコンの基本サービスは、経営のよろず相談サービス、定期訪問&通信技術を使った遠隔サポート、パソコン・ネットワーク状態監視サービス、各種アプリケーションの問合せサービス、お客様専用サイトの運営などがある。 よろず経営相談は、定期的に顧客のもとへ訪問するコンサルタントが、企業経営にまつわる「困った」を解消するサポートを行う。 売上拡大や販路拡大、新規開拓、ビジネスマッチング、人材募集、資金繰り、事業承継など、幅広い分野を支援。同社だけではなくグループ全体やパートナー企業の協力も活用しながら解決方法のアドバイスを行う事業。 19/3期上期のよろず経営相談件数は6,447件(前年同期は8,256件)となった。前年同期比21.9%減少した。同社は17/3期より相談件数の増加から、相談の質の追求へ戦略を変更したことが影響しており、今後はより利益に直結する相談が増加するものと期待される。 同社が顧客に対して実施したヒアリング調査(19/3期上期)によると、90%以上の顧客がよろず経営相談に対して参考になったと答えている。今後も質の高いよろず経営相談の増加が期待される。また、これまで売上高の拡大と情報通信に関するものが相談の中心であったが、近年リスク回避やその他様々な内容の相談が増加している。今後、同社のコンサルティング能力の高さが、各種のビジネスチャンスを生むものと期待される。 OEMによるアイコンサービス導入件数の推移 また、同社では、アイコン事業の更なる拡大・強化のためアイコンのOEMによるネットワーク作りに注力している。同社の差別化された新しいビジネスモデルのノウハウの提供を通じて、パートナー数とアイコンユーザー数の拡大を目指す。19/3期上期のアイコンサービス導入件数は、30,273件と前年同期比12.2%増加した。中でも、19/3期上期のOEMによるアイコン導入件数は、11,807件となり同40.3%の大幅な増加とアイコンサービス導入件数全体の伸びの原動力となっている。同社自らのアイコン件数が伸び悩んでいるのは、より付加価値の高いコンサルティングが必要とされるサービスを優先して受注しているため。 アイコンサービスの売上高推移 「アイコンサービス」開始以降、利用する顧客数やアイコン関連の売上高は順調に拡大しているものの、今後も新サービスのリリースやOEMの積極的な展開などにより高収益事業であるアイコンサービスの売上拡大を目指す方針。19/3期上期のアイコンサービスの売上高は、前期比7.2%の増加と堅調に推移した。 アイコン売上高と営業利益は相関性が高い。アイコンサービス開始からの10年間で見ると、アイコン売上高が1増えるとそれ以外のビジネスにも相乗効果が生じ営業利益は約1.5増える傾向がある。今後もアイコン売上高の拡大を通じた、営業利益の拡大が期待される。 (2)海外分野の拡大-海外進出支援事業の拡大 同社の大久保会長は、十分な教育の機会が無いカンボジアにおいて、自らが設立し理事長を務める公益財団法人CIESF(シーセフ)を通して、教育インフラの構築から人材教育に至る広範な支援活動に取り組んできた。 ASEAN進出支援事業は、このCIESFの活動を通じて培った経験や人脈が活きている。「同社グループ及び顧客である中堅・中小企業の事業の成長を考える上で、アジア地域の成長を取り込む事が重要」と言う考えの下、既に、カンボジア(10年5月)、インドネシア(11年7月)、及びベトナム(11年8月)に現地法人を設立しており、12年3月にはミャンマーに駐在員事務所を開設した。 更に、現地での支援体制の更なる充実・強化を図るために13年2月に現地法人の認可を取得し準備を進めてきたミャンマーでは、14年4月より事業活動が本格化した。18年9月末現在で、海外7拠点(現地法人及び海外関連会社)の現地従業員数は172名となっている。ハネルソフトウェアの休止にともない18年3月末と比較し、現地従業員数が84名減少した。 同社のASEAN進出支援事業である「グローバルアイコンサービス」は、海外進出前と進出後の様々な問題や障害を、ワンストップでサポートするビジネスモデルである。現在はカンボジアとベトナム、インドネシア、ミャンマーの4ヶ国で展開。情報提供から始まり、FS支援、現地法人の設立代行、人材採用・人材教育支援、バックオフィス整備支援、ネットワーク環境支援、現地パートナー開拓支援等をトータルサポートすることで、同社が最も得意とする情報通信技術を活用した日本と変わらない快適なオフィス空間を提供するビジネスヘつなげていく。日本と現地の両国で、トータルサポートを実施。 また、同社は、国内の行政機関、地域金融機関や海外の中央政府・行政機関、各国工業団地などとのアライアンスを積極的に拡大することで、「グローバルアイコンサービス」の潜在顧客を発掘・育成している。 グローバルアイコンは、進出前の総合準備支援、事業計画の策定とカウンターパートとの交渉、総合調査支援や、生産委託先開拓、販売パートナー開拓、JICA等公的機関による海外展開支援の公募参加を目的とした事業可能性調査など6つのメニューでサポートが可能。 特徴的な海外進出支援事業の例 - ベトナムのレンタル工場 同社は現在、従来の海外進出支援コンサルから一歩踏み込んだ支援事業の一環としてベトナムのレンタル工場の運営に携わっている。これは、ベトナム南部のニョンチャックⅢ工業団地内に日系中小企業専用のレンタル工場を建設するものである。18haの敷地内に100社程度が入居できるスペースが作られ、日系中小企業の一大集積地となることが期待されている。また、開発にあたっては多額の資金を必要とすることから独立行政法人国際協力機構(JICA)の海外投融資制度を活用し、今後日系進出企業にとっていかなる支援とサービスが必要であるかの継続的なモニタリング調査が実施されることとなる。将来的に他の国や地域に進出する際の強力なノウハウを手に入れることができると期待が膨らむ。 また、埼玉県では同社と現地国営企業が共同で設立した本運営会社へ出資。今後埼玉県の中小企業の積極的なベトナムへの進出が見込まれる他、アライアンス先である国内39金融機関と4大手税理士法人等より紹介された顧客の進出も増加する予定。ベトナムレンタル工場への関心は高く、アライアンス先だけで既に100区画の予約枠が設けられている模様。 建設予定10棟の内、7工場が完成し、残り3棟となった。 近年、地元企業の海外進出支援に積極的な自治体との提携が拡大している。 海外事業の売上高推移 持分法対象として連結売上高に含まれないベースの数値ではあるが、海外拠点の拡充により、海外事業の売上高は拡大傾向にある。しかし、19/3期上期の海外事業の売上高は、2億49百万円(18/3期上期は2億41百万円)と前年同期比3.4%の増加にとどまった。今期で海外7拠点全ての黒字化の目処が立ち、今後は徐々に投資の回収が始まる見込み。 (3)新規分野の拡大 人材・教育分野では、通信教育事業をクラウドサービスを使ったE-learningモデルへ再構築するなどE-learningによるコンテンツの拡販を行う他、 ベトナムで人材紹介事業やカンボジア、ベトナム、インドネシア、ミャンマーで日系企業の社員研修の受託事業を行っている。
 
 
2019年3月期第3半期決算
前年同期比9.6%の増収、同6.2%の経常増益 売上高は前年同期比9.6%増の410億26百万円。アイコンサービスやサーバー、セキュリティ関連の販売が順調に拡大した他、(株)第一工芸社を2018年10月に子会社化した影響もありフォーバルビジネスグループで同7.9%増加した。また、光回線サービスやISP等が順調に拡大したフォーバルテレコムビジネスグループで同17.6%増加した。加えて、単価の高いスマートフォンの比率が高まったモバイルショップビジネスグループで同3.5%増加した他、住宅用太陽光システムやオール電化製品等の販売が増加した総合環境コンサルティングビジネスグループで同6.0%増加した。更に、セミナー関連が好調に推移したその他事業グループでも同9.8%増加した。 営業利益は前年同期比7.1%増の18億39百万円。セグメント利益は、売上が増加したフォーバルテレコムビジネスグループで同35.1%増加した他、売上の増加に加え、固定費の圧縮に取り組んだ効果により総合環境コンサルティングビジネスグループは61百万円(前年同期は12百万円の損失)と改善した。一方、人件費等の増加により、フォーバルビジネスグループで前年同期比0.4%減少した他、人件費や販促費等の増加の影響でモバイルショップビジネスグループは同76.6%の減益となった。また、改訂版の発行に伴う旧刊の廃棄損等の影響によりその他事業グループで同23.8%減少した。高収益事業であるアイコンサービスの拡大などにより売上総利益が前年同期比10.8%増加し、売上総利益率は、同0.4ポイント上昇の32.6%となった。一方、既存社員に対する配分の増加や社員数の増加など人件費を中心に販管費が同11.4%増加したことから、営業利益率は4.5%と同0.1ポイント低下した。また、営業外収益で計上した違約金収入が前年同期比で減少したことなどにより経常利益は同6.2%の増益と営業利益の増益率を下回った。法人税等の支払額が減少したことから親会社株主に帰属する四半期純利益は同14.4%の増益となった。 収益性の高いアイコン事業の増加や経費の削減により、第3四半期(4-12月)の売上と営業利益は、順調に拡大している。 今第3四半期(10-12月)は、前年同期比減益となったものの、過去の第3四半期(10-12月)の中でも、高水準の売上と営業利益となった。 18/12月末の総資産は前期末比42億35百万円増の292億15百万円。資産は、㈱フォーバルテレコムにおいて前払費用もしくは長期前払費用として計上している代理店へのインセンティブの支払いが増加したこと、12月末日が金融機関休業日となり回収が翌月となったことにより未収入金が増加したこと、㈱第一工芸社の子会社化等により有形固定資産が増加したこと、㈱フォーバルテレコムの保険代理店事業を行う子会社の保険店舗譲り受けによりのれんが増加したことなどが影響した。負債純資産は、これら総資産の増加に対応して短期借入金を増加したことに加え、利益の計上により利益剰余金が増加したことが影響した。自己資本比率は33.1%と前期末から2.7ポイント低下。また、有利子負債(リース債務含まず)は51億66百万円と前期末から33億89百万円増加した。
 
 
2019年3月期業績予想
前期比3.2%の増収、同4.7%の経常増益予想 第3四半期を終え、19/3期の会社計画は、売上高が前期比3.2%増の530億円、経常利益が同4.7%増の31億円の期初予想から修正なし。営業利益と経常利益は11期連続の増益を、また、親会社株主に帰属する当期純利益は8期連続の増益、5期連続の最高益更新を目指す。同社は、企業経営を支援する次世代経営コンサルタント集団として、IP統合商品の更なる普及促進、IoT・ビッグデータ活用による新サービスの創出、スマートフォンに代表される情報通信の利活用促進、太陽光発電やLEDなどの総合環境コンサルティング・IT技術者向けを中心とした教育サービスの提案を行い、更に東南アジア諸国への進出支援などに取り組む方針。 売上面は、アイコンサービスなどの経営コンサルティング分野が拡大するフォーバルビジネスグループの増加に加え、ISPサービスを中心とするネット系サービスが拡大するフォーバルテレコムビジネスグループの増加が牽引する見込み。一方、モバイルショップビジネスグループや総合環境コンサルティングビジネスグループの事業環境の好転は見込んでいない。 利益面は、主としてフォーバルビジネスグループやフォーバルテレコムビジネスグループなどの増収効果と収益性改善を見込んでいる。営業利益は30億と同5.1%の増益。売上高営業利益率は5.7%で、前期比0.1ポイント上昇の計画。 配当も、前期比1円増額の1株当たり年間22円と実質7期連続の増配の予定を据え置き。 なお、連結子会社の㈱リンクアップは2018年10月18日付開催の臨時株主総会において自己株式の取得に関する議案を付議することを予定していたものの同日中止となった。この自己株式の取得が実施された場合には連結業績に影響する可能性がある。 同社の四半期業績は例年第4四半期に最も多い傾向がある。第3四半期を終え、概ね会社計画通りに推移している模様。 最近のトピックス ・株式会社第一工芸社の株式を取得 同社は、オフィス空間のプロフェッショナル集団である株式会社第一工芸社の全株式を10月1日に取得し完全子会社化した。第一工芸社は、オフィス空間のプロフェッショナル集団として、オフィス移転からレイアウトのデザインやリフォーム、オフィス家具の販売や OA 機器の販売・保守サービスなどオフィス空間の様々な課題解決をサポートしている企業。今回の買収により、約2,000社の顧客基盤を獲得することになり、仕入れにおけるスケールメリットの他、同社のコアビジネスである各種経営コンサルティングの潜在顧客を得られるなどのメリットが期待される。 ・コグニティ株式会社 と業務提携 同社は、AIによるトーク解析サービスを展開するコグニティとAI技術を活用した新たなソリューションの共同開発で合意した。コグニティは社内にあるコミュニケーションノウハウを見える化し、トークをAIで自動採点することで研修・指導を自動化するサービスを提供している。同社は今後主力の経営コンサルティング「アイコンサービス」の新メニューとして、営業成績上位者と下位者の商談の音声を専用アプリからアップロードするだけで、業績に差異を生じさせているトーク傾向を可視化し、その結果と同社が保有する営業力の高いトークパターンとの比較検証を行い改善点のレポートを提出するサービス「アイコン・サイター」をリリースする予定。更に、その後、一人ひとりの営業トークを自動採点する「アイコン・サイター・ブースト」のリリースを予定している。このサービスは、毎月1回一人ひとりのトークについてAIが診断し、自動で改善点を指摘することによって、従来の指導コストを削減しながら業績アップを実現するものである。 ・株式会社 エレバム のランプ及びLEDの製造販売事業を譲受 同社の子会社で、グループの環境分野を担う(株)アップルツリーは、ランプ及びLEDの製造販売事業を営んでいるエレバムからランプ及びLEDの製造販売事業を2019年2月1日付で譲受した。アップルツリーは次世代経営コンサルティングの環境分野を担う中核企業で、太陽光発電シスステムや、オール電化・蓄電池・HEMS等のスマートグリッド設備機器、LED照明などを取り扱っている。今回のLEDの製販一体化により、ユーザーの意見を迅速に反映させることによる品質向上や新製品の創造、並びに部品仕入の最適化や販売量の増大に伴う工場稼働率アップなどの収益性改善が期待でき、環境事業の更なる強化につながる見込みである。
 
 
今後の注目点
同社の19/3期第3四半期決算は、前年同期比9.6%増収と好調に推移したものの、主力アイコンサービスが牽引するフォーバルビジネスグループにおいて、前年同期比のセグメント利益が引き続き減益となった点が残念であった。今後の事業拡大のための積極的なコンサルタントの採用という先行投資負担の増加がその背景であり致し方ないものの、今上期に積極的に採用したコンサルタントがいつ頃からアイコンサービスの売上拡大に貢献するのか見守る必要がある。続く第4四半期の業績は、来期の成長を占う上で非常に重要な役割を担う。早期にコンサルタントの生産性を向上させ、市場の期待を上回る事業拡大を達成することができるのか、次四半期のフォーバルビジネスグループの業績動向が注目される。とりわけ同社の業績拡大には、主力ビジネスである営業利益との連動性が高いアイコン売上の拡大が不可欠である。アイコン売上の先行指標となるであろう今下期のよろず経営相談件数とアイコンサービス導入件数にも注目したい。 また、今期はフォーバルテレコムビジネスグループの業績拡大が連結での同社の業績に大きく寄与している。光回線サービス・ISPの契約獲得のための代理店への積極的なインセンティブの支払いや保険関連の子会社の事業譲受などが好調な背景となっている。しかし、フォーバルテレコムの積極的な事業拡大により有利子負債が大幅に増加し、財務体質が若干低下している印象が否めない。財務体質とのバランスを保ちながら、いかに業績を拡大していくのか、今後の財務戦略が注目される。
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 コーポレート・ガバナンス・コード適用以降のコーポレート・ガバナンス報告書提出日、2018年12月20日。 <基本的な考え方> 当社は、変化の激しい経営環境の中にあって利益ある成長を達成するため、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化が重要であると認識しており、  1.経営の透明性と健全性の確保、  2.スピードある意思決定と事業遂行の実現、  3.アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、  4.迅速かつ適切で公平な情報開示、 を基本方針として、その実現に努めています。 今後も、社会環境・法制度等の変化に応じて、当社にふさわしい仕組みを随時検討し、コーポレート・ガバナンスの更なる強化に向け、必要な見直しを行なっていく方針。