『「これまでのマンション作りの常識を打ち破る」という発想にこだわり、お客様に満足いただける価値創造経営を徹底させ、更なる発展をめざします。』との経営理念の下、東京都の港区・渋谷区を中心に高品質の新築マンションを分譲。富裕層向けに実績のある商品企画・サービス提供力、ブランド力などが大きな強み・特長。同社の独自サービスであるマンションの注文住宅ともいうべき「オーダーメイドプラス」は顧客満足度向上に繋がっている。2021年3月期売上高150億円、営業利益10億円の達成を目指している。
【1-1 沿革】
1997年2月、「日本には無い、富裕層が満足する高品質なレジデンスを提供したい」という想いの下、東京都港区赤坂に設立される。
同年3月には、森ビル株式会社ならびに森稔氏(当時:森ビル代表取締役社長)に対して第三者割当増資を実施し、森ビルのグループ会社(持分比率20%)となる。
1999年9月、自社分譲マンション第一号となる「サンウッド赤坂フラッツ」を竣工し、同年11月には森ビル株式会社との共同事業「フォレストテラス松濤」を竣工した。
2002年6月に現:東京証券取引所JASDAQ市場に株式上場。
2009年3月期には売上高230億円、営業利益27億円と過去最高の収益を記録するが、その後のリーマン・ショックの影響を受け、業績は低迷、
2011年10月に創業者が社長を退任し、創業メンバーの一人である佐々木 義実氏が社長に就任した。
2012年7月には森ビルグループが株式を売却し、グループから外れる一方、同年11月には「サンウッド吉祥寺フラッツ」を竣工し、東京郊外コンセプト物件へのマンション展開をスタートさせた。
2013年11月には株式会社タカラレーベン(東証1部、8897)と業務資本提携し、タカラレーベンのグループ会社(持分比率20.7%)となる。
「2021年3月期 売上高150億円、営業利益10億円」達成を目指している。
【1-2 経営理念など】
創業時の、『「これまでのマンション作りの常識を打ち破る」という発想にこだわり、お客様に満足いただける価値創造経営を徹底させ、更なる発展をめざします。」との経営理念の下、以下のような経営ビジョンを掲げている。
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創業20年を機にブランドメッセージ、ブランドロゴを刷新した。また、ブランド推進室を創設し、ブランド力の更なる強化に注力している。
(ブランドロゴ)
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(ブランドメッセージ)
上質な暮らしを仕立てる
住まいは、最も自分らしく過ごせる場所であって欲しい。
だからこそ私たちは、プライバシーを大切に考え、
一邸一邸、暮らしやすさにこだわって丁寧に設計。
そして、住まう人ときちんと向き合い、想いをくみ取ることで、
他にはないその人らしい住まいに仕立てていきます。
たった一度の人生にふさわしい、そしてあなたらしい一邸を。
(コーポレートロゴ)
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社名及びコーポレートロゴについては、『「Sunwood」は、「SUN」(太陽)と「WOOD」(木)を組みあわせたものです。樹木は太陽の光を得ながら、生物に不可欠な酸素を生産・供給しています。私たちも、都市で生活する人々に不可欠となるような住まいを供給したい、さらには、住む方の声を聞きながらひとつ一つの住まいの快適性を考え、独立性の高い安心できる住まい「集戸」住宅をお届けする。その想いをこの社名とロゴに込めています。』とのことである。
【1-3 事業内容】
(1)事業セグメント
報告セグメントは、「不動産開発事業」、「リノベーション事業」、「賃貸事業」の3つ。この他、仲介・リフォーム等の「その他」がある。
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①不動産開発事業
◎マンション分譲事業
主として東京都心部(港区・渋谷区など)を中心とするエリアにおいて、高品質の新築分譲マンション(いわゆる「億ション」)の企画開発及び販売を行っており、同社では「都心部ハイエンド物件」とカテゴライズしている。
競合先は大手財閥系不動産会社。
同社では「上質な住まいの提供」を掲げており、松濤、代官山猿楽町、代々木公園、赤坂など良質な立地で多数の供給実績を持つ。
都心の成熟した住宅地およびその立地特性や市況を熟知していることに加え、都心に強い不動産仕入先のネットワークを確立している。
購入者は企業経営者や芸能人など富裕層の2次取得者が中心。現在までに販売した3,000名を超す購入者は富裕層が中心で、この購入者との信頼関係は同社の重要な見えない資産(サンウッドオーナーズ倶楽部として組織化している)であり、買い替えサイクルも生まれつつあるという。
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加えて、今後の収益拡大のためには事業エリア及び商品ラインアップの拡大が不可欠であることから、「都心部コンパクト物件」、「郊外型コンセプト物件」の展開にも注力している。
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(都心部コンパクト物件)
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(郊外型コンセプト物件)
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◎不動産ソリューション事業
賃貸中のオフィスや賃貸住宅等を購入し(有形固定資産に計上)、当面は賃貸収入を得ながら保有し、将来的には自社マンション開発用地(種地)としたり、バリューアップを施した後に売却したりする。
他社に先んじて優良な土地を取得できるほか、自らマンション用地を作り出すこととなり、用地取得力の向上に繋がることから、案件取得に積極的に取り組んでいる。
また、保有物件の増加に伴い安定収益である賃料収入も増加し人件費など固定費をカバーすることができるほか、マンション分譲事業は仕入タイミングで業績に偏りが生じやすいが、不動産ソリューション事業において売却可能な資産を保有することで、業績のブレを小さくすることができる。
②リノベーション事業
中古マンションを戸別に取得し、内装・間取り等を改修後、販売を行っている。
エリアは東京、神奈川が中心。事業開始から5年が経過し、利益が出る事業に育ちつつある。
③賃貸事業
不動産ソリューション事業にて購入した物件(不動産開発前の収益物件等)等を保有することで、賃貸収入を得ている。
(2)販売体制など
ハイエンド物件を中心に自社の約15名の営業スタッフによる自社販売。富裕層向けの販売力に定評がある。
【1-4 特長と強み】
「上質な住まいの提供」のために立地以外に、以下のような付加価値を提供し顧客から高く評価されている。
◎富裕層向けに実績のある商品企画・サービス提供力
創業時から蓄積してきた都心高価格帯向けマンションでの豊富な商品企画や販売ノウハウをベースに、高品質なサービスを提供している。
中でも、顧客の理想の住まいを叶える「オーダーメイドプラス®」は、同社ならではの独自サービスである。
一般的に新築マンションにおいては、大掛かりな設計変更の要望には対応できない。
しかしサンウッドでは以下の理由により「オーダーメイドプラス®」での設計変更への対応を可能にしている。
・当初設計段階から柔軟なオーダーメイドを意識した構造・筐体とする独自設計をしている。
・社内に7名の一級建築士が在籍しており、お客様の要望に合わせて、大掛かりな設計変更に対応する体制を敷いている。
暮らしを住まいに合わせるのではなく、住まいを暮らしに合わせるという発想から始まった「オーダーメイドプラス®」では、顧客一人ひとりの要望をヒアリングし、営業担当やコーディネーターが一丸となって理想の住まいを実現する。
多彩な事例、豊富な経験を活かし、想いをカタチにするだけでなく、将来の住まい方にも配慮したプランを提案している。
好みの素材やカラーで室内を仕上げるほか、大規模な間取り変更から、キッチンの水栓まで、設備の位置・種類・数の変更などにも柔軟に対応しており、家具に合わせて、コンセントや照明の位置を調整することも可能である。
例えば、「大好きな料理をしながら家族や友人と過ごしたい」という想いには、下記のようなクローズドキッチンからカウンターキッチンへの変更プランを提案する。キッチンの向きも変えることで、ダイニングテーブルへの移動がスムーズになる上に、料理をしながらでもリビング全体を見渡せるようになる。
また、食器や調理機器、食材などをスッキリ片づけたいという要望を受け、パントリーを新設し、壁一面には圧迫感のないカップボードを採用。いちばん過ごす場所を心地よく会話を楽しめる空間に仕立てた。
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他にも、下記のようにバスルームを窓際に移す場合などは、他社のマンションでは通常は対応できない。同社の場合は、事前にオーダーメイド可能な設計を行うことで大幅な変更を可能にしている。さらに同社では社内に7名の一級建築士が在籍しており、他社では難しい設計変更にも対応することができる。
◎プライバシー性を徹底的に追求した住まいを提供
住戸の独立性を高めるため、視線や音に配慮した様々な工夫を施している。プライバシーが守られた個の空間を創りだすことで、心からやすらげる暮らしを提供している。
例えば、一般的なマンションでは、共有廊下に居室の窓が接しているため室内のプライバシーを保つのは難しい。
これに対して同社のマンションは共有廊下には玄関のみを設け、プライバシーを確保することができるよう工夫されている。
これは、サンウッド独自の設計思想であり、高いプライバシー性が保たれるため富裕層や芸能人等のようなプライバシーを重視する多くの顧客に強く支持されている。
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◎ブランド力
創業以来徹底して「日本には無い、富裕層が満足する高品質なレジデンスを提供したい」という想いで事業を展開し、都心高価格帯マンションとしての高い知名度を有している同社だが、ブランド推進室を新設し、ブランド力の更なる強化に取り組んでいる。
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前期は一般的に日本企業が目指すべきとされている8%を上回った。売上高当期純利益率も上昇しているが、主として仕入れ拡大のための有利子負債拡大によるレバレッジ上昇による部分も大きく、更なる収益性の向上が期待される。
【1-6 株主還元】
中長期的な収益動向を勘案したうえで財務体質の強化を図り、内部留保の充実に努めるとともに安定的な利益還元を継続することを基本方針としている。現時点では目標配当性向を明示していないが、概ね25円の安定配当となっている。