ブリッジレポート
(3645) 株式会社メディカルネット

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ブリッジレポート:(3645)メディカルネット vol.3

(3645:東証マザーズ) メディカルネット 企業HP
平川 大 会長CEO
平川 大 会長CEO

【ブリッジレポート vol.3】2018年5月期第2四半期業績レポート
取材概要「第2四半期累計売上高の対通期進捗率は48.9%となった。過去数年の実績と比較しても平均的な数値であり、18年5月期はまずは順調なスタートと・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年3月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社メディカルネット
会長CEO
平川 大
所在地
東京都渋谷区幡ヶ谷1-34-14 宝ビル
決算期
5月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年5月 1,480 123 124 82
2016年5月 1,482 176 176 186
2015年5月 1,258 101 102 46
2014年5月 1,268 133 134 66
株式情報(2/16現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
593円 5,386,500株 3,194百万円 5.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2.00円 0.3% 15.88円 37.3倍 277.58円 2.1倍
※株価 2/16終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
 
株式会社メディカルネットの2018年5月期第2四半期決算概要、今後の取り組みなどをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「インターネットを活用し健康と生活の質を向上させることにより笑顔を増やします。」を企業理念とし、歯科医院の経営をトータルで支援する「歯科医療プラットフォームビジネス」、歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルから、子育てママのサポートまで生活者にとって有益な情報を提供する「生活者向けサービス」、歯科関連企業のマーケティング支援などを行う「事業者向けサービス」を展開している。
生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有する唯一の企業。17年11月末で33,343名に上るメディカルネットグループ会員数が大きな資産。
 
【1-1 沿革】
 
歯科医にターゲットを絞り、インターネット広告を中心としたビジネスを展開しようとした企業は多数あったが、個人事業主が多数を占める歯科医に対し継続的な営業を展開することが出来ず、ほとんどの企業が撤退していった。
これに対し同社は、歯科医の中でも自由診療に対象を絞り込んだうえ、ビジネスの成功のみでなく、創業時のビジョンを重視し、歯科医に対しては「新しい治療の理解と普及」や「地域医療の改善や治療に専念できる環境の提供」を、患者に対しては「より良い治療方法の情報提供」を目指し地道な努力を継続した結果、多くの歯科医師から圧倒的な共感を勝ち取り、生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶビジネスモデルを有するオンリーワン企業となった。
 
【1-2 企業理念など】
「インターネットを活用し健康と生活の質を向上させることにより笑顔を増やします。」を企業理念とし、以下のMISSION、VISION、VALUEからなるミッションステートメントを掲げている。
 
 
同社では、全社員に理念、VISIONを浸透させることを重視して、様々な取り組みを行っている。
2016年12月の社名変更も理念経営をこれまで以上に徹底して行っていくという経営からの社内外へのメッセージである。
中堅層育成のための2か月に1回の集合研修の場や中途採用時には平川会長・平川社長自らが同社の価値観を繰り返し繰り返し語りかけている。
また、各事業ユニットおよび社員各人のVISION実現に向けた取り組みや実績を定量的・定性的に評価する仕組みもスタートさせた。
この評価制度を通じてビジョンや理念の更なる浸透を図り、より強固な組織づくりを目指している。
 
【1-3 市場環境】
厚生労働省の調査によれば、2015年度の歯科診療医療費は約2.8兆円で、前年比1.4%増と微増にとどまった。日本の健康保険財政状況からは今後も大きな伸びは予想できない。
一方、歯科診療所は2017年5月末で68,917か所であった。増加ペースは低下したものの、高水準・横這いが続いている。

インプラントやホワイトニングなどの自費診療の普及や口腔衛生意識の高まりはあるものの、医療費抑制政策が続く中、歯科医院は過当競争状態にあると言われており、取り巻く経営環境は引き続き厳しい。
集客増を中心とした有効な施策に対する歯科医院のニーズは極めて大きいと思われる。
 
 
【1-4 事業内容】
<サービス概要>
『インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします』という企業理念の下、生活者、歯科医院、歯科関連企業に対しそれぞれ以下のようなサービスを提供している。
 
(生活者向け)
歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報を各種ポータルサイトを通じて提供している。
また、対象は歯科のみでなく医療、美容、ライフスタイルから、子育てママのサポートと幅広い。
 
(歯科医院向け)
競争の激しい歯科医院業界に対し、様々な角度から経営支援サービスを提供している。
創客集客に結び付くホームページ制作やWebマーケティング、歯科従事者のための求職サイト運営による人材・キャリアサポート、日々の歯科治療で必要となる消耗品や歯科材料および高度管理医療機器導入のトータルサポートに加え、歯科医院の新規開業に伴う、物件、設備・インフラ、ホームページ、集客などのトータルサポートも提供している。
 
(歯科関連企業向け)
歯科医院向けビジネスを拡大させたい歯科関連企業のサポートを行っている。
ここで重要な役割を担っているのが、同社が運営する、歯科医療従事者登録数が2017年5月末時点で約25,092名と日本最大級である歯科医療総合情報サイト「Dentwave」である。

「Dentwave」におけるバナー広告やメールマガジンといった広告掲載に加え、登録者を対象としたネット調査「デントリサーチ」も、マーケティングのための有効なツールとして高い評価を受けている。スピーディに精度の高い調査が可能であることに加え、職種、専門、年代、エリアなど細かいスクリーニングにも柔軟に対応しており、多くの歯科関連企業が導入している。
ほかにも、学会や企業のWebサイトやランディングページおよびカタログなどの制作、歯科コンベンションや歯科イベントの企画・集客・運営支援も行っている。
 
<報告セグメント>
開示上の報告セグメントは、「メディア・プラットフォーム事業」、「医療機関経営支援事業」、「医療BtoB事業」の3つ。
ビジョンをより明確に事業に反映し、さらなる成長・新たな企業価値の創造・社会の利便性向上に寄与すべく会社組織を再編したことに伴い18年5月期第1四半期より報告セグメントを以下のように変更した。
 
 
(1) メディア・プラットフォーム事業
「からだ」・「健康」・「美」に特化した情報を提供するサイトの開発・運営を行っている。
様々な切り口で、歯科分野、美容・エステ分野、子育て分野合わせて、126のメディアを運営している。
 
 
主なポータルサイトは歯科医院検索、歯科医院紹介、歯科医師の紹介に加え、患者に対する情報提供として、治療説明、よくある質問と回答のQ&Aといったコンテンツも掲載している。
 
 
(子育て分野)
妊娠時から6歳児までの子供を持つママ」をターゲットとしたママ向け子育て情報サイト「まんまみーあ」を運営しているほか、プレママから3歳児の赤ちゃんを育てるママ向けコミュニティアプリ「Moopen(モープン)」を前期にリリースした。
 
*ビジネスモデル
各ポータルサイトは、歯科医院やエステサロン等を顧客として、広告料収入を得て運営している。
インターネットユーザーは、各ポータルサイトにおいて、無料で歯科医院、エステサロン等の情報を検索・閲覧することができる。
広告料収入の具体的内容は、主に①クライアント紹介ページの初期制作料及び月額掲載料、②クライアントのホームページへのリンクを貼ったバナー広告の月額掲載料となっている。
契約形態は原則12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスとなっている。
 
(2)医療機関経営支援事業
①SEM事業
検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEO(検索エンジン最適化)サービスや、ヤフー株式会社及びGoogle Inc.が運営するポータルサイトにおけるリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを提供している。
 
① SEO
検索エンジンを活用してホームページへの集客やホームページから情報配信を行うクライアントに対して、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)を分析し、ホームページの状態を最適化することにより、ホームページの検索エンジンからのキーワードに対する評価を高め、検索エンジンの検索結果において検索順位を上位表示させることを目的としたSEOサービスを提供している。

定額料金により複数のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果を上位表示させる月次定額型サービスと、特定のキーワードでYahoo! JAPAN又はGoogleの検索結果の順位に応じた料金が発生する成功報酬型サービスがある。
 
② リスティング広告(検索連動広告)
ヤフー株式会社及びGoogle Inc.が運営するポータルサイトにおいてリスティング広告(検索連動広告)の運用代行サービスを行っている。
「リスティング広告」とは、検索エンジンの検索結果ページに設定された広告枠に表示される広告のことで、インターネットユーザーが広告をクリックした場合にのみ広告主に広告料が発生する。

クライアントにとって費用対効果の高い広告運用を実現するため、キーワードや広告原稿の提案から、運用面における入札価格の調整や予算管理までの総合的なサービスを提供している。
 
②事業者向けホームページ制作・メンテナンス事業
主に「からだ」・「健康」・「美」に関連する事業者(歯科医院、エステサロン等)をクライアントとしてホームページ制作・メンテナンス事業を行っている。
インターネットユーザーが、その歯科医院やエステサロン等に対して安心感を持ってもらえるように「清潔感・高級感」を重視したウェブデザインを手掛けるほか、歯科分野及び美容・エステ分野に特化している同社ならではの医療・美容知識を活かして、患者や医療・美容に対するクライアントの考え方など、インターネットユーザーに情報を分かりやすく伝えることができるホームページを制作している。
 
③販売代理事業
クライアントを中心に、新聞折込広告をはじめとする広告出稿、他社商材等の販売代理業務を行っている。
 
(3)医療BtoB事業
歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐBtoB型の歯科医療総合情報サイト「Dentwave」の運営を行っている。
同サイトの歯科医療従事者登録は2017年5月末時点で約25,092名と日本最大級。
この会員を基盤として、歯科関連企業等に対する広告ソリューション、リサーチ、コンベンション運営受託等のサービスを提供している。
また、MR(製薬会社の医薬情報担当者)向けの高級弁当販売のプラットフォームを弁当製造販売業者へ提供している。
 
【1-5 特長と強み】
(1)生活者・歯科医院・歯科関連企業を結ぶプラットフォームを構築している唯一の企業
 
同社は、歯科医療を中心に生活者・歯科医院・歯科関連企業を結んだプラットフォームを構築しているが、こうしたプラットフォームを構築している企業は他には無く、同社の大きな特徴となっている。
この強固でユニークなプラットフォームを活かし、生活者・歯科医院・歯科関連企業、それぞれに向けて様々なサービスを提供しており、これが強力な競合優位性となっている。
創業から約20年をかけて構築してきたポジショニングは強固であり、新規参入は極めて難しいと同社では考えている。
 
◎対生活者:自社メディアで信頼性の高い公平・中立な情報を提供
歯科医師など専門家と直接やりとりしながら、多くのメディアを構築・運営してきた同社は、歯科医療における豊富な専門知識を有している。
そのため、生活者に対し信頼性が高くかつ分かりやすい情報を提供することが可能であり、そのクオリティの高さは、医師が患者に説明する際に、同社が運営するWebサイトのコンテンツを利用することもあるほどである。
より専門性の高いテーマについては、長年築き上げた信頼関係に基づき、歯科医師に執筆を依頼している。
様々な見解があるテーマについては、複数の歯科医師に意見を述べてもらったり、治療方法のデメリットなどについても言及してもらったりしており、生活者に公平・中立な情報を提供している。
同社の売上高の多くは歯科医向けサービスによるものではあるが、ビジョンや理念の下、常に「生活者・利用者の視点」を重視したアドバイスを歯科医に提供しており、これが同社に対する一層の信頼性向上に結び付いている。
 
◎対歯科医:ワンストップWebサービス×多彩なリアルサービス×コンサルティング
さまざまな自社メディア、および事業者向けWebサイトを構築してきた同社は、Webサイト構築からSEM施策の立案・実施までをワンストップで提供することが可能であり、これに加え、人材紹介、保険、専門機材、オフィスサプライなど、リアルな領域においても全方位的なサービスを提案している。
さらに、歯科医師の専門領域や課題を理解した上で、経営実態を把握・分析し、インターネットを活用した効果的な創客・集客や、リアルビジネスを組み合わせた人員・設備・事業計画の提案など、歯科医院に対する経営支援コンサルティングを幅広く提供することができる。
 
◎対歯科関連企業:優良歯科医院へのアプローチやマーケットリサーチが可能
前述のように、同社は、会員数トップクラスの歯科医師向けサイト「Dentwave」を運営している。
会員の多くは、経営状態が良好でかつ事業拡大にも前向きであり、医療機器メーカー・卸などメーカー・サプライヤーは、こうした優良顧客に対して広告展開や、製品・サービスの提案をすることが可能である。
 
(2)ストックビジネスによる安定した収益構造
同社売上の過半を占めるポータルサイト運営事業における広告出稿は、原則として12カ月の継続契約(自動更新)であるため、収益モデルは積上げ式のストックビジネスであり、同社の収益基盤に安定性をもたらしている。
同社では新規顧客開拓を進めて事業基盤の更なる強化を図る考えだ。
 
(3)圧倒的な会員数
歯科従事者会員からなるメディカルネットグループ会員数は17年11月末で33,343名と、上場時の4.2倍にまで拡大している。
この会員は、対歯科医院向けビジネスの顧客であると同時に、対歯科関連企業向けビジネスにおいても重要な資産として同社の事業基盤を支えている。
日本全国には約10万人の歯科医師がいると同社では想定しており、今後は8割、8万人の会員化を目指している。
 
 
 
ROEは16/5期を除けば、日本企業が一般的に目指すべきと言われている8%を下回っている。
売上高当期純利益率の改善が期待される。
 
 
2018年5月期第2四半期決算概要
 
 
増収減益
売上高は前年同期比17.4%増の8億69百万円。第2四半期累計、四半期(9-11月)とも過去最高を更新した。
各事業とも2桁の伸長。メディア・プラットフォーム事業の伸長で利益率が向上。粗利率は0.6ポイント上昇した。
営業利益は同4.8%減の1億22百万円。人員確保、広告宣伝など引き続き積極的な投資を行った。
業務の効率化や適切な人員配置などのコストダウン効果により利益は計画を大きく上回った。
17年11月末のメディカルネットグループ会員数は33,343名となった。
 
 
◎メディア・プラットフォーム事業
2桁の増収増益。
歯科は既存サービスのブラッシュアップを行った効果などで受注が好調に推移。売上、利益とも前年同期および計画を上回った。
美容も前年同期を売上、利益ともに上回ったが、計画には未達。ただ受注は積み上がっており、通期での計画達成の確度は上がっている。
子育て分野はメディアアプリとコミュニティプラットフォームにより独自の付加価値作りに取り組み早期の収益化を目指している。

◎医療機関経営支援事業
増収減益。
HP制作は差別化のための機能拡張(AI機能搭載)を行い販売力強化を図り、計画を超過。
SEMも計画を上回った。

◎医療BtoB事業
増収増益。
コンベンション事業は計画を上回ったが、ソリューション事業、VIP弁当事業は計画を下回った。
 
 
売掛金の増加で流動資産は前期末比25百万円増加。有形固定資産、のれんの増加で固定資産は同41百万円増加。資産合計は同67百万円増加の18億38百万円となった。
負債合計は同9百万円増加の2億65百万円。
利益剰余金の増加で純資産は同58百万円増加の15億73百万円。
自己資本比率は前期末より0.1%上昇し84.5%となった。
 
 
営業CFはプラスに転じ、フリーCFのマイナス幅も縮小した。
キャッシュポジションは上昇。
 
(4)トピックス
◎デンタルトリビューン日本版を新創刊
業務提携したデンタルトリビューンインターナショナルの日本の総代理店として、デンタルトリビューン日本版(フリーペーパー)およびウェブサイトを2017年10月に新創刊した。
厳選された世界の最先端情報を、日本の歯科の今を伝える国内情報とともに提供する。
フリーペーパーは発行部数2万部。
 
◎歯科医院のWebサイトにAI機能を搭載
歯科医院を対象に人工知能(AI)機能を搭載したWeb接遇支援システムの提供を2018年1月より開始した。
歯科医院のWeb接遇支援システムにAI機能を提供するのは歯科業界初の取り組み。

(開発の背景・経緯)
同社は生活者に対し歯科治療に関する理解と普及を図るため、2000年9月の「インプラントネット」開設を機に現在まで4つの主要歯科医療系ポータルサイトを運営し、約5,000 の歯科医院情報を掲載している。
各サイトでは最適な歯科医院についての情報や歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報を提供しており、生活者からの延べ約20,000件以上のさまざまな問い合わせに対応する中で歯科治療に関する知見を蓄積してきた。また、歯科医院のWebサイト開設や制作、運営などにも深く関わることでWeb活用による経営課題解決にも多数かかわってきた。

こうして蓄積してきたノウハウや知見をより有効に活用するため、AOSモバイル株式会社(本社:東京都港区)と提携し、AOS モバイルのチャットボット(AIを活用した自動会話プログラム)技術を応用したWeb接遇支援システムを共同で開発した。
 
(システムの概要)
歯科医院のWebサイトトップページに同システムを設置することで、サイトを訪れた患者に24時間、リアルタイムで自動応答する。
学習型チャットボットで患者からの問合せを学習し、揺らぎの表現など含め精度を高めていく機能を有する。
返答できなかった質問に対しては、医師監修の回答追加と学習機能を基に医院独自のカスタマイズにも対応。
 
患者にとっては診療時間外でもサイトに回答が掲載されていないような細かい質問ができることにくわえ、医院にとっては診療時間中の患者からのこのような質問に対する電話応対を自動化することで業務量を軽減することができるため、双方に対し多くのメリットを提供できると同社では考えている。
 
 
2018年5月期業績見通し
 
 
業績予想に変更無し。増収も成長のための積極投資で利益は前期並み
業績予想に変更は無い。売上高は前期比20.0%増の17億79百万円の予想。前期でV字回復の地固め、基盤構築は出来上がり、全セグメントで増収を見込んでいる。
メディア・プラットフォーム事業は、歯科分野は引き続き好調で、美容分野も回復を見込んでいる。
医療機関経営支援事業は、体制を強化し新事業及び新商材の取扱に注力する。SEO対策サービス、リスティング広告運用代行ともに増収予想。
医療BtoB事業は営業力強化及び大口顧客獲得による増収を計画している。

営業利益は同0.8%増の1億25百万円の予想。
今期も成長のための投資を積極的に行う。既存サイトの拡充や新サイト開発などサービスの多様化を図り、業務拡大により労務費が増加するほか、営業力強化のための人件費および新サービス投入に係るマーケティングのための広告宣伝費も増加する。

人的投資は前期比31%増の計画。既存事業で14名の採用、経営支援、新規事業で8名の採用を予定しているほか、前期に続き今期も次の成長ステージを見据え新卒採用を実施し、4名の採用を決定している。

事業投資においては、新規事業として、歯科における医療機関経営支援事業をスタートさせた。医療機器などにとどまらず、事務局員の派遣など、開業にあたっての全てのリソースを提供する。開始したばかりではあるが十分な手応えだということだ。

医療BtoB事業の更なる拡大にも注力する。競合の少ない同市場で圧倒的なポジショニングの構築を目指す。
前述のように、デンタルトリビューンインターナショナル社(DTI)と業務提携に基づいて設立したデンタルトリビューンジャパンが日本版を創刊したほか、前回レポートでも紹介したようにタイで歯科事業をスタートさせた。東南アジアの歯科は日本から約20~30年は遅れており、日本の優れた技術を導入することで多くの患者に喜んでもらえると考えている。

配当は前期と同じく2.00円/株を予定。予想配当性向は12.6%。
 
 
 
今後の成長戦略 ~予防医療・未病医療へ注力~
 
今後の更なる成長を目指す同社では「予防医療・未病医療」が重要なキーワードであると考えており、以下のような成長戦略を打ち出している。

同社がオンリーワン企業としてポジショニングを構築している歯科業界において大きな環境変化が起きている。
日本では歯科治療というとこれまでは虫歯治療が中心であった。
一方欧米では虫歯治療だけではなく、歯周病が動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマーなど様々な疾病の原因の一つであり、歯の健康を保つことがこれらの疾病予防につながるという考え方が中心となっている。
このような、全身の健康・長寿つながる「予防歯科・未病歯科」という考え方が今後日本でも重視されるといわれている。

同社では、「予防歯科・未病歯科」について、積極的な啓蒙活動を行い企業の公的使命としてその普及に取り組んでいくほか、ビジネスにおいても大きなチャンスであると考えている。
現在の中心的な事業分野である自由診療においては、インプラント手術など多くは患者が一生に一度施術を受けるものであるためスケールメリットを生み出しにくいという課題があったが、「予防」は定期的な受診が必要であることから市場規模はけた違いに大きいと推定される。
また、生活者に対する一般的な情報提供のみではなく、個人の属人的状況に応じて「予防・未病アラート」を発するプラットフォームの提供による個人課金や、歯科を入り口とした他医科への送客など、新たなマネタイズ方法も想定できる。

このように、「予防医療・未病医療」へのシフトは患者、歯科医、歯科関連企業の全てに大きな影響を与えることは確実で、そこに大きな成長市場が登場すると同社では見ており、独自のビジネスモデルを発展させ、M&Aも活用して需要を取り込み大きな成長を遂げようと考えている。

既存のストックビジネスに歯科医院運営やDENTAL TRIBUNEの活用などの「海外事業」と予防医療・未病医療など「新規事業」を積み上げ、2025年5月期売上高100億円を目指している。
 
 
 
株主・投資家へのメッセージ
 
平川会長に株主・投資家へのメッセージを伺った。
 
 
歯科医マーケットで圧倒的なオンリーワンのポジショニングを構築した当社だが、さらに大きく成長するために以下の2点に注力していく。

まず一つはバリューチェーンの拡充。
予防医療・未病医療をキーワードに、より大きなマーケットでの活躍を目指していく。またWEBマーケティングの分野でも、これまでに培ったノウハウを活かし歯科に限らず、医科全般や中小・中堅企業などに対象を拡大するなど、バリューチェーンのすそ野を広げて収益機会の拡大を図る。
二つ目が海外展開だ。
医療は世界に繋がっており、世界市場でもオンリーワン企業を目指す。ただ、国や地域によって環境やチャンスは異なるので、その点は十分見極めなければならない。歯科技術の遅れている東南アジアでは歯科医経営を展開する。まずタイで3~5医院を開設した後、他の東南アジア各国へも進出する。
一方、技術の進んだ欧米や韓国などでは当社が得意とする情報やITを活用した事業化を検討しており、M&Aも積極的に活用していきたい。

株主及び投資家の皆様には、当社は目先だけではなく、100年先、200年先を見据え、次の世代のためにより良い環境を創り上げることを使命とした企業であることをご理解いただき、是非とも長い目で応援していただきたい。
 
 
今後の注目点
第2四半期累計売上高の対通期進捗率は48.9%となった。過去数年の実績と比較しても平均的な数値であり、18年5月期はまずは順調なスタートとなったようだ。
短期的には、引き続き成長のための投資フェーズとなる今期のトップラインの伸長度合いを、中期的には、投資の成果がいつごろから具体的な利益として実を結び始めるのかを注目したい。
また、2025年売上高100億円達成のためのキーワードとなる「予防医療・未病医療」の事業化に向けた具体的な取り組みにも期待したい。
 
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2017年9月1日

<基本的な考え方>
当社は、株主・クライアント・消費者・従業員・地域の方々等すべてのステークホルダーに対して、経営の健全性・効率性・透明性を通じて企業としての社会的責任を果たしていくことをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。
その実現のために、現状に満足することなく経営環境の変化に応じてコーポレート・ガバナンス体制を強化し、企業価値の最大化を図っていきます。

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。」と記述している。