ブリッジレポート:(3194)キリン堂ホールディングス vol.32
(3194:東証1部) キリン堂ホールディングス |
|
||||||||
|
企業名 |
株式会社キリン堂ホールディングス |
||
会長 |
寺西 忠幸 |
||
社長 |
寺西 豊彦 |
||
所在地 |
大阪市淀川区宮原4-5-36 |
||
決算期 |
2月 |
業種 |
小売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2014年2月 | 103,055 | 1,820 | 2,282 | 942 |
2013年2月 | 101,761 | 1,924 | 2,242 | 882 |
2012年2月 | 102,229 | 1,684 | 1,960 | 184 |
2011年2月 | 100,465 | 1,118 | 1,537 | 188 |
2010年2月 | 104,964 | 1,232 | 1,527 | -443 |
2009年2月 | 106,695 | 1,781 | 2,030 | 500 |
2008年2月 | 106,098 | 2,321 | 2,530 | 804 |
2007年2月 | 72,803 | 1,312 | 1,651 | 577 |
2006年2月 | 66,690 | 1,308 | 1,574 | 753 |
2005年2月 | 58,165 | 745 | 985 | 414 |
株式情報(1/19現在データ) |
|
|
今回のポイント |
|
会社概要 |
医薬品等の卸売事業や医療・介護コンサル等も手掛けている。ドラッグストア事業では、近畿2府5県(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀、三重)を中心に、香川、徳島、石川、及び関東1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)においてドミナント戦略を進めており(特定地域内に集中出店することで経営効率を高めるとともに、地域内でのシェアを向上させ競争優位に立つ戦略)、グループ店舗数は328店舗(FC1店舗、海外2店舗を含む)。 連結子会社は、下記の通り全9社。麒麟堂美健国際貿易(上海)有限公司は15/2期中に清算予定。 連結の従業員数は1,580名。(いずれも2014年11月30日現在) 【同業他社比較】
ドラッグストアを中心業態とする上場企業は、以下の16社が挙げられる。(売上規模順)
株式市場全体の上昇からほとんどの銘柄が時価総額およびPERを増大させている。 こうした中、(株)キリン堂ホールディングスは、売上高12位、時価総額14位と変わっていない。時価総額、PERは向上したものの、依然PBRは1倍割れとなっており、収益性とROE水準の向上が課題となっている。
*東証HP「決算短信集計」より
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。 |
2015年2月期第3四半期決算概要 |
第3四半期累計は増収・増益となるも上期の落ち込みをカバーできず増収・減益
売上高は前年同期間比1.1%増収の775億56百万円。営業利益は同36.9%減少の6億7百万円。来店動機を高めるための販売促進を強化したほか、商品構成や売価設定の見直しを行った結果、第3四半期(9-11月度)は増収・増益となったが、消費税増税後の駆け込み需要の反動や夏場の天候不順による上期の落ち込みをカバーする事は出来ず、第3四半期累計では増収に転じたが上期に続き減益であった。 販売促進強化による売上増に注力したため、粗利率は前年同期間比では上昇したものの、計画には届かなかった。 第3四半期(9-11月度)の(株)キリン堂ホールディングス及び(株)キリン堂単体の粗利率の計画はそれぞれ27.4%、27.3%であったのに対し、実績は27.0%、26.6%であった。キリン堂単体の粗利率が計画に届かなかったことが未達の主因となっている。 ◎出退店状況
15/2期第3四半期末の国内グループ店舗数はFC1店舗を含む326店舗(前年同期末324、前期末327)。出店が7店舗、退店が8店舗だった。人手不足による工期の延長、建築資材の値上がりなどにより通期出店16店舗としていた出店計画を11店舗に見直した。退店数見通しは変わっていない。第4四半期の出店4店舗は既に開店済みとなっている。処方せん取扱店舗数は上期末と同じ53店舗。
◎既存店の状況
第3四半期(9-11月度)の既存店売上高は前年同期に比べ2.6%増加したが、累計では1.0%の減少にとどまった。客数は販促の効果もあり10月こそマイナスだったものの、9月度、11月度は2012年10月度以来となるプラスとなった。既存店活性化策としては、13店舗で改装を行ったほか、4月に導入した「新ポイントカード」を用いて新規会員を獲得すると共に、第3四半期(9-11月度)は販促の強化、商品構成や売価設定の見直しを行った。またヘルス&ビューティケア(HBC)商品やPB商品のライトカウンセリングによる推奨販売等を行った。 ◎PB商品売上高動向
小売事業の商品売上高全体に占めるPB商品の比率(PB比率)は目標を10%としているが、第3四半期累計は前年同期間比0.9ポイント上昇の9.2%となった。PB商品の売上総利益率は41.1%となり、相対的に粗利率の高い同商品の構成比率アップが全体の粗利率拡大に貢献している。HBC商品を中心とした商品リニューアルと新規開発、雑貨などの開発輸入に取り組んでいる。 年間100SKU導入の目標に対し、実績は上期90、第3四半期(9-11月度)38であり、計画を上回る進捗となっている。 一方、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減や天候不順により化粧品は減収で、粗利率も低下した。最も構成比の大きい雑貨等は販促強化により増収ではあったが、粗利率は低下した。 ◎調剤事業について
同社は調剤売上高100億円を目指しその基盤作りを進めている。第3四半期の調剤部門売上高は66億56百万円で前年同期間比6.7%増加した。通期では87億21百万円の計画だが上積みが期待できるということだ。 処方せん取扱店舗数は11月末で53店舗。今期中に調剤併設1店舗、調剤開局1店舗の合計2店を新規に開局し55店舗とする計画だったが、薬剤師の配置が難しいことから新規開局をゼロに修正した。 ただ、薬剤師確保に関しては、薬学部卒業生の採用内定者数は現時点で前年同期間に比べ2倍弱と順調に進んでいる。次回の薬剤師試験受験者数は約30名で、予想される合格率から推計して来期は一定程度の薬剤師確保の目途が既に付いているということだ。 一方、長短借入金の増加などで、負債合計は同30億91百万円増加の338億45百万円となった。 純資産は利益剰余金の増加により同1億52百万円増加の119億54百万円。この結果、自己資本比率は25.8%となった。 有利子負債残高を純資産残高以下とすることを目標に取り組んできたが、今期末には達成できる見通しということだ。 (3)トピックス:中国事業の展開
2014年12月、キリン堂グループの中国事業展開の重要なパートナーで、中国向けの化粧品卸売りや美容ポータルサイトを運営するBEUNETグループが、中国で化粧品及び化粧用具等の卸売りを手掛ける「美悉商貿(上海)有限公司」の全持分を取得し、事業を統合した。◎BEUNETグループが事業基盤を拡大 「美悉商貿(上海)有限公司」は、(株)東京放送ホールディングスとJ.フロント リテイリング(株)が株主である(株)スタイリングライフ・ホールディングス(所在地:東京都新宿区)の社内カンパニーで基礎化粧品、メイクアップ化粧品、医薬部外品等の開発・製造・販売事業を営む「BCLカンパニー」(所在地:東京都新宿区)の中国事業展開のための現地法人。 今回の事業統合によりBEUNETグループは「美悉商貿(上海)有限公司」の事業基盤を継承し、BCLブランドの中国総代理店となり、大幅な業容拡大が見込まれる。 BEAUNETの事業コンセプトである日本の化粧品メーカーの中国市場アクセスのプラットホーム化を更に強力に推進する。 ◎中国の巨大オンラインショッピングモールに出店
2014年3月、(株)キリン堂は、アリババグループが中国で運営するB2Cオンラインショッピングモール「天猫」の国際サイトに、日本のドラッグストアチェーンとして初めて出店した。「天猫」の国際サイトは、高品質・安全な海外の商品を外国企業から直接購入したいという中国消費者のために、アリババグループのタオバオが2013 年に設立した中国のB2Cショッピングモールサイト。 キリン堂は、化粧品や育児用品などをはじめとする日本商品を販売しており、今後は、中国市場におけるアリババグループの知名度を活用することで中国消費者へ高品質で安全な日本商品のニーズが広がることを見込んでおり、取扱ブランドや商品数についても、順次拡大していく予定。 ◎ドラッグストアを開店
2014年11月、連結子会社の中国現地法人「忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司」が、江蘇省無錫市のショッピングセンターにドラッグストアを出店した。11月末現在「忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司」は3店舗を運営している。これまで今回の出店を加え4店舗を出店し、1店舗を閉店。その他1店舗閉店の予定。同社のドラッグストアは、化粧品、ベビー関連商品、日用品、食品を中心とした品揃えの生活便利ストアで、国内同様、地域に密着した店作りを進めている。 スクラップ&ビルドを進めながら、既存店舗の黒字化と収益力のある基幹モデルの構築を目指している。 |
2015年2月期業績予想 |
業績予想に変更無し。第4四半期も増収・増益を見込むが上期の落ち込みを埋めきれず増収・減益
業績予想に変更は無い。売上高は前年同期間比1.8%増の1,049億57百万円の予想。第4四半期の既存店売上高は同1.5%増を見込む。通期では同0.5%のマイナス。利益面では、引き続きHBC商品のカウンセリング販売やPB商品販売を伸ばすことに加え、第4四半期に値引きコントロール等による粗利率改善を進めるが、上期の落ち込みを埋められず、営業利益は同12.9%の減益を見込む。配当は25.00円/株を予定。予想配当性向は47.4%。 「既存店活性化策の継続」、「販管費の計画内コントロールの継続」、「調剤事業拡大に向けた基盤作り」等に引き続き取り組む。 |
|
<参考:第1次中期経営計画> |
(2014年2月期決算説明会にて発表した(株)キリン堂のローリング方式による中期3ヵ年計画に替わるもので、固定方式により数値目標を掲げている。) Ⅰ.キリン堂グループの基本方針
基本方針に大きな変更は無い。『地域コミュニティの中核となるドラッグストアチェーン』の確立を目指し、関西地区における小商圏フォーマットでのドミナント深耕を進める。 具体的には、地域のお客様との関係性を進化させるため、「楽・美・健・快」のコンセプトに沿った顧客第一主義の魅力ある店づくりを進める。 そのため、同社が掲げる主要コンセプトである「未病」をテーマにした健康や美容に関する専門性を高めると共に、利便性の向上にも努める。 さらに、将来的には、調剤事業を中心とした地域包括医療体制の構築も大きな目標とする。 当面は、国内営業基盤の強化に軸足を置き、キリン堂の主力展開地域である「関西地区」における「量」と「質」両面でのシェア追求に邁進する。 「量」は、出店やM&A等による地域シェアのアップ、「質」は、子会社各社の専門性をフルに発揮させ、地域の生活者に「健康の総合サービス」的な役割、「楽・美・健・快」の提供ができる体制を構築する。 また、持株会社体制への移行を契機に、意思決定のスピードアップなどを図り、グループシナジーの発揮による企業価値向上を通じた持続的成長の実現を目指す。
ⅠⅠ.基本テーマ
同社はM&Aや提携によるスピード重視の事業展開により「2020年2月期 関西地区のドミナント化による連結売上高1,500億円、500店舗体制の実現」を目指している。今回の第1次中期経営計画はその通過点との位置づけで、持続的成長に向けた国内営業基盤の強化が主要命題であり、その実現のために「①収益力の改善」、「②経営効率向上と徹底したコストコントロール」、「③新規出店による売上高成長」の3つの基本テーマを設定している。
①収益力の改善
高利益率のPB商品の育成と開発の推進を進める。HBC商品の販売力および開発力を強化し、年度150SKU以上の導入を進めるとともに、雑貨等の開発輸入も推進する。 「健康寿命延伸」をテーマに掲げ、未病対策に加えアンチエイジングのための商品を開発し需要を創造・増進する。 現在約9%のPB比率を2017年2月期には15%まで引き上げる。 2014年6月には商品本部内にPB商品の開発および調達を専門的に手掛ける部署を設置した。また販売、教育を推進する部門も新設した。 ②経営効率の向上と徹底したコストコントロール
具体的には以下の3点を進める。*効率的な人員配置 現在、パートやアルバイトなどのアシスタントスタッフには品出し、陳列などを行わせているが、今後はコンサル販売にも加わってもらう等、業務範囲を拡張していく。 また正社員に関しても適正な人数による効率的な配置を進める。 *経費削減の推進 *不採算店舗のスクラップ&ビルド これらの施策により、2014年2月期25.1%の販管費率を2017年2月期には24.4%まで0.7ポイント改善させることを目標としている。 ③新規出店による売上高成長
3年間でドラッグストア 45店舗、処方せん取扱店舗(既存店への併設を含む) 11店舗の新規出店を計画している。ドラッグストアに関しては、引き続き関西地区での出店を進めると共に、新店の早期黒字化を図る。このために2014年6月「新店企画部」を設置した。新店の来店客数増のための様々な仕掛けや取組みを行っていく。 処方せん取扱店舗については、薬剤師の採用および育成が最重要テーマとなる。 2017年2月期のドラッグ売上高、調剤売上高はそれぞれ 1,041億円(2014年2月期 936億円)、100億円(同84億円)を計画している。調剤売上の総売上に占める構成比を10%まで引き上げることを目指している。
ⅠⅠⅠ.定量目標
以上のような施策を推進し、最終年度である2017年2月期の定量目標を以下の様に設定した。
また今回よりROEを新たに経営目標として掲げることとした。 |
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |