ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン vol.13
(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン |
|
||||||||
|
企業名 |
イー・ガーディアン株式会社 |
||
社長 |
高谷 康久 |
||
所在地 |
東京都港区麻布十番1-2-3 |
||
決算期 |
9月 末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2013年9月 | 2,487 | 188 | 228 | 129 |
2012年9月 | 2,232 | 83 | 110 | 51 |
2011年9月 | 1,907 | 176 | 161 | 88 |
2010年9月 | 1,340 | 204 | 212 | 119 |
2009年9月 | 858 | 123 | 123 | 116 |
2008年9月 | 461 | 0 | 0 | -5 |
2007年9月 | 362 | 15 | 15 | -6 |
2006年9月 | 606 | -9 | -17 | 0 |
2005年9月 | 684 | 6 | 3 | -133 |
2005年3月 | 1,425 | 79 | 77 | 43 |
株式情報(6/6現在データ) |
|
|
今回のポイント |
|
会社概要 |
実際のサービスは、厳格に設定された基準の下、厳選されたオペレーターによる高品質な目視による監視と投稿監視システム「E-Trident」等を駆使したシステムによる監視のハイブリッドで提供されており、社会通念上不適切と考えられるコメントや犯罪を誘引するようなコメントに目を光らせている。また、24時間365日の稼働を強みとする監視センターは、同社が運営する東京(2拠点)、大阪、宮崎の3都市4拠点と、2012年6月に子会社化したイーオペ株式会社(宮城県仙台市)が運営する宮城の2拠点。 【業務区分と戦略】
事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセスの3業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供。投稿監視システム「E-Trident」によるサービスに加え、サイト運用等の提案能力にも優れるイー・ガーディアン(株)とローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れる子会社イーオペ(株)で役割分担がなされている。
ソーシャルサポート
市場拡大に合わせたサービスの提供でニーズを取り込んでいく考え。この一環として、テキストから動画・静止画への投稿のシフトに対応するべく、画像フィルタリングシステム(後述)の開発を進めている。
ゲームサポート
多言語対応といった既存サービス領域の拡大に加え、米Apple社が運営するApp Storeや米Google社が運営するAndroid携帯向けのアプリマーケットであるGoogle Play内で展開されるスマートフォンゲームで新規顧客の取り込みを図っている。
アド・プロセス
新商材の開発で差別化を図っていく考え。この一環として、14/9期下期から保険代理店Webページ管理システム「Smart Page Tracker」の提供を開始した。
|
成長戦略 |
業務提携による多様なニーズの取り込みとシステムの提供による利用料
ビジネスの展開 この経営理念の下、多様なユーザーニーズを取り込むべく業務提携を積極化しており、現在、(株)リボルバー及びグランドデザイン&カンパニー(株)との提携案件が立ち上がっている。個々の案件は小粒なためリスクを分散できる一方、2社を通して多くのユーザーにサービスを提供する事でスケールメリットを享受できる。 ただ、その一方で、更なるコストパフォーマンスを追及するべく、センター業務にクラウドソーシング(後述)を導入する。顧客の課題に対して、費用、納期、品質の視点から最適なソリューションを提案・提供していく考えだ。 また、現在の収益を生み出しているのは、人を介しての従量課金サービスだが、このビジネスモデルは事業を拡大するに当たって巨額の先行投資を必要とし、事業拡大と共にマンパワーを増強していく必要がある。このため、今後は現在6拠点を有するセンターの稼働率と生産性を上げつつ、システムの提供による利用料ビジネスを育成・強化していく。具体的には、Web投稿監視やCSサポート業務のノウハウとオペレーションセンターの機能をシステム化して提供し対価を受け取るビジネスモデルである。 【業務提携による多様なニーズの取り込み】
(株)リボルバーとの業務提携
(株)リボルバー(代表取締役CEO小川浩、東京都港区南麻布)は企業や著名人が自分専用のSNSを持つ事ができる特化型ファンコミュニティのプラットフォーム「Revolver(リボルバー)」を運営している。イー・ガーディアン(株)は、①コミュニティ監視+カスタマーサポートをRevolver公式パックとして「Revolver」のユーザーに販売すると共に、プラットフォームとしての「Revolver」自体の審査・カスタマーサポートを受託する事で「Revolver」の運営を支援していく事になる。尚、「Revolver」は、国籍や言語を問わず、誰でも簡単にオンラインコミュニティを作成したり、既存のコミュニティに参加したりできる、ソーシャルネットワークプラットフォーム。テキストや写真、動画等のデジタルコンテンツをアップロードして友達とシェアしたり、新しい友達や興味を発見する事ができる。現在、トップアーティストの倖田來未、土屋アンナ等が「Revolver」を活用したオリジナルコミュニティでファンと交流している。また、アジアを中心に「Revolver」の海外展開も進められている。 グランドデザイン&カンパニー(株)との業務提携
デジタルマーケティング事業や「デジガチャ」の企画・開発・運営を手掛けるグランドデザイン&カンパニー(株)(代表取締役 小川和也、東京都渋谷区千駄ヶ谷)と業務提携した。この提携でイー・ガーディアン(株)は “ガチャ”をデジタル化したマーケティング・ソリューション「デジガチャ」の運営事務局やソーシャルメディア運用等の業務を代行する。グランドデザイン&カンパニー(株)の企画力とイー・ガーディアン(株)のセンター運用力を融合する事で新規の顧客を獲得していく考え。尚、「デジガチャ」とはカプセルトイ(Capsule Toys)をデジタル上で再現したもので、グランドデザイン&カンパニー(株)と(株)タカラトミーエンタメディアが共同開発したO2O(Online to Offline)マーケティングのエンジン。グランドデザイン&カンパニー(株)は「デジガチャ」を用いて、認知促進、サンプリング、来店促進、ソーシャルメディアマーケティング、店頭販促、イベント集客等についてのソリューションを提供しており、ヤマダ電機やケンタッキーフライドチキン等がサービスを利用している。 クラウドソーシング・マネジメントの開始
インターネットを使って不特定多数の人に業務を委託するクラウドソーシング。大きな成長が見込める市場で、調査会社 矢野経済研究所では、2013年に約246億円だった国内のクラウドソーシング市場が、2017年には約1,437億円に拡大するとみている。イー・ガーディアン(株)は、自社のサービスにもクラウドソーシングを取り入れる考え。セキュリティやクオリティを重視する案件は、従来通り、同社のオペレーションセンターで対応するが、コストやスピードが重視される案件はクラウドソーシングで対応し、顧客ニーズによっては、オペレーションセンターとクラウドソーシングのハイブリッドで対応していく。言い換えると、顧客の課題に対して、費用、納期、品質の視点から最適なソリューションを提案・提供していく。また、優秀な協力者(co-worker)の獲得においては、ランサーズ(株)、(株)クラウドワークス、(株)CROWDといった大手プラットフォームと連携していく。 【システムの提供による利用料ビジネスの展開】
保険代理店Webページ管理システム「Smart Page Tracker」の提供を開始した他、東京大学との「自動識別型画像フィルタリングシステム」の共同開発を進めている。
保険代理店Webページ管理システム「Smart Page Tracker」
保険業法は、第283条において所属保険会社等及び保険募集再委託者の賠償責任に言及しており、「所属保険会社等は、保険募集人が保険募集について保険契約者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定している。言い換えると、保険会社は代理店の行為に責任を持つ必要がある。こうした中、インターネットやソーシャルWebサービスの普及でマーケティングや販促の一環としての代理店のWeb活用が増えており、保険会社は代理店のホームページをチェックする必要に迫られている。「Smart Page Tracker」はこうしたニーズに応えるべく保険会社と共同開発したもので、この14/9期下期から外販が始まった(本格的な収益貢献は15/9期以降)。
保険代理店との煩雑なコミュニケーションを一元管理する「Smart Page Tracker」
東京大学原田研究室との「自動識別型画像フィルタリングシステム」共同開発
既にサービスを提供している投稿監視システム「E-Trident」は言語の監視を行うシステムだが、近年、動画や静止画のWebでの利用が一般化しており、動画や画像の投稿に対する監視の必要性が高まっている(動画・画像解析によるフィルタリングシステムのニーズが増えている)。また、動画・画像解析によるフィルタリングシステムは、将来的に、ウェアラブルデバイスのツール、グーグルグラスのコンテンツ技術、自動運転の技術等での需要が見込めると言う。東京大学原田研究室との共同開発では、同研究室の画像認識技術、アノテーション技術(後述)、及び追加学習機能と、国内NO.1の監視ノウハウを有する同社の大量かつ正確な教師データ(後述)を融合する事で低コストかつ高品質なシステムの実現を目指しており、ビッグデータ解析や児童ポルノ取り締まり等、サイト毎に最適なフィルタリングシステムを構築するに当たってのベースとなる。14/9期第4四半期(7-9月)のサービスリリースを予定している。 尚、アノテーション技術とは、データに注釈となる情報をメタデータとして追加する事。また、教師データとは、機械学習の仕組みを構築する際の初期学習のデータの事(いずれも同社資料より)。 |
2014年9月期上期決算 |
前年同期比1.7%の減収、同16.2%の経常減益
売上高は前年同期比1.7%減の12億25百万円。ゲームサポート業務の売上が同22.8%増、アド・プロセスの売上が同21.4%増、といずれも高い伸びを示したが、一部大口顧客向けの落ち込みでソーシャルサポート業務の売上が同17.1%減少した事が響いた。もっとも、ソーシャルサポート業務も、投稿監視システム「E-Trident」やソーシャルメディア運用支援ツール「ソーシャルダッシュボード+」によるサービスの高付加価値化で既存顧客の深耕と新規開拓が進んでおり、一部大口顧客向けを除いた売上は二ケタの増収。ゲームサポート業務では、既存顧客との関係強化が進んだ事に加え、コンシューマー向けゲーム大手からの新規案件獲得にも成功。アド・プロセス業務では、既存の広告審査業務だけでなく、広告枠管理から入稿管理、広告ライティング等へサービスの幅を広げている事や広告入稿管理業務を円滑に実施するためのシステム開発をセット販売している事が成果を上げている。 営業利益は同18.6%減の96百万円。監視センター業務の宮崎への移管や運営効率の改善等で売上総利益率が0.3ポイント上昇したものの、人員増強や開発投資に伴う販管費の増加が負担となった。 尚、期初予想は、売上高11億74百万円、営業利益39百万円、経常利益48百万円、四半期期純利益30百万円。大口案件の獲得で売上が上振れする中、監視体制再編のスケジュール見直しで再編費用の繰り延べとなった。 また、売上が減少する中で、先行投資や税金費用等が増加したものの、営業CFも黒字を維持している。 |
2014年9月期業績予想 |
通期予想に変更はなく、前期比0.5%の増収、同5.0%の経常減益
売上高は前期比0.5%増の25億円。一部の大口顧客向けの売上が3億円程度減少する見込みだが、これを吸収して売上高が増加する見込み。下期は、保険代理店Webページ管理システム「Smart Page Tracker」や「自動識別型画像フィルタリングシステム」の販売が始まり、システム販売のラインナップ拡充も進む。利益面では、東京センターから宮崎センターへの業務移管を順次進めていくため関連費用が継続的に発生するものの、その一方で、前期末にかけて実施した一部業務の移管効果が徐々に顕在化してくる。業容拡大に伴う販管費の増加を吸収して、営業利益は1億96百万円と同3.7%増加する見込み。 経常利益が減少するのは助成金収入を織り込まれていないため(前期は営業外費用に助成金収入23百万円を計上した)。ただ、その場合でも、特別損失の計上予定がないため(同8百万円計上)、前期並みの当期純利益を確保できるとしている。 (2)日本マルチメディアサービス(株)との資本業務提携
14年5月、10年を超える大規模コールセンター運営の実績を有する日本マルチメディアサービス(株)(代表取締役社長 秋庭孝俊、千葉県浦安市)と資本業務提携した。Web投稿監視やCSサポート業務の経験と国内6拠点で24時間365日稼働する監視センターを有するイー・ガーディアン(株)と日本マルチメディアサービス(株)のインフラとノウハウを融合して相互活用する事で、コスト低減を図ると共に、近年多様化・複雑化している、ソーシャルアプリケーションやオンラインコールセンターをはじめとする顧客対応業務で差別化を図っていく。 また、本業務提携を促進するために、日本マルチメディアサービス(株)は、イー・ガーディアンの発行済普通株式を発行済株式総数に対し3%程度を市場買付等により取得する(取得期間は2014年5月12日から6カ月間を予定)。 |
|
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |