ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン vol.2
(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン |
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企業名 |
イー・ガーディアン株式会社 |
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社長 |
高谷 康久 |
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所在地 |
東京都港区麻布十番1-2-3 |
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決算期 |
9月 末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2010年9月 | 1,340 | 204 | 212 | 119 |
2009年9月 | 858 | 123 | 123 | 116 |
2008年9月 | 461 | 0 | 0 | -5 |
2007年9月 | 362 | 15 | 15 | -6 |
2006年9月 | 606 | -9 | -17 | 0 |
2005年9月 | 684 | 6 | 3 | -133 |
2005年3月 | 1,425 | 79 | 77 | 43 |
株式情報(8/1現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
<事業内容>
事業は掲示板投稿監視事業の単一セグメントで、「投稿監視業務」(10/9期売上構成比81.2%)、「CS(カスタマーサポート)業務」(同7.9%)、「派遣業務」(同3.9%)、「オンラインゲームサポート業務」(同7.0%)の4業務に分かれる。投稿監視業務」は、本来、NG(削除対象のコメント等)の検出を目的としたものではなく、サイトの活性化を目的としたものであり、「CS業務」や「オンラインゲームサポート業務」もサイトの活性化という目的は同じ。このため、各業務のシナジーは高く、サービスの基盤となるナレッジやノウハウの共有が可能だ。また、「CS業務」は、いわゆるコールセンター業務だが、大手コールセンター事業者が電話対応のサービスを中心としているのに対して、同社は(サイトの参加者がより利用しやすい)メール対応中心。メール対応となると、大手コールセンター事業者は既存の経営資源を十分に活かせないし、コスト面でも無理がある。一方、中小の事業者は、コンプライアンスに対する意識の高い大手のサイト運営者から見た場合、信用力や組織体制等で課題が多く、現状では同社を脅かす存在とはなっていない。 <既存顧客の深耕と新規顧客の開拓の両面で大きい事業拡大余地>
大手証券系調査会社によると、09年度に1,100億円だったオンラインゲーム市場はソーシャルゲームをけん引役に14年度には1,580億円へ、ネット広告市場は携帯電話向けを中心に約6,000億円から約9,000億円(国内総広告費の12%強に相当)へ、それぞれ拡大する見通し。ただ、市場拡大と共にサイト運営者の社会的な責任がより重みを増す事は言うまでも無く、サイトの健全性維持が今以上に求められるであろう事は想像に難くない。また、インターネット上に掲載されている広告、テキスト、画像情報等を、景品表示法、特定商取引法、薬事法等の各種関連法規及び顧客の掲載基準に基づいて審査する広告審査業務や、インターネット上で公開されているブログや掲示板等の情報から製品・サービスに対する風評等を調査する風評調査業務、或いは市場が拡大しているソーシャルゲームの運営支援や問い合わせ対応等も、今後、更なる需要の増加が見込まれている。一方、同社は取引拡大余地の大きい大手企業を数多く顧客として抱えており、未だ投稿監視業務を自社で対応している企業も多い。このため、同社は既存顧客の深耕と新規顧客の開拓の両面で高い潜在成長力を有すると考える。さらに、大きな市場成長が予想されるFacebookをはじめとしたソーシャルメディア関連サービスにおいて、(株)サイバー・コミュニケーションズ((株)電通100%子会社)と協力体制を構築しており、今回新たに(株)メンバーズと顧客エンゲージメントを高めるサービス支援での連携で合意を発表した(詳細後述)。今後はこの分野での売上増も期待できる。 |
2011年9月期第3四半期決算 |
前年同期比51.2%の増収、同26.8%の経常増益
売上高は前年同期比51.2%増の1,419百万円。サイトの安全性に対する意識の高まりやソーシャルメディア(SNS、Twitter、Facebook等)の市場拡大が追い風となる中、広告審査業務など新たなサービスも軌道に乗り、主力の投稿監視業務の売上が伸長。CS業務、派遣業務、オンラインゲームサポート業務の売上も高い伸びを示した。利益面では、六本木センターの開設(東京都港区、10年10月)や災害発生時等のリスク分散にも対応した宮崎センター(宮崎県宮崎市、11年6月)の開設に加え、ソーシャルWeb向け次世代型運用システム「E-Trident」の開発等、先行投資を積極的に実施したものの増収効果で吸収。営業利益は188百万円と同38.9%増加した。
CS業務は売上高が159百万円と前年同期比122.8%増加。コンテンツプロバイダーの多くが複数のソーシャルアプリタイトルをリリースする等、事業環境に恵まれた事に加え、(株)デジタルハーツとの業務提携によりCS業務だけでなく、デバッグにも対応できる体制を整備した事が他社との差別化につながり、新規案件の獲得が進んだ。 この他、インターネットメディアの監視業務を自社内で運営している企業を中心に派遣業務の売上高が49百万円と同31.2%増加した他、オンラインゲームサポート業務も、既存顧客のタイトル追加や業務拡大とそのニーズ把握・深耕、ローカライズやデバック等の周辺業務の提案等により、売上高が122百万円と前年同期比で倍増した。 <ソーシャルWeb向け次世代型運用システム「E-Trident」について>
11年6月に初期機能版の提供を開始した「E-Trident」は、柔軟で高速なワークフローエンジンを中核に据えたソーシャルWeb向け次世代型運用システム。単なる投稿監視ツールとしての機能だけでなく、分析やレポーティング等の機能も実装しており、ソーシャルメディアを安心・安全に活性化できる環境を提供する。今後、レポーティング機能やベイジアンフィルタ(ベイズ理論を応用したフィルタ。対象となるデータを自動的に解析・学習して分類し、振り分け対象のデータが増えるほど学習量が増えて精度が上がる)機能等の更なる強化に取り組んでいく考えだ。尚、ソーシャルWebとは、SNSやブログ等のソーシャルメディアや、ソーシャルゲーム、ソーシャルコマースなどの、コミュニケーションが介在する全てのWebメディアの事。 (2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比506百万円増の1,243百万円。10年12月の東証マザーズ上場に伴う資金調達で現預金及び純資産が増加した他、六本木センター及び宮崎センターの開設で有形固定資産が、「E-Trident」の開発で無形固定資産が、それぞれ増加した。CFの面では、税負担の増加(18百万円→149百万円)で営業CFが減少する一方、上記のセンター開設や「E-Trident」の開発で投資CFのマイナス幅が拡大したため、当第3四半期累計期間のフリーCFがわずかだがマイナスとなった。ただ、東証マザーズ上場に伴う資金調達で財務CFが黒字となり、現金及び現金同等物の第3四半期末残高は792百万円と前期末比348百万円増加した。
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2011年9月期業績予想 |
通期業績予想に変更は無く、前期比51.7%の増収、同35.1%の経常増益予想
ネットを使ったキャンペーン等が増加する年度末から年度始めにかけての繁忙期に東日本大震災が発生した事は大きなハンデキャップだが、震災の影響を吸収して投稿監視業務を中心に各業務で売上の高い伸びが見込まれる。増収効果でセンターの開設やシステム開発といった先行投資負担を吸収して、営業利益が3.0億円と前期比48.8%増加する見込み。尚、同社は経営基盤の強化及び事業拡大に向けて内部留保の充実を図る事を優先し、これまで配当を実施してこなかったが、今期は10年12月の東証マザーズ上場を記念して、1株当たり5円の記念配(初配)を実施する予定。
<(株)メンバーズとのFacebookページ運用における連携>
イー・ガーディアン(株)と(株)メンバーズ(セントレックス2130)は、連携してFacebookページの運用支援ビジネスを展開していく事で合意した(企業が運営するFacebookページ上での企業のファンと企業との緊密度合いを意味するエンゲージメントの強化を総合的に支援していく)。(株)メンバーズはFacebook ページの制作・運用を中心に、Facebook 広告への出稿やFacebookマーケティングにかかるソリューション(「Facebook インテグレーション」)を提供しており、Facebook ページの導入コンサルティングから制作、運用支援、及びプロモーションに至る一貫したサービスの提供を強みとする。両社は、こうした(株)メンバーズの強みとイー・ガーディアン(株)の強みである運用・監視リソース及び投稿における効果測定等を組み合わせ、Facebook における企業とファンのエンゲージメント総量最大化を目的とした、開発から運用監視までのトータルパッケージ「Facebook ページ運用ソリューション」を提供していく考えだ。 |
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